AN/UYK-43

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AN/UYK-43は、UNIVAC(後のユニシス)がアメリカ海軍向けに開発したコンピュータ[1][2]メインフレームにあたる大型機であり、AN/UYK-7の後継機として開発された[3]

概要[編集]

海軍海洋システム・コマンド(NAVSEA)英語版では、1978年後半よりAN/UYK-7の後継機開発計画が策定されはじめており、1979年末に設置された海軍戦術組み込みコンピュータ資産室(PMS 408)は、既存のUYK-7・20のサポートとともに、これらの後継機の開発も所掌することになった[3]。UYK-7後継機はUYK-43、UYK-20後継機はUYK-44と呼称されるようになっており、1980年3月に詳細仕様が完成、9月にはIBMとUNIVACに対して技術開発モデルの製作が発注された[3]。これらを評価した結果、1983年3月、UNIVACがUYK-43の量産契約を受注した[3]

UYK-7と同様に32ビットプロセッサを用いており、最低限の修正でUYK-7用のソフトウェアを実行可能とされる[1]命令のレパートリーは258個、スループットは2.25 MIPSとなった[1]主記憶装置としては引き続き磁気コアメモリが採用されたが、サイクルタイムは150ナノ秒に短縮された[1]。メモリサイズは、仕様上は4ギガワードまで拡張可能とされたものの、実装上は20メガワードが上限であった[1]。64の入出力チャンネルを持ち、1基のAN/UYK-43が4基のAN/UYK-7コンピュータの代わりをすることができる[3]。さらに、AN/UYK-7と同じ取り付けボルトを使用し、同じ信号・電源ケーブルが使用できるようにした[3]。なお筐体にはA型とB型の2種類があり、B型ではデュアルプロセッサに対応し、チャネル・コントローラも2つに増備できるかわり、潜水艦のハッチを通すことができないという制約があった[1]

1983年12月よりアメリカ海軍への引き渡しが開始され[1]イージスシステム(AWS)ではベースライン4より導入された[3]。ただし本機は、海軍が制式採用した最後のメインフレーム型コンピュータであり、1990年代中盤からはAN/UYQ-70の導入による商用オフザシェルフ(COTS)化と分散コンピューティング化が進められていった[3]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g Friedman 1997, pp. 57–58.
  2. ^ 海人社 2002.
  3. ^ a b c d e f g h Boslaugh 2021.

参考文献[編集]

  • Boslaugh, David L. (2021年). “First-Hand:Legacy of NTDS - Chapter 9 of the Story of the Naval Tactical Data System” (英語). Engineering and Technology History Wiki. 2022年1月15日閲覧。
  • Friedman, Norman (1997). The Naval Institute Guide to World Naval Weapon Systems 1997-1998. Naval Institute Press. ISBN 978-1557502681 
  • 海人社(編)「艦載コンピュータの現況と将来 (特集 システム艦隊)」『世界の艦船』第594号、海人社、2002年4月、86-89頁、NAID 40002156293