プジョー・308

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プジョー・308(Peugeot 308)は、フランスの自動車メーカー、プジョーが製造・販売している小型乗用車である。2007年9月プジョー・307の後継車として発表された。

概要[編集]

TCR規定の308

308はモデルナンバーが示すとおり307の後継車という位置づけであり、プラットフォームは307からのキャリーオーバーである。2012年5月に1929年に登場したプジョー・201以来80年以上に渡って続いてきた3桁の数字でモデルチェンジ毎に末尾の数字が増えるネーミング手法を変更し、以降新興国向け車両の末尾が「1」で、それ以外は基本的にモデルチェンジをしても末尾は「8」のままとすることが発表された。2013年5月に発表された2代目308はこの新ネーミング法が適用された最初の末尾「8」モデルとなる。

歴史[編集]

初代 T7型 (2007年-)[編集]

プジョー・308 (初代)
T70/71/72/76型[1]
前期型
後期型
概要
製造国 フランスの旗 フランス ソショー
フランスの旗 フランス ミュルーズ
ロシアの旗 ロシア カルーガ
中華人民共和国の旗 中国 武漢市
インドネシアの旗 インドネシア ジャカルタ
アルゼンチンの旗 アルゼンチン ビラ・ボッシュ
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 3ドア ハッチバック
5ドア ハッチバック
2ドア クーペカブリオレ
5ドア ステーションワゴン
4ドア セダン
駆動方式 前輪駆動
パワートレイン
エンジン 1.6L、2.0Lガソリンエンジン
1.6L、2.0Lディーゼルエンジン
共にヨーロッパでの場合
変速機 4速AT(2010年MC前)
6速AT(2010年MC後)
6速MT
サスペンション
ストラット
トーションビーム
車両寸法
ホイールベース 2,610mm
全長 4,290mm
全幅 1,820mm
全高 1,515mm
車両重量 1,360kg
系譜
先代 プジョー・307
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  • 2007年6月5日発表。このモデルがプジョー初の08世代となる。
  • 2008年5月8日ハッチバックの日本市場導入が発表され、6月2日から発売された。
  • 2009年6月1日CCことクーペカブリオレ日本で発売開始。
  • 2010年6月3日に一部改良が行われ、従来の4速ATに代わってアイシンAW(現:アイシン)製6段ATが採用された。
  • 2011年3月1日にフロントマスクなどが508から始まった新世代のデザインに変更されたフェイスリフトモデルがジュネーヴモーターショーで発表され、5月からデリバリーが開始された。なおこの時点までで全世界で90万台以上を販売しており、プジョーの屋台骨を支える車種である。

エンジンバリエーション[編集]

エンジンは、ヨーロッパにおいてはBMWと共同開発した1.4Lおよび1.6L自然吸気エンジン、チューンの異なる2種の1.6L直噴(コモンレール式)ボルグワーナー製のツインスクロール式ターボと連続可変バルブタイミング機構を備えた (EP6DT) とKKKのオーバーブースト機能を採用したツインスクロールターボ (EP6DTS) 、および1.6Lと2.0L HDiディーゼルエンジンが搭載される。組み合わされるギアボックスは4段AT(AL4型)とプジョー自製の6速MT(MCM/A型)であったが、2010年のマイナーチェンジにて4段ATは、エントリーグレードの「Style」を除き、すべて6段ATに改められた。

ボディバリエーション[編集]

東風プジョー・308セダン
308HB(ハッチバック)[編集]

308の基本となるモデル。メインは5ドアだが、一部グレードには3ドアも設定されている。

308SW(ステーションワゴン)[編集]

2007年のフランクフルトショーに308SW プロローグとしてコンセプトカーが発表され、生産型は2008年3月の第78回ジュネーブモーターショーで発表されその3ヶ月後から発売開始。

ハッチバックモデルの後ろ半分を伸ばしたステーションワゴンモデル。先代の307と同じ、リア席まで広がるパノラミックガラスルーフが特徴。日本仕様は3列7人乗りが導入されているが、それ以外の地域では2列5人乗りが基本。3列目はオプション設定であり、あくまでステーションワゴンである。オーストラリア市場では「SW」ではなく「ツーリング」の名称が使われている。

308CC(クーペカブリオレ)[編集]

2+2シート配置の2ドアクーペカブリオレモデルで電動ハードトップを採用。開閉時間は約20秒で、速度10km/h以下であれば走行中でも開閉が可能となっている。CCの特徴としては、シートヒーター(座面・背面)、ヘッドレスト内蔵ネックウォーマー、外気温や太陽光の強さなどに合わせて自動で温度や風量を調整するカブリオレモード対応のインテリジェントエアコンディショナーなど。一部グレードでは、ダッシュボードやドアの内張りがすべてレザーで覆われる、『インテグラルレザー』仕様が選べる。

308セダン[編集]

先代307に続いて中国東風プジョーでも5ドアハッチバックが生産されており、2011年10月には同国専売モデルとなる4ドアセダンを追加。フェイスリフト後の308をベースとしているが大型のフロントグリルなど細部が専用デザインとなっている。[2] セダンの外寸は全長4,558mm、全幅1,805mm、全高1,505mm、ホイールベース2,612mm。[3]中国では他に408という新興国向け車種も生産されているが、308セダンはそれより若干小柄である。なおSWとCCはヨーロッパから輸入して販売。

2代目 T9型 (2013年-)[編集]

プジョー・308 (2代目)
T91/92型
308(フロント)(MC後)
308(リア)(MC後)
概要
製造国 フランスの旗 フランス ソショー英語版
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 5ドア ハッチバック
5ドア ステーションワゴン
駆動方式 前輪駆動
パワートレイン
エンジン 直列3気筒 1.2L PureTechガソリンターボ
直列4気筒 1.5Lクリーンディーゼルターボ
直列4気筒 2.0Lクリーンディーゼルターボ
直列4気筒 1.6Lツインスクロールターボ(GTi)
変速機 8速AT
6速MT
サスペンション
マクファーソンストラット
トーションビーム
車両寸法
ホイールベース 2,620mm(ハッチバック)
2,730mm(SW)
全長 4,275mm(ハッチバック)
4,600mm(SW)
全幅 1,805mm
全高 1,470mm(ハッチバック)
車両重量 1,270-1,530kg
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2013年5月に5ドアハッチバックの公式画像が発表[4]。このモデルがプジョー初の08世代となる。同年9月のフランクフルトモーターショーにて正式にワールドプレミアとなった。また、先代にあったCCは廃止となった。 この2代目308には、PSA(プジョーシトロエン)が新開発したモジュラープラットフォーム「EMP2」を採用。車両重量を先代比で最大140kg軽量化。グレードは地域によって異なるが、フランス市場では下からAccess, Active, Business, Business Pack, Allure, Felineの6グレードが設定されている。エンジンはガソリンが直列3気筒1.2L VTi 82PS、1.2L e-THP 110PS、1.2L e-THP 130PS、直列4気筒1.6L THP 125PS、156PS、250PS(GTi 250)、270PS(GTi 270)。ディーゼルが直列4気筒1.6L HDi 92PS、1.6L e-HDi 115PS、1.6L BlueHDi 120PS、直列4気筒2.0L BlueHDi 150PSというラインナップである。トランスミッションは5速MT、6速MT、6速ATが用意される。また、先代のSWは3列シートは廃止された。

2014年3月のジュネーヴモーターショーでは308SW(ステーションワゴン)が世界初公開された。同ショーではヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーの発表も行われ、308が同賞を受賞した[5]

2017年10月25日にマイナーチェンジ。フロントグリル等の外観の変更、内装の質感向上、安全装備の追加が行われた。なお、パワートレインは変更なし[6]

2018年7月18日には、GT BlueHDiのトランスミッションを「EAT8」と呼ばれる8速ATに変更し発売[7]。同年12月17日には、「EAT8」を全車に拡大採用すると共に、新型1.5L BlueHDiを搭載したディーゼルモデルを発売。従来の1.6Lディーゼルから10PS向上し130PSとなる。また、燃費も改善された。同時に1.2Lガソリンエンジンも改良され、排ガス規制ユーロ6.2に対応した[8] 。またGTiは270psのものに一本化され、単に「GTi by Peugeot sport」の名となった。

生産はソショー工場にて行われる。2014年3月14日には308の累計受注台数は6万台に達したこととソショー工場での増産が発表された[9]

3代目 P5型 (2021年-)[編集]

プジョー・308(3代目)
P51/52型
308 フロント
308 リア
概要
製造国 フランスの旗 フランス
ボディ
乗車定員 5人
ボディタイプ 5ドアハッチバック
4ドアステーションワゴン
駆動方式 前輪駆動
プラットフォーム EMP2
パワートレイン
エンジン 1.2L直3ターボ
1.5L直4ディーゼルターボ
1.6L直4ターボ+PHEV
変速機 8速AT
サスペンション
マクファーソンストラット
トーションビーム
車両寸法
ホイールベース 2,680mm(ハッチバック)
2,730mm(SW)
全長 4,420mm(ハッチバック)
4,655mm(SW)
全幅 1,850mm
全高 1,475mm(ハッチバック)
1,485mm(SW)
車両重量 1,350kg-1,720kg
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2021年3月18日にハッチバック 308を世界初公開[10]。同2月25日に発表された新デザインのロゴが採用された始めてのモデルとなった[11]

HBモデルは先代より全長は+145mm、全幅は+45mm、全高は+5mm、ホイールベースは+60mmと大型化。

新しい「PEUGEOTi-Cockpit」やインフォテインメントシステム「i-Connect Advanced」、ADAS(先進運転支援システム)を搭載した[12]。また、308モデルでは初となるプラグインハイブリッドをラインナップした。

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ https://www.forum-peugeot.com/Forum/threads/gamme-les-noms-de-code-internes-des-peugeot.3156/
  2. ^ Peugeot Launches New 308 Sedan in China [47 Photos]”. Carscoop (2011年10月20日). 2011年11月5日閲覧。
  3. ^ 東風プジョーの主要諸元表
  4. ^ 【フランクフルトモーターショー13】プジョー 308 新型…2世代目へ進化
  5. ^ The new PEUGEOT 308 voted 2014 “Car of the Year””. プジョー (2014年3月3日). 2014年4月3日閲覧。
  6. ^ 【東京モーターショー2017】プジョー 308 改良新型 …安全装備など充実も、価格はほぼ据え置き”. response. (2017年11月2日). 2019年5月6日閲覧。
  7. ^ プジョーがディーゼルの「308GT」に新開発の8段ATを搭載”. web CG (2018年7月18日). 2019年5月6日閲覧。
  8. ^ プジョーが「308」を改良 新型ディーゼルと8段ATを搭載”. webCG (2018年12月17日). 2019年5月6日閲覧。
  9. ^ Night shift to begin at the Sochaux Plant on 2 June 2014”. PSA・プジョーシトロエン (2014年3月14日). 2014年4月3日閲覧。
  10. ^ 株式会社インプレス (2021年3月18日). “プジョー、新型「308」世界初公開 新しい紋章やPHVモデルを採用”. Car Watch. 2022年8月29日閲覧。
  11. ^ プジョーが「ライオンロゴ」を11年ぶりに刷新! 高級感ある新エンブレムが登場 | VAGUE(ヴァーグ)”. VAGUE (2021年2月26日). 2022年8月29日閲覧。
  12. ^ NEW PEUGEOT 308/308 SWスペシャルサイト | プジョー公式サイト”. NEW PEUGEOT 308/308 SWスペシャルサイト | プジョー公式サイト. 2022年8月29日閲覧。

外部リンク[編集]