イスタンブール地下鉄

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イスタンブール地下鉄
İstanbul metrosu
イスタンブール・メトロ M4号線のボスタンジュ駅(トルコ語版)
イスタンブール・メトロ M4号線のボスタンジュ駅トルコ語版
基本情報
トルコの旗 トルコ
所在地 イスタンブール
種類 ラピッド・トランジット
開業 1989年9月3日(M1、ライトメトロとして)
2000年9月16日(M2、地下鉄として)
所有者 イスタンブール大都市圏自治体
運営者 メトロイスタンブール
詳細情報
総延長距離 194,2 km
路線数 11路線(3路線建設中)
駅数 133駅(83駅建設中)
輸送人員 7億5700万人(2022年)
保有車両数 453
軌間 1,435 mm
電化方式 架空電車線方式(M2,M6以外)
第三軌条(M2,M6)
路線図
路線図
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イスタンブール地下鉄(イスタンブールちかてつ、トルコ語: İstanbul metrosu)は、トルコイスタンブール地下鉄である。

概要[編集]

イェニカプ駅構内
金閣湾に架かるM2号線の橋(金角湾メトロ橋トルコ語版英語版
M5号線Huzurevi駅の駅名表示板

M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8、M9、M11の10路線が開通しM10、M12、M14が建設中、M13が計画中である。そのうちヨーロッパ側をM1、M2、M3、M6、M7、M9、M11が、アジア側をM4、M5、M8、M10、M12、M14に分かれており両地域をつなぐ地下鉄路線は無く、両地域を結ぶ鉄道としてマルマライ線が走る。

2023年現在、総延長は194.2 kmとなり、人口1000万都市としては遅れていた交通インフラ整備のために急速に建設が進められている。2012年から2023年にかけては相次いで8路線が開通し、さらに2025年までに3路線が開通予定の建設ラッシュで完成すると総延長は300kmを超える予定である。

歴史[編集]

1989年9月3日に現在のM1線がハフィフメトロという名称でライトメトロとして開通。開通当初はライトレール路線としての扱いだったため、本格的な地下鉄の開通としては2000年9月16日に開通した2号線が最初とされる。また、1875年1月17日に開通した地下ケーブルカー方式のテュネルを最初の地下鉄(地下鉄としてはロンドンに次いで世界で2番目)とする記述も見られるがイスタンブル地下鉄には含まれない。

その後は、2012年に4号線、2013年に3号線、2017年に5号線、2016年に6号線が開通した。2020年夏季五輪の招致を目指して地下鉄建設が進められてきたが、2013年に開かれた第125次IOC総会で招致に失敗。しかし、建設は継続され大規模な公共投資はエルドアン大統領が指揮する一大プロジェクトとなってきた。

路線[編集]

路線 ルート 総延長 開通年 備考
イェニカプアタチュルク空港トルコ語版/キラズルトルコ語版 26.1 km 23 1989年 LRT路線として開業した最初の路線。ハルカル駅まで9駅が建設中
イェニカプハジュオズマントルコ語版 23.5 km 16 2000年 2000年に開通した最初の地下鉄路線
キラズルトルコ語版カヤシェヒル・メルケズトルコ語版 15.9 km 11 2013年 延伸区間、11駅が建設中
カドゥキョイトルコ語版サビハ・ギョクチェン空港 21.3 km 19 2012年 延伸区間、6駅が建設中
ユスキュダルチェキメキョイトルコ語版 20 km 16 2015年 10.9 km、8駅が建設中
レヴェントボアジチ大学=ヒサリュステュトルコ語版 3.3 km 4 2015年
ユルドゥズトルコ語版マフムットベイトルコ語版 24.5 km 19 2020年 23㎞、13駅が建設中
ボスタンジュトルコ語版パルセルレルトルコ語版 14.2 km 13 2022年
バファリエトルコ語版オリンピヤトトルコ語版 13.0 km 12 2021年 延伸区間、9駅が建設中
Pendik Sahil ↔ Kaynarca Merkez 5.10 km 2 2025年 建設中
キャウトハーネ貨物ターミナルトルコ語版 37.2 km 9 2023年 貨物ターミナルからハルカル駅までの区間が建設中。
Göztepe ↔ Ümraniye 13.03 km 11 2024年 建設中
Hastane ↔ Yenidoğan 6.90 km 6 未定 計画中
Altunizade ↔ Kazım Karabekir 7.3 km 6 2024年 建設中
Beylikdüzü ↔ Sabiha Gökçen Airport 7.3 km 6 未定 総延長75.5㎞。計画中

M1号線[編集]

M1A/M1B号線の路線図
地上を走るM1号線のハフィフ・メトロ
M1号線のDavutpaşa—YTÜ駅
M1号線のアタテュルク空港駅

M1号線英語版は、1989年に完成した最初の路線であり、ハフィフ・メトロと呼ばれている。ハフィフとはトルコ語で「軽い」を意味し、英語のLight Metro(ライトメトロ)を直訳したものである。従って、その規格は路面電車に近く、地上区間が大半であることから地下鉄ではなくライトレールに含める事が多い。しかし、近年に路線番号がM1とされ地下鉄一号線として分類されるようになった。2014年に完成したマルマライやトラム、地下鉄2号線への乗換駅であるイェニカプ駅を基点に旧アタテュルク国際空港にまで延びているヨーロッパ側を走る。Esenler駅からKirazlı駅までの区間が2013年に開通した。Kirazlı駅でM3号線に接続する。長年、空港連絡鉄道として重要な地位を占めていてが、2019年に旧アタテュルク国際空港は旅客営業を終えた。Kirazlı駅からトルコ国鉄高速鉄道ターミナル駅のハルカル駅までの区間が建設中である。

M1本線。支線のM1A、M1B線と直通運転をしている。

  • Yenikapı: (M2) (Marmaray) (İDO)
  • Aksaray: (T1)
  • Emniyet-Fatih
  • Topkapı-Ulubatlı: (T4)
  • Bayrampaşa-Maltepe
  • Sağmalcılar
  • Kocatepe
  • Otogar / Coach Station

支線のM1A線

  • Terazidere
  • Davutpaşa-YTÜ
  • Merter: (Metrobus)
  • Zeytinburnu: (T1) (Metrobus)
  • Bakırköy-İncirli
  • Bahçelievler: (Metrobus)
  • Ataköy-Şirinevler: (Metrobus)
  • Yenibosna
  • DTM-İstanbul Fuar Merkezi / Expo Center
  • Atatürk Havalimanı

支線のM1B線

  • Esenler
  • Menderes
  • Üçyüzlü
  • Bağcılar Meydan: (T1)
  • Kirazlı: (M3)
  • Barbaros(建設中)
  • Malazgirt(建設中)
  • Mimar Sinan(建設中) (M9)
  • Fatih(建設中)
  • Halkalı Üniversite(建設中)
  • Mehmet Akif Ersoy(建設中)
  • Yenidoğan(建設中)
  • Bezirganbahçe(建設中)
  • ハルカル駅(建設中) (M11、M34)

M2号線[編集]

M2号線の路線図
金角湾を渡るM2号線
M2号線のハリッチ駅
M3号線の路線図

M2号線英語版は、1992年に着工し、2000年にイスタンブール初の本格的な地下鉄として新市街側のイスティクラル通りの北の終点であるタクスィム広場から北の住宅街に向けて開通した路線である。また、トルコ・テレコム・アリーナサナイ・マハーレシィ駅トルコ語版を結ぶシャトル路線が支線として運行されている。この新市街の地下鉄は金角湾を金角湾メトロ橋トルコ語版英語版で渡って旧市街に達し、M1号線やマルマライ線、トラムと接続するイェニカプ駅までの区間が2014年2月15日に開通した。

Sanayi Mahallesi:

  • Seyrantepe

M3号線[編集]

M3号線のMahmutbey駅

M3号線英語版は、バシャクシェヒル=メトロケントトルコ語版キラズルトルコ語版間、支線のオリンピヤトトルコ語版イキテッリ・サナイトルコ語版間が2013年6月14日に開通。Kirazlı駅ではM1B号線に接続する。イスタンブールが立候補していた2020年夏季オリンピックの会場予定であったオリンピック公園への交通手段路線として整備された。キラズル駅から先、バクルキョイIDO駅トルコ語版までの延伸計画もある。

  • Başakşehir-Metrokent
  • Başak Konutları
  • Siteler
  • Turgut Özal
  • İkitelli Sanayi,
  • İstoç
  • Mahmutbey: (M7)
  • Yenimahalle
  • Kirazlı: (M1B)

İkitelli Sanayi:

  • Ziya Gökalp Mahallesi
  • Olimpiyat

M4号線[編集]

M4号線の路線図
M4号線の車両
M4号線のアジバデム駅トルコ語版
M4号線のアイルルク・チェスメシ駅

M4号線英語版は、2008年に着工し、2012年に8月17日にアジア側のカドゥキョイトルコ語版 からカルタルトルコ語版までの区間が完成したアジア側最初の地下鉄路線である。2016年10月10日にはタヴシャンテペトルコ語版まで延伸された。全線が地下を走る。さらにその先はサビハ・ギョクチェン国際空港まで延伸部分が2022年10月2日に開通した。カドゥキョイトルコ語版, アイルルク・チェスメシ, ユナラントルコ語版ギョズテペトルコ語版の各駅は海面下の標高に位置している。

  • Kadıköy: (T3) (İDO)
  • Ayrılık Çeşmesi: (Marmaray)
  • Acıbadem
  • Ünalan: (Metrobüs)
  • Göztepe
  • Yenisahra
  • Kozyatağı
  • Bostancı
  • Küçükyalı
  • Maltepe
  • Huzurevi
  • Gülsuyu
  • Cevizli
  • Hastane-Adliye
  • Soğanlık
  • Kartal
  • Yakacık
  • Pendik
  • Tavşantepe
  • Hastane
  • Şeyhli
  • Kurtköy
  • Sabiha Gökçen Havalimanı

M5号線[編集]

M5号線の路線図
M5号線の自動運転を行う車両
M5号線のÜsküdar駅

M5号線英語版はアジア側ではM4号線につぐ2番目の地下鉄路線として2017年12月15日にユスキュダルヤマネブラー間が開通した。その後、2018年10月21日にはチェキメキョイトルコ語版までの区間が延伸開業している。トルコで最初の全自動運転の鉄道路線となっており、全駅にホームドアが設置されている。

  • Üsküdar: (Marmaray)
  • Fıstıkağacı
  • Bağlarbaşı
  • Altunizade: (Metrobüs)
  • Kısıklı
  • Bulgurlu
  • Ümraniye
  • Çarşı
  • Yamanevler
  • Çakmak
  • Ihlamurkuyu
  • Altınşehir
  • İmam Hatip
  • Dudullu
  • Necip Fazıl
  • Çekmeköy

M6号線[編集]

M6号線路線図。
6号線のNispetiye駅構内

M6号線英語版ライトレール・メトロ路線。2号線のレヴェント駅ボアジチ大学=ヒサリュステュ駅トルコ語版間の3.3kmが2015年4月19日に開通。

M7号線[編集]

M7号線の路線図
全面ホームドアのある7号線Mecidiyeköy駅

M7号線英語版は計画ではカバタシュ駅マフムットベイ駅トルコ語版を結ぶが、メジデイェキョイ - マフムットベイ間の18km、15駅が2020年10月28日に開通、ユルドゥズトルコ語版-メジデイェキョイ間が2023年1月2日に開通している。ユルドゥズ-メジデイェキョイ間は暫定的にシャトル運用となっている。2029年に全線が開通予定となっている。

  • Kabataş(T1) (F1)(建設中)
  • Beşiktaş(建設中)
  • Yıldız
  • Fulya
  • Mecidiyeköy: (M2) (Metrobüs)
  • Çağlayan
  • Kâğıthane
  • Nurtepe
  • Alibeyköy
  • Yeşilpınar
  • Veysel Karani
  • Akşemsettin
  • Kâzım Karabekir
  • Yenimahalle
  • Karadeniz Mahallesi: (T4)
  • Tekstilkent
  • Yüzyıl
  • Göztepe
  • Mahmutbey: (M3)

M8号線[編集]

全面ホームドアのあるM8号線の駅

M8号線英語版。2023年1月6日開通。総延長14.2 km。Bostancı駅とParseller駅を結ぶ。

M9号線[編集]

M9号線英語版。2021年5月29日部分開通。総延長13 km。Ataköy駅と Olimpiyat駅を結ぶ予定。

M10号線[編集]

M10号線英語版。Pendik Merkez駅からサビハ・ギョクチェン国際空港までを結ぶ建設中の路線。2025年開通予定

M11号線[編集]

M11号線のイスタンブール空港駅

M11号線英語版イスタンブール空港までを結ぶ路線。新空港開港に合わせて建設されていたが2023年1月23日に開通。M7号線のキャウトハーネ駅から路線が空港まで開通済みで空港~キャウトハーネ駅間所要時間26分で結ぶ。残りの空港からトルコ国鉄ハルカル駅までの区間は建設中である。ハルカル駅までの区間が完成するとマルマライ線を経由する高速鉄道に乗り換えてアンカラ方面へ行くことが可能となる。

M12号線[編集]

M12号線英語版。建設中。

M13号線[編集]

M13号線英語版。計画中。

M14号線[編集]

M14号線トルコ語版。建設中。

M34号線[編集]

M34号線トルコ語版。計画中。


その他[編集]

上記の地下鉄路線以外にも、ライレールのT4号線トルコ語版英語版は半数が地下を走り、ケーブルカーの2路線(F1F2)も地下を走る。そのうち、F2号線はテュネルと呼ばれ、ロンドンに次いで世界第二に古い地下鉄と言われることもある。また、マルマライ線も地下を走る。

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]