トイレの神様

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トイレの神様」(トイレのかみさま)は、植村花菜による楽曲、およびこれを始めとする同名著書などの作品群である。

楽曲[編集]

トイレの神様
植村花菜シングル
初出アルバム『わたしのかけらたち
花菜〜My Favorite Things〜
リリース
規格 マキシシングル
録音 2010年
日本の旗 日本
ジャンル J-POP
時間
レーベル キングレコード
作詞 植村花菜・山田ひろし
作曲 植村花菜
プロデュース 寺岡呼人
ゴールドディスク
チャート最高順位
  • 週間1位(2週連続、オリコン
  • 2011年1月度月間7位(オリコン)
  • 2011年度上半期35位(オリコン)
  • 2011年度年間71位(オリコン)
  • 登場回数30回(オリコン)
  • 1位CDTV
  • 植村花菜 シングル 年表
    BLESS/春にして君を想う
    2009年
    トイレの神様
    (2010年)
    My Favorite Songs/世界一ごはん
    2012年
    ミュージックビデオ
    「トイレの神様」 - YouTube
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    2010年(平成22年)3月10日に発売された通算5作目のミニアルバムわたしのかけらたち』に収録されているリード楽曲である。

    自身と鹿児島県沖永良部島出身の祖母[2]との生前の会話を歌った楽曲で、小学校3年生から23歳頃[3]までの実体験がベースとなっている。アコースティック・ギター1本で伴奏が始まるが、最後はバンドとオーケストラのバックとなる。

    2010年(平成22年)2月、TOKYO FMで1か月期間限定番組『TOKYO FM MONTHLY SPECIAL 植村花菜〜トイレの神様』が月曜日1:00 - 1:30(日曜深夜25:00 - 25:30)に4回にわたって放送された[4]。その後も多くのラジオ番組等で流され、同年11月24日にはシングルカットされた。同年12月30日の第52回日本レコード大賞で優秀作品賞および作詩賞を受賞し、翌12月31日には『第61回NHK紅白歌合戦』で披露された。

    同年開催された上海国際博覧会でも、中国語字幕付きで流されたほか、植村自身も日本産業館のステージで7月に歌った。

    2011年(平成23年)2月24日より花王トイレクイックル『べっぴんさん編』」のCM曲として使用されている。

    制作の経緯[編集]

    音楽プロデューサー寺岡呼人を迎え、自己紹介を兼ねて自分の生い立ちなどを話していくうちに亡き祖母の話になり、「それいいね。ぜひ曲にしよう」と言われた[5]。植村は「ホンマですか? 曲になりますか? タイトルも『トイレの神様』ですよ」と驚いたが、最終的には曲作りに励むこととなった。彼女はいつも曲を先に作っていた[要出典]が、本曲では詞を先に作ることにした[6]。出来た詞は作文のようで、また長かったが、曲をつける際には本人が「降りてきました」と語るほど素晴らしい曲に仕上がった[要出典]

    祖母和嘉は、鹿児島県大島郡和泊町手々知名出身[2]で、トイレをきれいにすると美人になるというのは、この地区の言い伝え[2]。10代の時に家族と沖永良部島を離れた[2]が、大久保利通の異母兄弟タケの曽孫にあたり[2]、植村花菜は来孫にあたる。植村は祖母と共に沖永良部島を訪れる約束をしていたが果たせず、本作のヒット後、2011年(平成23年)3月に初めて島を訪れ、言い伝えや姻戚関係について知った[2]

    歌詞の中に登場する「新喜劇」は、毎日放送で土曜日の昼に放送される『よしもと新喜劇』のことである。曲の大ヒットを機に植村は2011年(平成23年)1月1日放送の『吉本新喜劇正月スペシャル』にゲスト出演している。

    タイトルは『トイレの神様』だが、歌詞中に用いられているフレーズは「女神様」である。

    曲の構成・長さについて[編集]

    メロディ シーン
    1番 Aメロ1 小学時代
    祖母と同居
    Aメロ2
    Bメロ
    2番 Aメロ1
    Aメロ2
    Bメロ
    3番 Aメロ1 思春期
    祖母とすれ違い
    Aメロ2
    Bメロ
    間奏
    4番 Aメロ1 上京して2年後
    祖母が入院
    A'メロ2
    間奏(Aメロアレンジ)
    4番 Cメロ 祖母を亡くす
    過去を回想
    Dメロ
    B'メロ(大サビ)
    Bメロ(大サビ)
    Aメロ 現在
    後奏(Aメロアレンジ)

    曲はこの表のような構成となっており、自身の小学校3年生からの祖母との思い出を歌っている。

    1 - 3番では上京するために家を離れるところまでを歌っている。ここまではAメロとBメロを繰り返す二部形式となっている。演奏は2番まではアコースティック・ギターコントラバスのみだが、3番以降他の楽器も入っていく。

    間奏を挟み4番に入ると、ドラムが入り曲の流れが変わる。Cメロからは祖母との思い出を振り返るシーンに入り、一番の盛り上がりに向けて曲が進む。最後にAメロに戻り、後奏に入る。

    曲の長さは約10分(アルバム、シングル収録のトラックでは9分52秒で、MVでは10分4秒)に及ぶ。この様な長い曲の場合、一般的にラジオでもかけやすいように短くまとめた(Radio Edit)バージョンを作るが、この曲では詞の世界観を守ることを理由に作られていない。

    ラジオではなかなかフルコーラスでかけてもらえないのでは、と考えた事務所の社長が、自らフルコーラスでの放送をラジオ局に頼んだこともあった[要出典]。フルコーラスにこだわる理由は、3番までで終わると本曲の一番の盛り上がりを聴けずに終わり趣が半減されてしまうためである。

    第61回NHK紅白歌合戦」出場が決まった際に曲の長さのことも話題になったが、植村は事前の会見で「どこも削るところがないので全部歌わせていただきたい」と述べている[7]。ただし実際に歌われたのは、歌詞はそのままで8分弱に短縮された紅白バージョンであった。

    シングル[編集]

    シングルは2010年(平成22年)11月24日にキングレコードからリリースされた。当初は売上枚数が伸びなかったが、同年末の「第52回日本レコード大賞」と「第61回NHK紅白歌合戦」での披露後に急上昇を果たし、2011年(平成23年)1月10日付のオリコンシングルチャートでは、前週の15位からジャンプアップし、発売6週目にして植村の初のオリコン首位獲得となった。尚、週間売上枚数は11,327枚でオリコン史上最少枚数での首位(当時)であった[8]1月17日付のオリコンシングルチャートで、前週に続いて2週連続で首位を獲得。当時、シングルの2週連続の首位は、Mr.Childrenの「HANABI」が2008年9月15・22日付で記録して以来、2年4ヶ月ぶりであった。女性アーティストでは、宇多田ヒカルの「Flavor Of Life」が2007年3月12日 - 26日付で記録して以来、3年10ヶ月ぶりであった。発売から1ヶ月以上が経過した作品では、森山直太朗の「さくら(独唱)」(2003年3月5日発売)が2003年5月12日 - 26日付の3週連続で首位を獲得して以来、7年8ヶ月ぶりであった[9]

    2010年7月11日より配信開始した着うたフルでは、翌年の2011年10月に75万ダウンロードに到達[10]。PC・スマホ計でも既に25万ダウンロード[11]に到達していたため、フル配信での売上は100万件を達成している。

    小説[編集]

    トイレの神様
    著者 植村花菜
    発行日 2010年7月9日
    発行元 宝島社
    ジャンル ノンフィクション
    日本の旗 日本
    言語 日本語
    ページ数 206
    公式サイト トイレの神様│宝島社の公式WEBサイト 宝島チャンネル
    コード ISBN 978-4-7966-7754-7
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    2010年7月9日に、宝島社より発売された植村花菜による著書である。同人の同名楽曲についてや、自身についてつづられたノンフィクション小説である。

    2011年1月7日に23万部を突破したことが[12]、同年1月13日に、オリコン1月17日付で“本”ランキングBOOK(総合)部門では前週70位から27位と大きくジャンプアップ、タレント本部門では前週2位から初めて首位を獲得したと報じられた[13]

    絵本[編集]

    トイレの神様
    著者 植村花菜
    イラスト とりごえまり
    発行日 2010年9月2日
    発行元 講談社
    ジャンル 絵本
    日本の旗 日本
    言語 日本語
    形態 A5判
    公式サイト 『トイレの神様』(植村花菜, とりごえまり)|講談社BOOK倶楽部
    コード ISBN 978-4-06-216507-5
    ウィキポータル 文学
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    2010年9月3日に、講談社より発売された植村花菜による絵本である。ストーリーは同名楽曲や同名著書(上記のノンフィクション小説)を元にしたものである。

    作画は、絵本作家のとりごえまりが担当している。

    テレビドラマ[編集]

    新春ドラマスペシャル・トイレの神様
    ジャンル テレビドラマ
    原作 植村花菜「トイレの神様」
    脚本 旺季志ずか
    演出 竹園元
    出演者 北乃きい岩下志麻
    エンディング 植村花菜「トイレの神様」
    製作
    プロデューサー 八木康夫、竹園元、亀井弘明
    制作 毎日放送
    放送
    音声形式ステレオ放送
    放送国・地域日本の旗 日本
    放送期間2011年1月5日
    放送時間21:00 - 22:58
    放送分118分
    回数1
    毎日放送『トイレの神様』

    特記事項:
    TBS系列外では、秋田テレビフジテレビ系列)でも放送。
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    毎日放送開局60周年記念のスペシャルドラマ」として、毎日放送制作、TBS系列で、2011年1月5日の21:00 - 22:58(JST)に放送した。またTBS系列以外では、同系列局のない秋田県秋田テレビフジテレビ系列)で、3日遅れの2011年1月8日の13:00 - 14:54(JST)に放送された。視聴率関東9.8%、関西16.1%(いずれもビデオリサーチ調べ)。

    植村本人の高校生までの生活をベースとしたオリジナルストーリー。2011年6月3日DVDが発売された。

    主な出演者[編集]

    スタッフ[編集]

    備考[編集]

    大手トイレメーカーのINAX(現:LIXIL)がメインスポンサーとなり[14][15]、劇中で幼少期の花菜がトイレを掃除している場面がCMとして流された。尚、上海万博での植村のスペシャルライブもINAXが協賛している。

    放送から2ヶ月後の2011年3月11日東北地方太平洋沖地震東日本大震災)が発生した影響で番組が差し替えとなり、同年3月16日の21:00 - 22:48枠で急遽このドラマが再放送された。被災地にある系列局に配慮してTBS・MBSがローカル差し替えができるように措置をとったためで、本来はバラエティ番組イチハチ』の最終回2時間スペシャルが放送される予定だった[16]。実際東北放送は大震災に関する報道特別番組を、テレビユー福島TBSニュースバードサイマル放送をそれぞれ20時台から放送していた。

    2011年5月に、上海で開催の『第17回上海テレビ祭国際番組コンテスト』の「テレビフィルム部門」で入賞(ノミネート)したことが明らかになった[17]

    2011年6月4日の14:52 - 17:00に、前述の上海テレビ祭国際番組コンテストで入賞したのを記念して、毎日放送で2回目の再放送が関西ローカルで放送された。

    来歴[編集]

    2010年
    • 2月10日 - 3月9日までの期間限定で無料の着うた配信が行われる[18]
    • 3月10日 - 楽曲収録ミニアルバム「わたしのかけらたち」が発売される。
    • 6月30日 - mu-moにて着うたフル配信開始[19]
    • 7月9日 - 著書『トイレの神様』発売。
    • 9月3日 - 絵本『トイレの神様』発売。
    • 11月18日 - TBS『第42回日本有線大賞』で「トイレの神様」が有線音楽優秀賞、特別賞を受賞。
    • 11月24日 - 「トイレの神様」がシングルカットされた。
    • 11月25日 - 植村花菜が『第61回NHK紅白歌合戦』に初出場し、「トイレの神様」をノーカットのフルバージョンで歌うことが決定したと報じられた[20]
    • 12月25日 - α-Station『J-AC TOP40』で年間チャート第1位になる。尚、同週間チャートでは22週連続トップ40入りしていた[21]
    • 12月30日 - 『第52回日本レコード大賞』で作詞賞と優秀作品賞を受賞。
    • 12月31日 - 『第61回NHK紅白歌合戦』に植村花菜が初出場、「トイレの神様」を上述の紅白歌合戦バージョンで歌った。
    2011年
    • 1月4日 - 『レコチョク』の着うたフルのデイリーチャートで1位を獲得[22]
    • 1月5日 - TBS系列で『新春ドラマスペシャル・トイレの神様』が放送される。
    • 1月6日 - オリコンのウィークリーランキング(2011年1月10日付)で、シングル部門で初の首位を獲得したと報道された。また、『第25回日本ゴールドディスク大賞』の特別賞を受賞した[23]
    • 2月1日 - 『レコチョクアワード 月間最優秀楽曲賞 2011年1月度』のダウンロード(シングル)部門で、初となる月間1位を獲得。月間ランキングでは配信して半年後に初めてトップに立った。[24]
    • 2月24日 - 花王トイレクイックルのCM曲としてオンエア。

    関連項目[編集]

    脚注[編集]

    1. ^ ゴールド等認定作品一覧 2011年1月”. 一般社団法人 日本レコード協会. 2016年3月22日閲覧。
    2. ^ a b c d e f 植村花菜のルーツは大久保利通!祖母の故郷で知る”. スポーツニッポン. スポーツニッポン新聞社 (2011年3月10日). 2017年12月31日閲覧。
    3. ^ 2010年3月、ラジオ出演の際3年半前に亡くなったと述べたことによる。
    4. ^ 【植村花菜 マンスリーレギュラー番組スタート!】”. TOKYO FM MUSIC ENTERTAINMENT INC.. 2016年3月22日閲覧。
    5. ^ アコースティック・ギター・マガジン Vol.46 リットーミュージック 2010年12月号 p22。
    6. ^ 詞を先に作ることは、NHKの『大阪発疾走ステージ WEST WIND』でブラックマヨネーズに提供した曲「未来」以外ほとんどなかった[要出典]
    7. ^ 植村花菜「トイレの神様」紅白会見 ドン・アッコ『不快』至極当然! - ライブドアニュース”. ライブドアニュース(livedoor ニュース) (2010年12月1日). 2016年3月22日閲覧。
    8. ^ 植村花菜「トイレの神様」オリコン2週連続1位獲得時の売上は歴代ワースト1位・2位! 僅か1.1万枚で1位獲得 - The Natsu Style”. The Natsu Style - オリコン/iTunesトップソング等音楽ランキングに関するニュースサイト (2011年1月15日). 2016年3月22日閲覧。
    9. ^ 「トイレの神様」、2年4ヶ月ぶりのシングル2週連続首位”. ORICON STYLE|ヒットが見える トレンド情報サイト (2011年1月11日). 2016年3月22日閲覧。
    10. ^ 月次認定作品”. 一般社団法人 日本レコード協会. 2016年3月22日閲覧。
    11. ^ 月次認定作品”. 一般社団法人 日本レコード協会. 2016年3月22日閲覧。
    12. ^ 書籍にも特需 『トイレの神様』タレント部門2位”. ORICON STYLE|ヒットが見える トレンド情報サイト (2011年1月8日). 2016年3月22日閲覧。
    13. ^ 『トイレの神様』タレント本初首位”. ORICON STYLE|ヒットが見える トレンド情報サイト (2011年1月13日). 2016年3月22日閲覧。
    14. ^ INAX|INAXについて|News Release INAXは7月に開催される上海万博「日本産業館ウィーク」の植村花菜さん『「トイレの神様」スペシャルライブ』に協賛します”. INAX公式サイト|LIXILのトイレ・浴室・洗面化粧台・タイル・外壁の製品ブランド (2010年6月30日). 2016年3月22日閲覧。
    15. ^ 系列外の秋田テレビではINAXのみのスポンサードネット。
    16. ^ 同番組は2週間延期し、3月30日に放送された。
    17. ^ スポーツ報知大阪版、2011年5月14日記事より。
    18. ^ ☆『トイレの神様』着うた無料!?☆”. 植村花菜オフィシャルブログ 愛があればそれでいいのだ☆ (2010年2月11日). 2016年3月22日閲覧。
    19. ^ 植村花菜「トイレの神様」着うたフルがついに解禁、音楽ナタリー、2010年6月30日。
    20. ^ “紅白史上最長!植村花菜9分52秒歌う!”. サンケイスポーツ. (2010年11月25日). オリジナルの2011年1月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110131215710/http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/110110/ent11011002470029-n1.htm 2011年2月8日閲覧。 
    21. ^ RANKING CHART”. α-STATION エフエム京都 (2010年12月25日). 2016年3月22日閲覧。
    22. ^ “紅白効果”で植村花菜「トイレの神様」が配信ランキング首位に - ライブドアニュース”. ライブドアニュース(livedoor ニュース) (2011年1月5日). 2016年3月22日閲覧。
    23. ^ THE JAPAN GOLD DISC AWARD|THE GOLD DISC”. THE GOLD DISC. 2016年3月22日閲覧。
    24. ^ 「レコチョクアワード 月間最優秀楽曲賞 2011年1月度」を発表”. AdverTimes(アドタイ) (2011年2月1日). 2016年3月22日閲覧。
    25. ^ ☆『トイレの神様』参拝♪☆”. 植村花菜オフィシャルブログ 愛があればそれでいいのだ☆ (2010年2月24日). 2016年3月1日閲覧。

    外部リンク[編集]