POSEIDON-1

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
POSEIDON-1
基本情報
船種 多目的作業船 (調査船掘削船)
船籍 日本の旗 日本
所有者 オフショアエンジニアリング
運用者 共栄マリン
建造所 神例造船
母港 横須賀
航行区域 近海区域(国際航海)
信号符字 7JUF
IMO番号 9748356
MMSI番号 431214000
経歴
起工 2014年8月28日[1]
進水 2015年2月10日[2]
竣工 2015年6月30日[3]
要目
総トン数 4,015トン
載貨重量 2,715トン
全長 78.0 m
20.4 m
深さ 7.0 m
満載喫水 5.5 m
主機関 新潟6L28 AHXディーゼルエンジン×2基
推進器 アジマススラスター×2基
出力 6,000馬力
航海速力 11.0ノット
搭載人員 77名
乗組員 19名
テンプレートを表示

POSEIDON-1は、深田サルベージ建設の多目的作業船[4]海底資源調査を目的としており、この種の特殊船を日本の民間企業が保有するのは初めてである[3]

船歴[編集]

神例造船で建造され、2015年2月10日に進水、2015年6月30日に竣工。

竣工後は、海底地質調査を中心に運行されており、2017年2月には沖縄県のキャンプ・シュワブ沖(辺野古拡張工事)において海底ボーリング調査に従事している事が報道された[5]

設計[編集]

主機関は、直列6気筒新潟原動機6L28 AHXディーゼルエンジン(単機出力3,000馬力)2基、推進器は同社のアジマススラスターであるZP-41CPを2軸備えている。またバウスラスター(15.0トン)も2基備えている[6]電源としては、ヤンマー6EY18ALW主発電機(1,088馬力)4基および三井カミンズ6CT8.3D非常用発電機(190馬力)1基を備えている[6]

定点保持が求められる掘削中には、これらはグローバル・ポジショニング・システムと連動した自動船位保持システム(DPS)によって自動制御されるが、このDPSとしてはコングスベルグ社のDP-IIが用いられている[6]。アジマススラスターを用いていることもあり、操舵装置としてはジョイスティックが用いられる[4]。なお本船のブリッジコンソールは、作業の特殊性を考慮して、日本無線によって新規開発された[7]

装備[編集]

船体中央に5.5メートル四方のムーンプールを設けており、ここから調査・掘削用機材の投入・揚収を行うことができる。その脇に建てられた櫓が、本船の外見上の特徴となっている。これは甲板からの高さ30メートル、ツイン・ラム・ホイスト・デリックGMTR150と称される掘削リグの一部を構成している。最大引張力は150トン、長さ9メートルのドリル・パイプを継ぎ足すことで、水深3,000メートルの海底から、更に150メートルの深さまで掘り下げることができる[4][8]。また右舷側には、ジェブセン・アンド・ジェッセン社製の大型クレーンを備えている。これは船体の動揺に対して安定化できるAHC(Active Heave Compensated)機能を備えており、最大力量は50トンである。これにより、水深2,500メートルの海底に20トンの資機材の設置が可能となる[3]。船尾甲板には、関連資機材の保管などのための輸送コンテナの搭載スペースが確保されている[4]

また作業支援および海洋調査のため、本船にはROVの運用が可能である。機種としてはカナダISE社のHYSUB 50-3000型が採用され、社内では「はくようS-3000」と称されている。稼働水深3,000メートル、6基の水中カメラを備えている。船橋構造物直後の左舷側に設けられたUフレームクレーンによって着水・揚収が行われる[4]

参考文献[編集]

  1. ^ 「深田サルベージ建設/海洋調査船の建造着手/メタンハイドレート対応」『日刊建設工業新聞』、2014年11月14日。
  2. ^ 深田サルベージ建設株式会社”. 2016年5月2日閲覧。
  3. ^ a b c 「新造船紹介」『世界の艦船』第821号、海人社、2015年9月、130頁。 
  4. ^ a b c d e 「深田サルベージの新造多目的作業船「ポセイドン1」を見る」『世界の艦船』第832号、海人社、2016年3月、122-123頁。 
  5. ^ “辺野古新基地、海上工事あす着手 大型特殊船が沖縄近海に”. 琉球新報 (琉球新報社). (2017年2月5日). http://ryukyushimpo.jp/movie/entry-439184.html 2017年2月20日閲覧。 
  6. ^ a b c 共栄マリン. “管理船舶紹介”. 2016年5月2日閲覧。
  7. ^ 多目的作業船向けブリッジコンソール」(PDF)『日本無線技報』第67号、2016年、69頁。 
  8. ^ 多目的作業船「POSEIDON-1」見学報告」(PDF)『SECニュース』、一般財団法人エンジニアリング協会 石油開発環境安全センター、2016年1月、2016年5月2日閲覧 

外部リンク[編集]