遊歩道 (来生たかおのアルバム)

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遊歩道
来生たかおスタジオ・アルバム
リリース
録音 1982年7月3日 - 10月10日
(KRSレコーディングスタジオ、ポリドール伊豆スタジオ〈リミックス〉)
ジャンル ニューミュージック
時間
レーベル キティレコード
プロデュース 多賀英典
チャート最高順位
来生たかお アルバム 年表
夢の途中
(1981年)
遊歩道
(1982年)
Ordinary
(1983年)
『遊歩道』収録のシングル
  1. 「疑惑」
    リリース: 1982年12月1日
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遊歩道』(ゆうほどう)は、1982年にリリースされた来生たかおの8枚目のオリジナルアルバム(LP規格品番:28MS-0020〉/CT〈規格品番:28CS-0020〉/CD〈規格品番:3133-2〉)である。

概要[編集]

※原則的に、来生たかおは“来生”に省略、来生えつこは“来生えつこ”と表記。

ジャケット写真は来生の意向が反映され、自身の散歩コースでもある緑豊かな小金井公園東京都)で撮影された[1]。コートとハンチング帽を掛けたポールハンガーを傍らに配したアップライトピアノに、来生がぼんやり凭れているもの。本アルバムに収録された第13弾オリジナル・シングル「疑惑」(1982年12月1日リリース)のジャケットには、アップライトピアノの上で胡坐を掻いた写真が使われている。

編曲及び演奏で坂本龍一が参加している。来生は以前からそのセンスを気に入っていたため依頼したという[2]。これが縁で、来生が美空ひばりへ提供した「笑ってよムーンライト」「まなざしの彼方」「あなたでなければ」の編曲も担っている[2]。なお、編曲者の“矢倉銀”は、来生のペンネームである。

CDは、翌年1983年3月16日にリリースされた。来生のオリジナル・アルバムでは初めてのCD化である。

復刻盤[編集]

パッケージの体裁[編集]

ディスクジャケット[編集]

  • オリジナル版CD:ジュエルケースに2つ折りのカード(及び、歌詞カード)を挿入
  • 1991年版CD:ジュエルケースに2つ折りのカード(及び、オリジナル版CDのものを基調とした歌詞カード〈ジャケットの内側にも歌詞の記載あり〉)を挿入
  • 1995年版CD:ジュエルケースに2つ折りのカード(及び、LP版のものを基調とした歌詞カード、既出オリジナル・アルバムのディスコグラフィー)を挿入
  • 2007年版CD:ジュエルケースに2つ折りのカード(及び、LP版のものを基調とした歌詞カード)を挿入(厚紙製収納ケース付き)

帯のコピー[編集]

  • LP:夢の途中につづく、来生たかおオリジナル・アルバムは、星勝、坂本龍一らを編曲陣に迎えた一年がかりのファンタジー・ポップ。
  • オリジナル版CD:?
  • 1991年版CD:記載なし
  • 1995年版CD:シックなトーンが全編を彩る、ファンタジー・ポップ 「High Noon」、「坂道の天使」を含む、8thアルバム。(“20th anniversary”の記載あり)

収録曲[編集]

LP版・CT版(CD版は省略)

※各曲の収録時間はLPの記載に準拠

SIDE 1[編集]

  1. High Noon(7:42)
    • 作詞:来生えつこ / 作曲:来生たかお / 編曲:坂本龍一・矢倉銀
    • メロディーが次々と別のパターンへ展開して行く長尺曲で、来生えつこによれば、歌詞に登場するリュックサックを背負った男は、アウトドア関連の仕事をしている友人をイメージの源泉にしているという[3]
  2. 蜜月(4:22)
    • 作詞:来生えつこ / 作曲:来生たかお / 編曲:坂本龍一
  3. 渚のほのめき(4:08)
    • 作詞:来生えつこ / 作曲:来生たかお / 編曲:坂本龍一
    • 第15弾オリジナル・シングル「吐息の日々」(1983年7月1日リリース)のB面にも収録されている。
  4. Midnight Step (4:09)
    • 作詞:来生えつこ / 作曲:来生たかお / 編曲:坂本龍一
    • 歌詞は、来生えつこが憧れた映画『ウエスト・サイド物語』のようなアメリカ的風景を、真夜中のガソリンスタンドに重ね合わせたところから生まれた。ガソリンスタンドを“オイルスタンド”と記しているのは、語呂が良いからだという[4]

SIDE 2[編集]

  1. 疑惑(4:23)
    • 作詞:来生えつこ / 作曲:来生たかお / 編曲:星勝
    • 第13弾オリジナル・シングル。
    • 桃井かおりがアルバム『SHOW?』(1982年11月1日リリース)でカヴァーしている。ちなみに、同アルバムの収録曲は全て来生たかおが作曲したものである。
  2. 坂道の天使(3:52)
    • 作詞:来生えつこ / 作曲:来生たかお / 編曲:坂本龍一
    • 来生えつこによれば、主人公の“薄墨色のコート”は『刑事コロンボ』がヒントになっており、来生自身、コロンボ風のコートを着ていたことがあったという[5]
    • 来生は、ギルバート・オサリバンに歌って欲しいと語ったことがある[6]。また、自分自身に近い人物が描かれている楽曲としても挙げている[7]
  3. 蟠り(4:00)
    • 作詞:来生えつこ / 作曲:来生たかお / 編曲:星勝
    • タイトルの“蟠”に“わだかま”とルビが振られている。作詞過程において「まぶたでさよなら」というタイトルも付けられていた[8]
  4. テレフォン・ララバイ(4:12)
    • 作詞:来生えつこ / 作曲:来生たかお / 編曲:矢倉銀
  5. スローナイト(4:35)
    • 作詞:来生えつこ / 作曲:来生たかお / 編曲:星勝
    • 来生は、元々井上陽水をイメージして作った楽曲であり、歌ってもらいたいと述べている[6]
    • 1983年、フランク永井がアルバム『マホガニーのカウンター』でカヴァーしている。

参加ミュージシャン[編集]

参加スタッフ[編集]

脚注[編集]

  1. ^ ファンクラブ「TAKAO CLUB」のダイジェスト会報『DECADE』
  2. ^ a b NHK-FMSOUND MUSEUM』(2010年12月19日)
  3. ^ ファンクラブ「TAKAO CLUB」の会報『égalité』vol.27
  4. ^ 来生えつこ著『夢の途中に』(リクルート出版/1990年)
  5. ^ ファンクラブ「来生たかおインフォメーションデスク」の会報『別冊 来生たかお』2000年最終号
  6. ^ a b 『égalité』vol.16
  7. ^ 『égalité』vol.28
  8. ^ 楽譜『来生たかお・コンサート・アルバム』(KMP〈協楽社〉/1982年10月5日)