遠藤酒造場

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株式会社遠藤酒造場
Endo Brewery Inc.
種類 株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 日本の旗 日本
382-0000
長野県須坂市大字須坂29
北緯36度39分12秒 東経138度18分52秒 / 北緯36.65333度 東経138.31444度 / 36.65333; 138.31444座標: 北緯36度39分12秒 東経138度18分52秒 / 北緯36.65333度 東経138.31444度 / 36.65333; 138.31444
設立 1953年10月1日
業種 食料品
法人番号 3100001005472
事業内容 日本酒の製造・販売
代表者 代表取締役社長 遠藤秀三郎
資本金 1,000万円
従業員数 35
外部リンク www.keiryu.jp
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株式会社遠藤酒造場(えんどうしゅぞうじょう)は、長野県須坂市須坂の日本酒の蔵元、酒造会社。主力の銘柄は『渓流』であるが、少量多品種生産を特徴としており[1]、およそ30種類の酒が試飲可能な須坂市の本店には年間2万人ほどの観光客が訪れる[2][3]。春と秋の蔵開きが有名で特に春の【花もだんごも蔵開き】は3日間で35,000人も訪れる人気イベントとなっている。

近年『直虎』『彗』(シャー)という二つのブランドを発売して新しいファンを創造している。

沿革[編集]

1864年元治元年)10月[4]、創業者である遠藤徳三郎が須坂藩御用達の蔵元として創業し、永く『養老正宗』を生産した[5]。明治から昭和にかけての一時期には製糸業にも投資をしたが、世界恐慌を機に本業に専念し、遠藤家は「会社のお金を(商品相場などの)投資に使うな」を家訓にしたという[6]

その後も、事業は遠藤家の家業として5代にわたって継承され、1953年10月1日には株式会社となったが[7]1970年代の日本酒ブームには乗ることもなく事業は衰退していった[5]1982年に先代の死去にともない、もともと跡を継ぐ意思もなかった6代目の遠藤秀三郎が東京工業大学を中退して社長となった時には[6][8]、社員はわずか3人だったという[5]

社長就任から3年程が経った時点で、遠藤秀三郎は、養老正宗に代わる新しい銘柄の開発を決意した[6]。程なくして高齢の杜氏が引退することになった際[8]、遠藤社長は、中学・高校の同級生で、畑違いのフィットネスクラブで働いていた勝山敬三を誘って修業させ、1991年から杜氏とし、新たな酒造りに取り組んだ[9]

1988年に、後の主力銘柄『渓流』を発売し、通信販売に注力するようになった[5]1993年には『渓流』が長野県清酒品評会で県知事賞を受賞し[5]1997年には全国新酒鑑評会金賞を初めて獲得するなど[8]、様々な銘柄が各種の品評会などで受賞を重ね[10]2001年から2003年には全国新酒鑑評会で金賞を連続受賞し[1]2004年にはモンドセレクション金賞を得た[5]

商品開発の取り組みは、日本酒を使った食品類にも及んでおり、2009年には『渓流』を使ったカステラ状のケーキの販売を始めた[11]

長野県内では、松山三四六を起用したテレビ・コマーシャルを放送したこともある[12]。TVショッピング、ラジオショッピング、ECサイトでの販売も積極的に進めており時代を先駆けている蔵元である。

また、春と秋に催している蔵開きは全国規模で、春の特に「花もだんごも蔵開き」は3日間で35,000人の来場者を迎え近隣の臥竜公園の桜の花の季節と重なり蔵元周辺は相当の賑わいになっている。

主力銘柄【渓流】に加え、2014年【直虎】の商標登録を行い全国の地酒専門店の特約店のみに販売している。

また、2017年【彗】シャーを発売した。ラベルデザインなどは斬新で従来の日本酒のイメージを変えている。商品は必ず地球に飛来した彗星の名前を取り入れており、全国各地の有名な酒造好適米を集めて純米吟醸・純米大吟醸醸し出している。


銘柄

  • 渓流
  • 朝しぼり - 搾りたての原酒をそのまま瓶詰めしたもの。宅配便で配送される[8]
  • どむろく - 発酵途中の原酒を粗目の網で濾したどぶろくに似た酒[8]もろみを味わえる[9]
  • 直虎 - 名称は幕末の須坂藩主・堀直虎に由来する[4][13]
  • (シャア)

かつて取り扱っていた銘柄[編集]

同一ないし類似した社名の他の蔵元[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b “遠藤酒造場、ヤッホー・ブルーイング、“地方の酒”好調に秘訣。”. 日本経済新聞・長野: p. 3. (2008年9月9日)  - 日経テレコン21にて閲覧
  2. ^ “(酒もよう@信州:1)極上を注いで乾杯! 屈指の産地、魅力を発信”. 朝日新聞・長野: p. 29. (2016年1月1日)  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  3. ^ 須坂のお土産・特産品 遠藤酒造場”. 須坂市観光協会. 2019年10月30日閲覧。
  4. ^ a b 遠藤酒造場の自信作“純米吟醸生原酒「直虎」”が累計販売数13,000本を突破”. SankeiBiz/産経デジタル (2017年2月28日). 2019年10月29日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 会遠藤酒造場とは”. 遠藤酒造場. 2019年10月28日閲覧。
  6. ^ a b c “遠藤酒造場――時代見据えブランド育成(老舗の研究持続の秘訣)”. 日本経済新聞・長野: p. 3. (2018年2月16日)  - 日経テレコン21にて閲覧
  7. ^ 株式会社遠藤酒造場” (PDF). 地域商業文化を創造する会. 2019年10月29日閲覧。
  8. ^ a b c d e “(酒もよう@信州)蔵・ワイナリー巡り:64 遠藤酒造場 朝しぼり・どむろく…次々トライ”. 朝日新聞・長野: p. 22. (2017年9月15日)  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  9. ^ a b 石井朗生 (1997年7月5日). “遠藤酒造場(須坂市本上町) さわやかな味わい”. 毎日新聞・長野  - 毎索にて閲覧
  10. ^ (株)遠藤酒造場”. 長野県酒類販売. 2019年10月29日閲覧。
  11. ^ “遠藤酒造場、大吟醸ケーキ「渓流」――若い世代に日本酒PR(ビジネス手帳)”. 日本経済新聞・長野: p. 3. (2011年4月22日)  - 日経テレコン21にて閲覧
  12. ^ “遠藤酒造場――清酒復活へ新趣向、洋食向け提案やカクテル逆輸入(挑戦する企業)”. 日本経済新聞・長野: p. 3. (2011年11月8日)  - 日経テレコン21にて閲覧
  13. ^ “2人の直虎2市結ぶ 須坂と浜松 商標問題乗り越え 来月、物産展で連携”. 読売新聞・東京朝刊・長野: p. 25. (2017年4月14日)  - ヨミダス歴史館にて閲覧
  14. ^ “商店街が考案の古酒、予約開始 豊島”. 朝日新聞・東京: p. 30. (2008年1月8日)  - 聞蔵IIビジュアルにて閲覧
  15. ^ [日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション『大地球』 - コトバンク
  16. ^ “「令和」旋風 お祝いムード続く 梅園人気、万葉集コーナー…”. 読売新聞・東京朝刊・長野: p. 25. (2019年4月4日)  - ヨミダス歴史館にて閲覧
  17. ^ a b 銘酒ネット 1/3”. ティリオン. 2019年10月30日閲覧。
  18. ^ [日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション『宝富士』 - コトバンク
  19. ^ (有)遠藤酒造場|岡山県倉敷市【業種】不動産賃貸【倒産形態】破産手続開始決定」『東京経済ニュース』、2020年3月13日。2020年3月20日閲覧。
  20. ^ [日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション『光露』 - コトバンク
  21. ^ 東の麓酒造有限会社”. 日本酒造組合中央会. 2019年10月30日閲覧。
  22. ^ “山形の酒造5社、共同で統一商品――県内初の試み。”. 日本経済新聞・東北: p. 24. (1998年12月3日)  - 日経テレコン21にて閲覧

外部リンク[編集]