総鰭類

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総鰭類
地質時代
デボン紀 ‐ 現生
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 硬骨魚綱 Osteichthyes
亜綱 : 肉鰭亜綱 Sarcopterygii
階級なし : 総鰭類 Crossopterygii
下位分類(多系統群)

総鰭類(そうきるい、Crossopterygii)は、脊椎動物亜門硬骨魚綱肉鰭亜綱の下位分類群。

シーラカンス目(管椎類)の上位分類として肺魚亜綱(Dipnoi)またはハイギョ下綱(Dipnomorpha)と対となる分類群とされてきたが[1]、近年の分類体系でのシーラカンス目の所属は肉鰭綱シーラカンス亜綱(Coelacantiomorpha)[2]や肉鰭亜綱輻鰭下綱(Actinistia)[3]とされており、総鰭類は多系統群として認められていない[4]

解説[編集]

四肢の原型を持つ[5]シーラカンス[6][7][8][9]を含み、ハイギョ[10][1]両生類[11]を含まない。下位分類群には扇鰭類がおり[12]、扇鰭類にはエウステノプテロンなどが含まれる[13]

籔本美孝が記すところによれば、かつて総鰭類にはリゾドゥス類英語版シーラカンス類ポロレピス類英語版を含むオステオレピス類が含まれていた。しかし、これらの分類群の類縁関係には諸説あるものの、シーラカンス類は最も基盤的な肉鰭類、ポロレピス類はハイギョの姉妹群、オステオレピス類は四肢動物の姉妹群と考えられているため、総鰭類は人為分類群であるという[4]

出典[編集]

  1. ^ a b 田隅本生「脊椎動物における鼻器の進化と多様性」『耳鼻咽喉科展望』第14巻第1号、1971年、9-16頁、doi:10.11453/orltokyo1958.14.9 閲覧は自由
  2. ^ 矢野衛「肉鰭綱」、松井正文 編『バイオディバーシティ・シリーズ 7 脊椎動物の多様性と系統』岩槻邦男・馬渡峻輔 監修、裳華房、2006年、219-221頁。
  3. ^ 甲斐嘉晃「脊椎動物(魚類)――水中で多様に進化した分類群」、日本動物学会 編『動物学の百科事典』丸善出版、2018年、92-95頁。
  4. ^ a b 総鰭類とは - コトバンク”. コトバンク. 2022年11月3日閲覧。
  5. ^ 高橋利幸「筋骨格系と姿勢 ―ヒトの姿勢とその変遷―」『理学療法科学』第10巻第3号、1995年、149-160頁、doi:10.1589/rika.10.149 閲覧は自由
  6. ^ 穂下剛彦「動物の進化と胆汁酸」第8巻第4号、1994年、doi:10.11210/tando1987.8.4_311 閲覧は自由
  7. ^ 高橋良「鼻中隔の進化とその弯曲の成立について」『耳鼻咽喉科展望』第31巻第4号、1988年、499-510頁、doi:10.11453/orltokyo1958.31.499 閲覧は自由
  8. ^ 玉井洋一「シーラカンスの脳の化学組成とその系統発生的意義」第23巻第8号、1987年、doi:10.14894/faruawpsj.23.8_821_1 閲覧は自由
  9. ^ 本間義治「魚類の系統と内分泌腺の進化」第30巻、1963年、doi:10.19004/jsszc.30.0_5 閲覧は自由
  10. ^ 後藤仁敏「歯からみた脊椎動物の進化 : 人体地質学入門(講座)」第16巻、1987年、doi:10.15080/chitoka.16.0_87 閲覧は自由
  11. ^ 小原昭作、菅原美子「電気受容: その系統的分布と受容器の応答極性」第3巻第3号、1986年、doi:10.3330/hikakuseiriseika1984.3.95 閲覧は自由
  12. ^ 船坂宗太郎「耳小骨の系統発生」第21巻第5号、1978年、doi:10.11453/orltokyo1958.21.613 閲覧は自由
  13. ^ 本間義治「肺魚の系統的位置と内分泌腺」『動物分類学会誌』第4巻、1968年、10-15頁、doi:10.19004/pjssz.4.0_10 閲覧は自由

外部リンク[編集]