田村はまだか

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田村はまだか
著者 朝倉かすみ
イラスト 井筒啓之
発行日 2008年2月20日
発行元 光文社
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判ハードカバー
コード ISBN 978-4-334-92598-7(単行本)
ISBN 978-4-334-74869-2(文庫本)
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田村はまだか』(たむらはまだか)は、朝倉かすみによる日本の連作短編小説。第30回吉川英治文学新人賞受賞作(柳広司の『ジョーカー・ゲーム』と同時受賞)。

あらすじ[編集]

荒天で小学校のクラス会に遅れている同級生・田村を待ちながら、スナック「チャオ!」で酒を飲む男女5人。

なかなか現れない田村、「それにつけても田村はまだか」と繰り返しながら、それぞれの人生で出会った印象深い人々のことを思い出す。

登場人物[編集]

花輪 春彦(はなわ はるひこ)
ススキノスナック「チャオ!」のマスター。46歳。一昨年に会社を辞め、浮気が原因で妻と離婚した。左耳の副耳を触りながら、客の話をそれとなく聞き、印象に残った一言をノートに書き留める。
田村 久志(たむら ひさし)
大雪で飛行機と列車のダイヤが乱れ、小学校のクラス会に遅れる。
貧しい母子家庭で育ち、母親は男性関係の入れ替わりが激しい奔放な女性だった。常に分を弁えているような振る舞いをし、同級生らに「孤高の小六」とのイメージを抱かせた少年時代だった。後に栃木の親戚に引き取られ、豆腐屋で修行しながら定時制の学校に通い、やがて小学校の同級生と結婚する。
永田 一太(ながた いちた)
「チャオ!」の常連の会社員。40歳。飲料製造会社の営業。クラス会の三次会の場所に行きつけの「チャオ!」を選ぶ。
池内 暁(いけうち あきら)
化粧品・日用雑貨の卸会社の札幌支社販売部量販店担当部門。
加持 千夏(かじ ちなつ)
男子校の保健室の先生。生徒たちから「ちなっちゃん」と親しみを込めて呼ばれる。
坪田 隼雄(つぼた はやお)
生命保険会社の営業所長。マーロン・ブランドのような声をしている。女の扱いには慣れているが童貞。
伊吹 祥子(いぶき しょうこ)
浮気が原因で昨年に夫と離婚したばかり。あだ名は「班長」。

おまえ、井上鏡子だろう[編集]

2008年、柏艪舎より刊行された『utage・宴 北の作家 書き下ろしアンソロジーvol.1』に収録された短編作品。

『田村はまだか』の光文社文庫版に収録された。

出典[編集]

朝倉かすみ 『田村はまだか』 光文社光文社文庫〉 2010年11月、ISBN 978-4-334-74869-2、解説:米光一成立命館大学教授)