起渡船

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起渡船(おこしとせん)は、木曽川で運航されていた渡し船である。起の渡しとも称する。

愛知県の県指定史跡での名称は起渡船場である。

概要[編集]

愛知県尾西市(現在の一宮市起)と岐阜県羽島市正木町新井の間の木曽川で運航された渡船である。濃尾大橋の上流に位置していた。

江戸時代、起渡船は旧・美濃路(美濃街道)上にあることもあり、多くの利用者があった。そのため、渡船場は上流から定渡場(通称:「上」)、宮河戸(通称:「中」)、船橋河戸(通称:「下」)の3か所設置された。その中で一般に広く使用されたのは定渡場である。船橋河戸は将軍の上洛や江戸帰還時、朝鮮通信使などの通行の際に船を繋ぎ止め、その上に板を渡し、船橋(全長850m、使用船約270艘、使用板数約3000枚)を架けていた。

定渡場は濃尾大橋の上流約250m、宮河戸は濃尾大橋の下流約100m、船橋河戸は濃尾大橋の下流約300mに位置していた。船橋河戸は大正時代後期から駒塚渡船の航路となっている。

一宮市起の金刀比羅社、大明神社などに起渡船の石碑、案内板がある。また、羽島市正木町新井には石燈台(明和7年(1770年)の銘)がある。

歴史[編集]

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • 木曽川の渡し船(中山雅麗[1]・1989年)
  • 尾西市史 通史編 上巻(尾西市史編さん委員会・1998年)

脚注[編集]

  1. ^ 一宮市博物館事務局長(当時)