AN/UYK-44

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AN/UYK-44の筐体

AN/UYK-44は、UNIVAC(後のユニシス)がアメリカ海軍向けに開発したコンピュータ[1][2]AN/UYK-20の後継機にあたるミニコンピュータであり、AN/UYK-43を補完して配備された[3]

概要[編集]

海軍海洋システム・コマンド(NAVSEA)英語版では、1978年後半よりAN/UYK-7の後継機開発計画が策定されはじめており、1979年末に設置された海軍戦術組み込みコンピュータ資産室(PMS 408)は、既存のUYK-7・20のサポートとともに、これらの後継機の開発も所掌することになった[3]。UYK-7後継機はUYK-43、そしてUYK-20後継機はUYK-44と呼称されるようになっており、1980年3月に詳細仕様が完成、9月にはIBMとUNIVACに対して技術開発モデルの製作が発注された[3]。これらを評価した結果、1983年2月、UNIVACがUYK-44の量産契約を受注した[3]

本機はUYK-20と同様に16ビットプロセッサを用いており[1]、UYK-20向けに開発されたソフトウェアを実行可能とされる[3]命令スループットは0.94 MIPSとなった[1]主記憶装置としては、従来どおりの磁気コアメモリを使用する場合はメモリサイズ256キロワードとされたが、半導体メモリを使用する場合は最大4メガワードまで拡張可能であった[1]。なお本機は、多層シリコン基板を採用した最初期のコンピュータである[3]。これは電子回路の高密度化と冷却性能の向上を狙ったものであり、開発過程で銅箔パターン末端部の分離という問題に悩まされたものの、後にはこれも解決された[3]

1983年12月よりアメリカ海軍への引き渡しが開始され[3]戦術情報処理装置のほかにも、AN/SQS-53の情報処理用など組み込みシステムでも広く用いられた[1]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e Friedman 1997, pp. 57–58.
  2. ^ 海人社 2002.
  3. ^ a b c d e f g h Boslaugh 2021.

参考文献[編集]

  • Boslaugh, David L. (2021年). “First-Hand:Legacy of NTDS - Chapter 9 of the Story of the Naval Tactical Data System” (英語). Engineering and Technology History Wiki. 2022年1月15日閲覧。
  • Friedman, Norman (1997). The Naval Institute Guide to World Naval Weapon Systems 1997-1998. Naval Institute Press. ISBN 978-1557502681 
  • 海人社(編)「艦載コンピュータの現況と将来 (特集 システム艦隊)」『世界の艦船』第594号、海人社、2002年4月、86-89頁、NAID 40002156293