ヤマハ・RD50

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ヤマハ・RD50は、ヤマハ発動機1973年昭和48年)から製造販売した、排気量49立方センチメートル(cm3)の空冷2ストローク単気筒エンジンを搭載したオートバイである。

概要[編集]

ヤマハ発動機は、1972年昭和47年)5月から販売していたFX50(機種コード[注 1]:353[2])の欧州市場向け輸出仕様車を、1973年(昭和48年)にRD50(機種コード:420[3])と名称変更した。翌1974年(昭和49年)には日本市場においても、FX50のフロントブレーキディスクブレーキに変更するなどしたうえで、欧州市場向けと同じ名称のRD50(機種コード:481[4])に変更し発売した。

日本向け仕様車の詳細[編集]

日本国内で販売されたRD50は、いずれも道路運送車両法施行規則の第一種原動機付自転車に該当し[5]、すべて日本国内で生産された。後述のとおり、5回のマイナーチェンジが行われ、そのうち1978年昭和53年)のそれは大幅なものとなった。日本市場における後継車は、1981年(昭和56年)5月14日に発表されたRZ50[6](機種コード:5R2[7])。基本設計を同じくする派生車種として、ヤマハスポーツRD90(機種コード:464ほか[4])がある。

機種コード:481[編集]

1973年(昭和48年)10月30日から開催された第20回東京モーターショーで、日本市場での2ストロークエンジンを搭載するロードスポーツモデルの名称をRDに統一し、近日中にヤマハスポーツRD50を発売すると発表した[8]1974年(昭和49年)2月にヤマハスポーツFX50のフロントブレーキを50cm3クラスとしては初採用となるディスクブレーキに変更するとともに塗色を一新し[9]、機種コード:481[4]として発売された。塗色はアイビーグリーンとシルバーダストの2色[9]。車体打刻番号の範囲は481-000101から481-100000までである[注 2]

1975年(昭和50年)には、塗色はそのままに意匠のみ変更を受ける[11]。車体打刻番号の範囲は481-100101から481-200000までである[注 2]

1977年(昭和52年)には、塗色変更のほか当時の50cm3クラスとしては最大光量となる25ワットヘッドライトや新型フラッシャーランプなどの採用で夜間使用時の安全性を充実させ、フロントフォーク、ディスクブレーキ用リザーバータンクなどを改良した[12]。塗色はシルバーダストとチャピィレッドの2色[12]。車体打刻番号の範囲は481-200101から481-300000までである[注 2]

主要諸元(1974年)[9]

機種コード:2U2[編集]

1978年(昭和53年)3月[7]には、エンジン、サスペンション、ブレーキおよびタイヤサイズなどが新設計される大幅な変更が行われ[13]、機種コードも2U2に改められた[4]。塗色はニューホワイトとカーマインレッドの2色[13]。運輸省型式認定番号はI-1364、工場呼称はRD50BJ8[7]。車体打刻番号の範囲は2U2-000101から2U2-020000までである[注 2]

1978年(昭和53年)12月20日には、塗色はそのままに意匠のみ変更を受ける[14]。車体打刻番号の範囲は2U2-040101から2U2-060000までである[注 2]

主要諸元(1978年)[13]
  • 全長:1,825mm
  • 全幅:740mm
  • 全高:1,025mm
  • 車両重量:74kg
  • エンジン型式:空冷、2ストローク、単気筒、49cm3
  • 最高出力:6.3PS / 9,000rpm
  • 最大トルク:0.51kg・m / 8,500rpm

機種コード:2W1[編集]

遅れていた自動二輪車用軽合金ホイール技術基準の認可が、ようやく1978年(昭和53年)4月1日付でなされ、日本国内でもキャストホイール装着のオートバイが販売できることとなった[15]。同年6月[7]に、ヤマハ発動機は他社に先んじて[15]、日本市場にRD50SP(機種コード:2W1[4])ほか3車種を投入した[16]。RD50SPは、先に発売されたRD50(工場呼称:RD50BJ8)をベースに、キャストホイールのほか、塗色、意匠、角形バックミラーならびに角形フラッシャーランプなどの独自の追加変更がなされ、塗色はコバルトブルーとニューパールホワイトの2色[16]。運輸省型式認定番号はI-1364、工場呼称はRD50BDJ8[7]。車体打刻番号の範囲は2U2-020101から2U2-040000までである[注 2]

機種コード:4M9[編集]

1980年(昭和55年)には、点火装置をCDIに、ブレーキならびにクラッチのハンドルレバーをパワーレバーに、リヤブレーキに指針式ライニング摩耗インジケーターを新設、フラッシャーレンズの大型化などの変更が加えられ[17]、機種コードも4M9に改められた[4]。塗色はバウンティブルーとニューホワイトの2色[17]。運輸省型式認定番号はI-1364、工場呼称はRD50CJ0[7]。車体打刻番号の範囲は2U2-300101から2U2-320000までである[注 2]

ブラジル向け仕様車の詳細[編集]

ブラジル国内で販売されたRD50は、いずれもブラジル国内で生産された。基本設計を同じくするブラジル製派生車種として、RX180(機種コード:3V9[18])などがある。

機種コード:502[編集]

ヤマハ発動機は、ブラジル政府のオートバイ完成車輸入禁止政策実施決定を受けて、1970年に現地法人ヤマハ・モーター・ブラジル(YMDB)を設立、サンパウロ郊外グアルーリョスに生産工場を建設した[19]1974年10月10日から稼働したグアルーリョス工場で[20]、最初の生産車種に選ばれたのがRD50(機種コード:502[21])である[22]。途中から併売された派生車種RD75(機種コード:1R2[23])に置き換えられるかたち[24]で、1978年に生産終了となった。塗色はBalboa blueとBrilhant Redの2色[25]

主要諸元(ブラジル仕様)[26]
  • 全長:1,825mm
  • 全幅:630mm
  • 全高:1,185mm
  • 車両重量:73kg
  • エンジン型式:空冷、2ストローク、単気筒、49cm3
  • 最高出力:6.3PS / 9,500rpm
  • 最大トルク:0.5kg・m / 8,500rpm

外部リンク[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 機種コードとは、ヤマハ発動機が製造車輌の機種名とは別に設定した符号[1]
  2. ^ a b c d e f g 打刻に割り当てられた番号の範囲であって、生産台数を示すものではない[10]

出典[編集]

  1. ^ 機種コードについて”. ワイズギア. 2020年1月12日閲覧。
  2. ^ MODEL INDEX 1958-2008. Yamaha Motor. (2008-06). p. 78 
  3. ^ MODEL INDEX 1958-2008. Yamaha Motor. (2008-06). p. 161 
  4. ^ a b c d e f 『二輪車総合パーツカタログ4-1』ヤマハ発動機、1981年。 
  5. ^ 道路運送車両法施行規則(昭和二十六年八月十六日運輸省令第七十四号)第1条第2項
  6. ^ スーパースポーツRZ50新発売!」(PDF)『ヤマハニュース』第216号、ヤマハ発動機、静岡、1981年6月1日、14頁、2020年1月12日閲覧 
  7. ^ a b c d e f 「2サイクル・スポーツ50C.C.」『テレホンデータブック1995』、ヤマハ発動機、静岡、27-28頁。 
  8. ^ 特集第20回東京モーターショー」(PDF)『ヤマハニュース』第126号、ヤマハ発動機、静岡、1973年12月1日、3-22頁、2020年1月12日閲覧 
  9. ^ a b c オイルディスクが決め手」(PDF)『ヤマハニュース』第128号、ヤマハ発動機、静岡、1974年2月1日、16-17頁、2020年1月12日閲覧 
  10. ^ MODEL INDEX 1958-2008. Yamaha Motor. (2008-06). p. 398 
  11. ^ 一新!ヤマハスポーツRD50」(PDF)『ヤマハニュース』第141号、ヤマハ発動機、静岡、1975年3月1日、19頁、2020年1月12日閲覧 
  12. ^ a b ヤングに人気のヤマハ50スポーツトリオ 安全性を充実して新発売」(PDF)『ヤマハニュース』第164号、ヤマハ発動機、静岡、1977年2月1日、12-17頁、2020年1月12日閲覧 
  13. ^ a b c グレードアップで売りやすさを拡大 NEW RD50」(PDF)『ヤマハニュース』第178号、ヤマハ発動機、静岡、1978年4月1日、16頁、2020年1月12日閲覧 
  14. ^ 装いを一新して新発売!」(PDF)『ヤマハニュース』第187号、ヤマハ発動機、静岡、1979年1月1日、19頁、2020年1月12日閲覧 
  15. ^ a b キャストホイールのはなし」(PDF)『ヤマハニュース』第180号、ヤマハ発動機、静岡、1978年6月1日、14頁、2020年1月12日閲覧 
  16. ^ a b 近日発売!キャストホイール装備のニュースポーツ4機種」(PDF)『ヤマハニュース』第180号、ヤマハ発動機、静岡、1978年6月1日、15頁、2020年1月12日閲覧 
  17. ^ a b 新発売! NEW RD50」(PDF)『ヤマハニュース』第205号、ヤマハ発動機、静岡、1980年10月1日、16頁、2020年1月12日閲覧 
  18. ^ MODEL INDEX 1958-2008. Yamaha Motor. (2008-06). p. 150 
  19. ^ 三嶋恒平「ブラジルの二輪車産業と市場」『自動車工業JAMAGAZINE』第44巻第3号、日本自動車工業会、東京、2010年3月、16-21頁、ISSN 0911-7113NAID 40016995436全国書誌番号:00010283オリジナルの2010年5月22日時点におけるアーカイブ、2020年1月12日閲覧 
  20. ^ “Yamaha completa 40 anos no Brasil”. WebMotors. Agência Infomoto. (2014年10月21日). https://www.webmotors.com.br/wm1/motos/yamaha-completa-40-anos-no-brasil 2020年1月12日閲覧。 
  21. ^ MODEL INDEX 1958-2008. Yamaha Motor. (2008-06). p. 242 
  22. ^ Sobre a Yamaha do Brasil”. Yamaha Motor do Brasil Ltda. 2015年4月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年1月12日閲覧。
  23. ^ MODEL INDEX 1958-2008. Yamaha Motor. (2008-06). p. 28 
  24. ^ Aldo Tizzani (2014年9月17日). “Yamaha RD 50, primeira moto "made in Brazil", faz 40 anos”. UOL CARROS. Agência Infomoto (UNIVERSO ONLINE). http://carros.uol.com.br/motos/noticias/redacao/2014/09/17/yamaha-rd-50-primeira-moto-made-in-brazil-faz-40-anos.htm 2020年1月12日閲覧。 
  25. ^ RD50 '74 BLASIL Catálogo De Peças (1ª edição ed.). Yamaha Motor do Brasil. (1973-11). p. 48 
  26. ^ Ficha técnica da RD 50”. Motos Clássicas 70. 2020年1月12日閲覧。