F-Lock

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マイクロソフト キーボードのF-Lock

F-Lock(エフロック)キーは、マイクロソフトが2001年に導入したキー[1]で、ファンクションキーの状態を切り替えるのに使用する。F-Lockがオンのとき、F1からF12のファンクションキーは、使用しているアプリケーションによって定義された役割で動作する。オフのとき、それとは違う別の役割として動作する。例えば、F5には「開く(Open)」、F10には「スペルチェック(spell)」が割り当てられている。初期のモデルでは、PCの再起動やキーボードリセットでF-Lockの状態がオフに戻ったが、後のモデルでは再起動後もF-Lockの状態を保持するようになった。

ロジクールビューソニックなど他のキーボードメーカーも、一部のキーボードでF-Lockキーを実装している。

問題[編集]

F-Lockの導入は、いくつかの点で批判された。

第一に、動作が直感的ではない。F-Lockがオフのとき、通常とは違う動作をするため、例えば Alt+F4などの組み合わせが機能しないように見える。

第二に、各キーに割り当てられた二次機能の選択が恣意的であるように見える。従来、F7にはスペルチェックの機能が割り当てられていた(マイクロソフト自体がOffice製品で使用している)が、F-Lockオフ時にはスペルチェックはF10となり、F7には「返信」(Reply)が割り当てられた。これは一部の批評家から強い批判を受けた[2]。また、ファイルの名前を変更しようとしてWindowsエクスプローラーでF2を押したとき、F-Lockがオフになっていると(F2には「取り消し」(undo)が割り当てられている)、1つ前のファイル操作が取り消されてしまい、何が実際に行われたかにユーザが気づかなかった場合、悲惨な結果を招く可能性がある。

このような懸念のため、「F-Lock機能を無効にする方法」が多くのWebサイトで紹介された[3]。マイクロソフト キーボード用のデバイスドライバであるIntelliType英語版 Proを使用すると、この問題を回避できる。これにより、ユーザはファンクションキーやアクセサリキーにキーストロークやマクロを割り当てることができる。例えば、ファンクションキーF1にマクロ{Press F1}を割り当てると、F-Lockの状態に関係なく、OSがキーの押下をF1として解釈するため、F-Lockの問題が発生しなくなる。

機能[編集]

F-Lockオフ時に割り当てられた二次機能は以下の通りである[4]

キー 二次機能 説明
F1 ヘルプ(Help) ヘルプを開く。
F2 元に戻す(Undo) 前の操作を取り消す。
F3 やり直し(Redo) 前の元に戻す操作を取り消す。
F4 新規(New) 新しいファイルを作成する。
F5 開く(Open) ファイルを開く。
F6 閉じる(Close) ファイルを閉じる。
F7 返信(Reply) メールに返信する。
F8 転送(Forward) メールを転送する。
F9 送信(Send) メールを送信する。
F10 スペルチェック(Spell) スペルチェックを開始する。
F11 上書き保存(Save) ファイルを上書き保存する。
F12 印刷(Print) ファイルを印刷する。

脚注[編集]

  1. ^ Yong Shu Chiang (2001年10月16日). “Microsoft Office Keyboard”. CNET Asia. 2006年2月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年11月21日閲覧。
  2. ^ http://www.udolpho.com/weblog/?id=00582 など
  3. ^ Jason Tsang. “Microsoft Keyboards - F Lock Key”. 2008年11月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年11月21日閲覧。
  4. ^ Fn キー/F Lock キー/代替コマンド キーの使用方法”. マイクロソフト. 2020年3月10日閲覧。

外部リンク[編集]