知床トコさん

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知床トコさん
天に続く道の案内看板
左端に知床トコさんがデザインされている
対象
日本
分類 北海道のマスコットキャラクター
モチーフ ヒグマ
指定日 2015年
関連グッズ Tシャツトートバッグ缶バッジなど
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知床トコさん(しれとこトコさん)は、ヒグマをモチーフとした北海道知床半島および斜里町マスコットキャラクター。知床の新たなイメージをアピールして新たな層の観光客を呼び込む事業のシンボルとして2015年(平成27年)に設定されたキャラクターであり、様々なキャラクターグッズの販売により、若い世代や女性の観光客に人気を博している。単に「トコさん」とも呼ばれる[1]

活動の経緯[編集]

知床は世界自然遺産のある土地であり、大自然、野生動物などのイメージが強いことや、2005年(平成17年)年以降に知床への観光客は減少していたことから、2015年より、時代に合わせて新しく多様なイメージを新たな層に伝えるための知床観光ブランディング事業が、斜里町で立ち上げられた[2]

その一環として、30歳代から40歳代の若い世代に知床に興味を持ってもらうことを目的として、斜里町が東京のデザイン会社である株式会社トラウトと協力し、知床トコさんが誕生した[2]。知床にはヒグマが多く生息することから、ヒグマを擬人化した姿をモチーフとしている[3][4]

設置上は、知床生まれで知床育ちのヒグマである。知床の大自然、山々のトレッキングが好きであり、好物はイクラの軍艦巻き[2]。人間と自然、野生動物との共存をいつも願っているとされる[2]

2016年(平成28年)にはTシャツ、トートバッグ、缶バッジなどの9種類のグッズが、ホテルや道の駅など、斜里町内の9か所で販売された[1]。斜里町内の案内看板などにも、トコさんが登場した[1]

反響[編集]

当初は知床で観光客との距離感が問題になっているヒグマを擬人化することを懸念する声もあったが[4]、デザイン会社の考案による画風[1]、デザインのシンプルさと品質重視の作風が人気を呼び[5]、特に若者や女性、日本国外からの観光客に好評を博している[1]

非売品のポスターを求める客もいる他、2010年代後半頃から、斜里町の住人がトコさんのグッズを購入して、町外に贈るケースも増えている[1]。中には、グッズを購入して斜里町を離れた後、電話で追加購入を希望してきたリピーターもいる[1]。知床斜里町観光協会からは「人気は想像以上」との声が上がっている[1]。斜里町でトコさんの企画を手がけるプロジェクトチームは、このヒットによりわずか3年で年間数千万円を売り上げ、知床町の主力事業にまで成長した[5]

2021年(令和3年)8月には、スポーツアパレルメーカーのヘリーハンセンとのコラボレーションにより、子供用のスウェットやTシャツなどのキャラクターグッズが発売された[6]。漁業が盛んな知床半島ではヘリーハンセンの愛用者が多いこともあって、オンライン上で売り切れが出るほどの人気商品となった[6]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h 若松樹「「知床トコさん」グッズ人気 斜里町の観光キャラ 9種類に拡大 若年層や外国人客中心に好評」『北海道新聞北海道新聞社、2018年11月14日、北B朝刊、21面。
  2. ^ a b c d 鎌田絵里奈 (2022年2月15日). “全国にファン急増! ヒグマキャラのかわいいハードワーカー「知床トコさん」の魅力”. SASARU. 北海道文化放送. 2024年3月31日閲覧。
  3. ^ 北海道つながるマーケットオフィシャルブログ「一般社団法人知床しゃり(斜里町)さんをインタビューさせていただきました。」より(2023年3月31日閲覧)
  4. ^ a b 谷口拓未「コレ推し! 斜里町 知床トコさん 情報発信担う、ヒグマキャラ」『毎日新聞毎日新聞社、2022年5月28日、北海道地方版、26面。
  5. ^ a b 佐藤海晟「「知床トコさん」制作の初海さん 町民目線で斜里ブランド磨く 今月移住、町のマネージャーに就任 人脈生かし 観光盛り上げ」『北海道新聞』、2022年4月22日、斜網朝刊、16面。
  6. ^ a b 久貝翔子 (2021年8月26日). “へリーハンセン×「知床トコさん」、ネットで売り切れも”. 日本経済新聞. 日本経済新聞社. 2024年3月31日閲覧。(Paid subscription required要購読契約)