フォルクスワーゲン・T-Cross

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T-Cross(ティークロス)は、VWが製造・販売しているサブコンパクトクロスオーバーSUVである。2019年4月に公式に発売開始した。T-Rocの下位モデルとして位置付けられ、発売時点でフォルクスワーゲンで最も小型のSUVである。2018年10月25日にアムステルダム上海サンパウロで発表された[1]

フォルクスワーゲン・T-Cross
Tacqua(中国)
Taigun(インド)
フロント
リア
概要
製造国 スペインの旗 スペイン
中華人民共和国の旗 中華人民共和国
ブラジルの旗 ブラジル
販売期間 2019年-
ボディ
ボディタイプ 5ドア・サブコンパクトCUV
駆動方式 FF
パワートレイン
エンジン ガソリン
ディーゼル
変速機 5MT
6MT
6AT
7DSG
車両寸法
ホイールベース 2,551mm
2,650 mm(LMBモデル)
全長 4,108mm
4,199-4,218 mm(LMBモデル)
全幅 1,760mm
全高 1,583-89mm
車両重量 1,420kg
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概要[編集]

T-Crossは2012年のサンパウロで展示され、中止になった小型SUVプロジェクト「VWタイグン(Taigun)」の代替として開始された。欧州ブラジルインド向けで全長3.9m以下のサイズでup!をベースにしたSUVで、2016年発売を目指し2012年にゴーサインが出た[2][3]。VWは社内検討で全長が短すぎるとタイグン生産を2016年に中止した[4][5]。VWはその代わりポロをベースとしたSUVを検討し、結果としてそれがT-Crossとなった[6]。「タイグン」という車名は、のちにこの車種のインド向け車名として使用されることとなった[7]

フォルクスワーゲンT-Cross Breezeコンセプト

2016年3月ジュネーヴ・モーターショーにて、T-Crossは「T-Cross Breeze」と呼ばれるコンセプトカーとして展示された。この車両は量産モデルと違い、4人乗りでキャンバストップコンバーチブルモデルだった。

量産版T-Crossは2018年10月25日に公式に、世界3大陸3都市同時に発売発表され、グローバル市場向け商品としての重要性を強調した[1]。この車種は全長4.2m、ホイールベースは2.65mとフォルクスワーゲン・ヴィルトゥスシュコダ・カミークと共用で少し長く、車内空間と積載容量の拡大を目指し[8]、中国とブラジルで生産される。欧州向けのモデルではダッシュボードとハンドル部で異なるものもある[9]

日本での展開[編集]

日本では、2019年10月7日にティザーサイトの開設[10]を経て、同年11月27日に導入を発表し、受注を開始[11]。日本導入を記念した特別仕様車「TSI 1st(ファースト)」と「TSI 1st Plus」の2種類を設定した。アダプティブクルーズコントロール「ACC」、プリクラッシュブレーキシステム「Front Assist(歩行者検知対応エマージェンシーブレーキ機能付)」、駐車支援システム「Park Assist」、後方死角検知機能「ブラインドスポットディテクション」等の安全装備や、純正インフォテイメントシステム「Discover Pro」、スマートエントリー&スタートシステム「Keyless Access」、「スマートフォン ワイヤレスチャージング」などの快適装備が特別に標準装備されている。「TSI 1st Plus」では、レーンキープアシストシステム「Lane Assist」、ハイビームアシスト、パドルシフト、インテリアアンビエントライト、シルバールーフレール、スポーツコンフォートシート(運転席/助手席)が追加され、タイヤとアルミホイールを18インチにサイズアップ(「TSI 1st」のタイヤとアルミホイールは16インチ)。さらに、「デザインパッケージ」が標準設定され、ブラック、オレンジ、グリーンの3色から選択が可能となる(オレンジはボディカラーでピュアホワイト、ディープブラックパールエフェクト、エナジェティックオレンジメタリック、ライムストーングレーメタリックを選択した場合のみ、グリーンはボディカラーでマケナターコイズメタリックを選択した場合のみそれぞれ選択可能)。日本仕様ではパワートレインが1.0L直列3気筒のTSIエンジンと7速DSGの組み合わせのみで、WLTCモードによる燃料消費率(JC08モード時も併記)に対応している。2020年1月28日に日本での販売を開始。受注開始からの2ヶ月間で1,800台を超える予約受注があったことも発表された[12]

同年12月4日に日本仕様を一部仕様変更。エンブレムの意匠変更を行ったほか、デジタルメータークラスター「Active Info Display」を特別装備に追加され、純正インフォテイメントシステム「Discover Pro」をフォルクスワーゲンの日本仕様車で初採用となる常時コネクテッド対応の「Discover Media」にアップグレード。ボディカラーのマケナターコイズメタリックが有償オプションカラーに設定された。

2021年3月2日には日本仕様のカタログモデルの販売を開始。日本仕様では、「TSI Active」と「TSI Style」の2グレードで、オプションとして、全グレード共通で純正インフォテイメントシステム「Discover Media」とETC2.0対応車載器をセットにした「"Discover Media"パッケージ」、スマートフォン ワイヤレスチャージングとデジタルメータークラスターをセットにした「テクノロジーパッケージ」、各種安全装備をセットにした「セーフティパッケージ」の3種類を設定し、「TSI Style」には外内装のカラーコーディネートや18インチタイヤ・アルミホイール(5ダブルスポーク)で構成された「デザインパッケージ」も設定される。

同年5月13日には日本仕様車に「TSI R-Line」を追加発売。本グレード専用のエクステリア(フロント&バンパー、サイドスカート)、ファブリックシート、レザーマルチファンクションステアリングホイール、ドアシルプレートが装備され、タイヤ・アルミホイールを18インチのサイズアップの上で、アルミホイールは新デザインの5ダブルスポークを採用。また、他のグレードでは「セーフティパッケージ」としてオプション設定されているレーンキープアシストシステム「Lane Assist」、ハイビームアシスト、駐車支援システム「Park Assist」、後方死角検知機能「ブラインドスポットディテクション」、パークディスタンスコントロール、オプティカルパーキングシステム、後退時警告・衝突軽減ブレーキ機能「リアトラフィックアラート」を標準装備とし、安全性能を強化。ボディカラーは専用色の「リフレックスシルバーメタリック」を含む7色が設定される。

同年9月2日に仕様変更。オプションパッケージの「テクノロジーパッケージ」に同一車線内全車速運転システム「Travel Assist」が追加されたほか、従来の「Discover Media パッケージ」はモニターを9.2インチに大型化された「Discover Pro パッケージ」へアップグレードされた。外内装も変更となり、2021年から他の車種に順次導入されているタッチコントロール式エアコンディショナーパネルが新たに装備され、ボディカラーは全グレード共通色の「スモーキーグレーメタリック」と「TSI Active」・「TSI Style」専用色の「アスコットグレー」のグレー系2色が追加された。「TSI Active」にはパドルシフトも装備された。

同年11月2日に、メーカーオプションの「デザインパッケージ」に「ダークデニム」を追加設定。ダッシュパッドとシート(シートはチタンブラックとのツートーン)に採用し、ドアミラーと専用18インチアルミホイールはブラックとしている。

2023年9月25日には日本仕様に特別仕様車「Copper Style」を設定し発売。「TSI Style」をベースに、ベース車ではオプション設定となっている「"Discover Pro"パッケージ」、「テクノロジーパッケージ」、「セーフティパッケージ」の3つが特別装備されたほか、専用デザインに変更されたアルミホイールやドアミラーカバー、インテリアパネルに専用のカッパー(銅色)が採用された。ボディカラーはピュアホワイト、ディープブラックパールエフェクト、スモーキーグレーメタリック、アスコットグレーの4色が設定される。なお、車両本体価格はベース車に3つのオプションをそれぞれ単体で追加した場合に比べて6.6万円(10%の消費税込)割安に設定されている。

プラットフォーム[編集]

T-Crossは、 フォルクスワーゲン・ポロセアト・アロナアウディ・A1シュコダ・カミークと共有するMQBプラットフォームを使用している。

脚注[編集]

  1. ^ a b World Premiere of the all-new Volkswagen T-Cross”. www.volkswagenag.com. 2020年8月19日閲覧。
  2. ^ Report - VW pleased with response for Taigun, green lights it for production”. Indianautosblog. 2020年8月19日閲覧。
  3. ^ Volkswagen Taigun Concept 2012 review” (英語). Autocar. 2020年8月19日閲覧。
  4. ^ Radu, Mihnea (2016年2月9日). “VW Taigun Canceled Because It's Too Small, New SUV Concept to Debut in Geneva” (英語). autoevolution. 2020年8月19日閲覧。
  5. ^ VW Taigun compact SUV cancelled - Report”. Indianautosblog. 2020年8月19日閲覧。
  6. ^ Volkswagen Taigun SUV production cancelled - report” (英語). Paul Tan's Automotive News (2016年2月15日). 2020年8月19日閲覧。
  7. ^ Volkswagen. “VW Taigun Returns As Small Crossover With T-Cross Looks” (英語). Motor1.com. 2020年3月5日閲覧。
  8. ^ Gregor Hebermehl, Holger Wittich, Peter Wolkenstein (2018年10月25日). “VW T-Cross (2019): Geräumiger SUV auf Polo-Basis”. 2018年11月6日閲覧。
  9. ^ https://g1.globo.com/carros/noticia/2019/02/19/volkswagen-lanca-t-cross-no-brasil-compare-com-rivais.ghtml
  10. ^ フォルクスワーゲン 新型「T-Cross」 ティザーサイトオープン』(PDF)(プレスリリース)フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社、2019年10月7日https://www.volkswagen.co.jp/idhub/content/dam/onehub_pkw/importers/jp/pc/volkswagen/news/2019/info191007_1_web.pdf2020年12月10日閲覧 
  11. ^ フォルクスワーゲン 最も小さいコンパクト SUV「T-Cross」発表』(PDF)(プレスリリース)フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社、2019年11月27日https://www.volkswagen.co.jp/idhub/content/dam/onehub_pkw/importers/jp/pc/volkswagen/news/2019/info191127_1_web.pdf2020年12月10日閲覧 
  12. ^ フォルクスワーゲン 最も小さいコンパクト SUV「T-Cross」販売開始』(PDF)(プレスリリース)フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社、2020年1月28日https://www.volkswagen.co.jp/idhub/content/dam/onehub_pkw/importers/jp/pc/volkswagen/news/2020/info200128_1_web.pdf2020年12月10日閲覧 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]