ダイハツ・クオーレ

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クオーレCuore)は、ダイハツ工業が生産・販売した軽自動車である。

ダイハツ・クオーレ
8代目
概要
別名 ダイハツ・MAXクオーレ
ダイハツ・ミラクオーレ(2代目商用版)
ダイハツ・ミラ
ダイハツ・シャレード
プロドゥア・ビバ
製造国 日本の旗 日本[1]
パキスタンの旗 パキスタン(5代目のみ)
販売期間 1977年 - 2013年
ボディ
ボディタイプ 2/4ドアファストバックセダン
3/5ドアハッチバック
系譜
先代 ダイハツ・フェローMAX
後継 ミラに統合
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概要[編集]

それまでのフェローMAXを新しい軽自動車規格に対応、ボディを拡大したリメイク的なモデルとして「MAXクオーレ」の名で登場。車名が「クオーレ」となった2世代目からは乗用車モデルのみの設定となり、ミラ(当初はミラ・クオーレ)が商用モデルの姉妹車として設定された。その後当時の税制上有利だったミラの方が売れたことで、日本国内では3世代目のモデル末期、1989年にミラに統合された。

日本においてクオーレの商標が廃止された後は、欧州向けの輸出車として商標が継続された。日本国内向けのミラセダンとほぼ同型の車体に850ccや1000ccのエンジンを載せ、ダイハツが欧州での販売から撤退した2013年1月末まで販売された[1][2]

ミラ系のモデルはマレーシア・プロドゥア社が現地名で現地生産しているが、「クオーレ」名のモデルについてはパキスタンでL500系モデルが現地生産された[3]以外、欧州向けに関しては最後まで日本からの輸出であった[1]

初代 L40S系 MAXクオーレ(1977年 - 1980年)[編集]

ダイハツ・MAXクオーレ(初代)
L40型
1980年式輸出仕様
1981年式輸出仕様
概要
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1977年 - 1980年
ボディ
乗車定員 4人
ボディタイプ 2ドア/4ドアファストバックセダン
3ドアバン
駆動方式 FF
パワートレイン
エンジン AB型 0.55L 4サイクル直2
最高出力 31PS/6,000rpm
最大トルク 4.2kgf·m/3,500rpm
変速機 4速MT
前:マクファーソンストラット
後:セミトレーリングアーム式サスペンション
前:マクファーソンストラット
後:セミトレーリングアーム式サスペンション
車両寸法
ホイールベース 2,090mm
全長 3,160mm
全幅 1,395mm
全高 1,320mm
車両重量 565kg
その他
データモデル 4ドア ハイカスタムEX 1979年式
系譜
後継 ダイハツ・クオーレ(セダン)
ダイハツ・ミラクオーレ(バン)
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1977年7月、「MAXクオーレ」(マックスクオーレ、Max Cuore)発売。フェローMAX(1970年発売)のリメイク的モデルとして、ボディを軽自動車の新規格(1976年1月施行)に対応するべく拡大したビッグマイナーチェンジ版である。

軽自動車新規格への対応については、1976年5月のマイナーチェンジでエンジンは2サイクル360ccから4サイクル550ccに変更・拡大したが、車体は360cc規格のままであった(バンパーのみ拡大強化された)。MAXクオーレはボディ幅を100mm拡大、これによりボディ・エンジンとも新規格への対応を果たした。シャシー面では拡幅に伴いトレッドが広がった他は、ホイールベースやサスペンション形式に変更はない。エンジンも前年登場の物を引き継いでいる。

形式はセダンがC-L40、バンがH-L40Vである。ラインナップは2ドアセダン(STD/DX/カスタム)、4ドアセダン(DX/カスタム/ハイカスタム)、3ドアバン(STD/DX/スーパーDX)の3種。エンジンはAB型2気筒4サイクル。547cc、28馬力である。CMキャラクターは小鹿ミキ

1979年3月 マイナーチェンジ。セダンは53年排出ガス規制適合でE-L40、バンは54年排出ガス規制適合でJ-L40Vとなる。最高出力は31馬力に向上。

1980年7月 販売終了。MAXクオーレの生産台数は14万4241台[4]。フェローMAXから通算で10年販売された長寿モデルとなった。後継車はセダンが「クオーレ(2代目)」(Cuore)、バンが「ミラクオーレ」である。

1987年7月には台湾でも生産が終了し、Maxクオーレは丸10年の歴史に幕を閉じました。(文献による)[5]

2代目 L55S系(1980年 - 1985年)[編集]

ダイハツ・クオーレ(2代目)
L55S/60型
欧州向け617ccエンジン搭載車
概要
別名 ダイハツ・ミラクオーレ
ダイハツ・ミラ(初代)
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1980年7月 - 1985年8月[6]
ボディ
乗車定員 4人
ボディタイプ 3ドアハッチバック
4ドアファストバックセダン
パワートレイン
エンジン AB[7]
最高出力 31ps/6000rpm[7]
最大トルク 4.2kg-m/3500rpm[7]
変速機 4MT/イージードライブ/2AT/5AT[7]
車両寸法
全長 3195mm[7]
全幅 1395mm[7]
全高 1370-1375mm[7]
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1980年7月にフルモデルチェンジを受け、独立したモデルとして「クオーレ」となる。ボディタイプは3ドアハッチバックとリアガラスハッチドアを備えた4ドアファストバックセダンの2種類。エンジンは2気筒のAB型。

この時に商用モデルの姉妹車ミラ クオーレ (Mira Cuore) 」が誕生する。ミラクオーレ(1982年5月以降はミラに車名変更)は商用車(軽ボンネットバン)であるゆえに物品税が免除されるなど有利だったことから、乗用モデルのクオーレよりはるかに上の台数が販売された。

  • 1980年7月 フルモデルチェンジで「クオーレ」登場。グレードは3ドア車がMO/MG。4ドア車がMG/MGE/MGL。「イージードライブ」と呼ばれるオートクラッチの設定もあった。
  • 1982年5月 マイナーチェンジ。145SR10ラジアルタイヤとトリップメーターを装備するスポーティ仕様の3ドアMGX、および5速MT仕様(4ドアMGLと3ドアMGX)をそれぞれ追加。メーターパネルの意匠変更のほか、オートクラッチは2速フルATに改良。
  • 1983年5月 ドアミラー車追加。
  • 1983年10月 メーカーオプションとして10インチのフロントディスクブレーキの装着が全車において追加設定。

ミラに設定されたターボ車と4WD車は、最後まで設定されなかった[7]

3代目 L70S系(1985年 - 1989年)[編集]

ダイハツ・クオーレ(3代目)
L70S型
輸出仕様車
概要
別名 ダイハツ・ミラ(2代目)
製造国 日本の旗 日本
販売期間 1985年8月 - 1989年4月[8]
ボディ
乗車定員 4人
ボディタイプ 3/5ドアハッチバック
パワートレイン
エンジン EB
最高出力 34ps/3500rpm-52ps/6500rpm[8]
最大トルク 4.5kg-m/3500rpm-52ps/6500rpm[8]
変速機 5MT/4MT[8]
車両寸法
全長 3195mm[8]
全幅 1395mm[8]
全高 1415mm[8]
系譜
後継 ミラに統合
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1985年にフルモデルチェンジ。エンジンは新開発の直列3気筒SOHC・EB型を搭載、インタークーラーターボエンジンもラインナップされた。ボディは3ドアまたは5ドアのハッチバック。

先代に続きミラは商用版の姉妹車としてラインアップされ、先代同様販売に関しては一部税金免除がある商用車であるミラに主役の座を奪われてしまう。結果、日本国内ではモデル末期に車名がミラに統合された。

  • 1985年8月 フルモデルチェンジ。
    • 直列3気筒SOHCエンジン(34馬力)とインタークーラーターボエンジン(52馬力)が搭載される。
    • グレードは3ドア車にTA/TC/TC-X。5ドア車にCA/CG/CX/ターボCR。
    • 初期は3ドアTC-Xと5ドアターボCR以外、前輪ブレーキはドラムブレーキでタイヤは10インチバイアスタイヤであった。
    • AT車の設定も3ドアTC、5ドアCG/CXとミラに比べると少なかった。
  • 1986年4月 ミラとの差別化の意味で内装面を大幅に高級化した最上級モデルの「グラン」が追加される。このグレードは12インチラジアルタイヤ・リモコンドアミラー・フロントディスクブレーキを標準装備。4/5速MTと2速ATがチョイスできた。
  • 1987年8月 マイナーチェンジ/フェイスリフトが行われる。
  • 1987年9月 姉妹車のミラと共に、ダイハツ創立80周年を記念してエアコン付特別限定車「コティ80」が発売される。
  • 1988年3月 パルコとのタイアップによる特別仕様車「パルコ」発売。「パルコ」仕様は同時にミラにも設定され、その後オプティ(初代)・ムーヴ(2代目)・YRVにも設定される。
  • 1988年10月 一部変更。AT車が3速AT化、および安全装置を標準装備。5ドアCXと3ドアTCにフロントディスクブレーキと12インチラジアルタイヤが装着される。3ドアTC-XはTCに統合される形で廃止。
  • 1989年4月、税制度改正で物品税の廃止と同時に消費税が導入され商用車の利点が減ったことで「クオーレ」のネームをすでに軽自動車の代名詞となっていた「ミラ」に統一することとなった。これにより日本国内でのクオーレの名称は12年の歴史に幕を閉じた。
この最後のマイナーチェンジで、3ドアセダンにもターボTRを追加。なお、セダンモデルのターボ車には最後までAT車の設定はなかった。

4代目 L200系(1990年 - 1994年)[編集]

ダイハツ・クオーレ(4代目)
L200/201型
フロント
概要
別名 ダイハツ・ミラ(3代目)
ダイハツ・チェリア(初代)
プロドゥア・カンチル(初代)
プロドゥア・ニッパ(初代)
製造国 日本の旗 日本[1]
販売期間 1990年 - 1994年
ボディ
乗車定員 4人
エンジン位置 フロント
駆動方式 前輪駆動
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3代目ミラの欧州輸出仕様。欧州輸出向けには「クオーレ」の名称が継続された。

5代目 L500系(1995年 - 1999年、パキスタン仕様 : 2000年 - 2012年)[編集]

ダイハツ・クオーレ(5代目)
L500/501型
フロント
概要
別名 ダイハツ・ミラ(4代目)
製造国 日本の旗 日本[1]
パキスタンの旗 パキスタン
販売期間 1995年 - 1999年
パキスタン : 2000年 - 2012年
ボディ
乗車定員 4人
エンジン位置 フロント
駆動方式 前輪駆動
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4代目ミラの欧州向け輸出仕様。

また、このモデルは2000年から2012年[9]まで、パキスタンのインダス・モーター・カンパニーによって「クオーレ」名で現地生産および販売された[3]

6代目 L700系(1999年 - 2003年)[編集]

ダイハツ・クオーレ(6代目)
L700/701型
前期型 5ドア(フロント)
前期型 5ドア(リア)
概要
別名 ダイハツ・ミラ(5代目)
ダイハツ・ミラジーノ(初代)
プロドゥア・クリサ
光岡・レイ(3代目)
製造国 日本の旗 日本[1]
販売期間 1999年 - 2003年
ボディ
乗車定員 4人
エンジン位置 フロント
駆動方式 前輪駆動
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5代目ミラの欧州向け輸出仕様。

なお、日本国内では2002年から2004年までミラジーノ1000として、輸出向けと同じ1000ccエンジン搭載モデルが外観をミラジーノ仕様に変えて販売されている。

7代目 L251型(2003年 - 2007年)[編集]

ダイハツ・クオーレ(7代目)
L251型
5ドア(フロント)
5ドア(リア)
概要
別名 ダイハツ・ミラ(6代目)
プロドゥア・ビバ(初代)
ダイハツ・シャレード(5代目)
製造国 日本の旗 日本[1]
販売期間 2003年 - 2007年
ボディ
乗車定員 4人
ボディタイプ 5ドア ハッチバック
エンジン位置 フロント
駆動方式 前輪駆動
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6代目ミラの欧州向け輸出仕様。

8代目 L276型(2007年 - 2013年)[編集]

ダイハツ・クオーレ(8代目)
L276型
2008年販売型 フロント
2008年販売型 リア
概要
別名 ダイハツ・ミラ(7代目)
スバル・プレオ(2代目)
ダイハツ・シャレード(6代目)
製造国 日本の旗 日本[1]
販売期間 2007年 - 2013年
ボディ
乗車定員 4人
ボディタイプ 5ドア ハッチバック
エンジン位置 フロント
駆動方式 前輪駆動
パワートレイン
変速機 4速MT
車両寸法
ホイールベース 2,489 mm
全長 3,470 mm
全幅 1,473 mm
全高 1,529 mm
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7代目ミラの欧州向け輸出仕様。2013年1月末、ダイハツが欧州での販売から撤退したことにより、販売終了。「クオーレ」の名称は36年の歴史に幕を下ろした。

車名の由来[編集]

CUORE」は、イタリア語で「ハート」を意味する。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h 知られざる「海外で走る軽自動車」その1 ダイハツ・ミラ”. gazoo.com (2016年2月14日). 2022年6月12日閲覧。
  2. ^ ダイハツ、欧州から撤退 東南アジアにシフト”. 日本経済新聞 (2011年1月14日). 2022年6月12日閲覧。
  3. ^ a b パキスタンでダイハツ「クオーレ」生産開始”. ダイハツ工業株式会社 (2000年3月27日). 2022年12月25日閲覧。
  4. ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第12号25ページより。
  5. ^ 日本の名車 Vol.90”. みんカラ. 2024年3月25日閲覧。
  6. ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第15号25ページより。
  7. ^ a b c d e f g h デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第15号26ページより。
  8. ^ a b c d e f g デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第17号22ページより。
  9. ^ Daihatsu Cuore 2000-2012 Pakistan”. Fairwheels. 2022年12月25日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]