蘇子河

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蘇子河 / スクスフ・ビラ
名称表記
かな ソシ-ガ/ソシ-がわ
簡体 苏子河
拼音 Sūzi hé
満文 ᠰᡠᡴᠰᡠᡥᡠ ᠪᡳᡵᠠ
転写 suksuhu bira
漢文
  • 蘇克蘇滸河(東夷考略)
  • 蘇克素護河(盛京通志)
  • 蘇克蘇護河(滿洲源流考)

蘇子河 (ソシーガ/ソシ-がわ)[1]は、渾河の支流。遼寧省撫順市の東端 (通化市側) から同市の西端 (撫順市街) に向って流れる。満洲語でスクスフ河ビラ[2]とも呼ばれる。

概要[編集]

流路[編集]

源流は遼寧省撫順市新賓満族自治県紅昇郷関家村より南側の五鳳楼嶺に発し、北へ向って紅昇貯水湖 (水庫) に注ぐ。貯水湖からは西へ、紅昇郷、新賓鎮 (新賓県県庁)、永陵鎮、木奇鎮、上夹河鎮古楼村などを経由して、撫順市街の東にある大伙房貯水湖に流れ込む。

数値[編集]

  • 全長:119km。
  • 流域面積:2,230km2
  • 平均勾配:1.69‰。
  • 年間平均流量:6.141億m3

歴史[編集]

乾隆年間に編纂された『欽定盛京通志』巻25「山川一」には以下のような説明がみられる。

蘇子河、北半里、源出呼倫嶺。國語名蘇克素護河。流經尼瑪蘭[3]、及與章京[4]、瑪嘉[5]、哈當阿[6]、拉發[7]等諸河會、即爲蘇子河。逸啟運山[8]之南西、注受哈爾薩河[9]、理嘉河[10]、索勒和[11]等河、北折經黒門穆奇水手堡、又北經界藩西南、入渾河。河之南曰訥圖村、拉門莊。又南曰棟興阿、李家地大屯。

蘇子河流域は歴史上的に建州女真の居住地で、中流域 (現永陵鎮) には清朝太祖・ヌルハチの居城・へトゥアラが位置したことから、同地は清朝発祥の地とされる (後に興京と呼ばれた)。そのほか下流域 (古楼村) には河川名に肖って命名されたスクスフ部[12]が位置する。スクスフ部は七つの城砦で構成される。ヌルハチが明軍を大敗させたサルフの戦の戦場・サルフ城のほか、ヌルハチの祖父・ギオチャンガと父・タクシが横死したグレ城、またギオチャンガらを死に逐い遣り、ヌルハチから不倶戴天の仇敵といわれたニカン・ワイランの居城・トゥルン城[13]も同一帯に位置する。

現在[編集]

2003年、遼寧省は蘇子河流域の水力資源開発計画を始動し、北頭子、姚家山、占貝、勝利などの水力発電所が建設された。[14]一部は飲用水資源として保護区域にもなっている。

脚註[編集]

  1. ^ 特に決まった読み方は見つけられない為、ひとまづは音読み「-ガ」と「-かわ」両方あげておく。
  2. ^ “ᠰᡠᡴᠰᡠᡥᡠ ᠪᡳᡵᠠ suksuhu bira”. 满汉大辞典. 遼寧民族出版社. p. 530. http://hkuri.cneas.tohoku.ac.jp/p06/imageviewer/detail?dicId=6&imageFileName=530. "〈地〉苏克素浒河,又名苏子河。" 
  3. ^ “山川一”. 盛京通志. 25. 不詳. https://zh.m.wikisource.org/wiki/欽定盛京通志_(四庫全書本)/卷025#尼瑪蘭河. "尼瑪蘭河國語尼瑪蘭桑樹也城東北三十五里源出納嚕窩集西流入蘇子河" 
  4. ^ “山川一”. 盛京通志. 25. 不詳. https://zh.m.wikisource.org/wiki/欽定盛京通志_(四庫全書本)/卷025#章京河. "章京河國語章京司員也城東北三十五里源出納嚕窩集入蘇子河亦作阿津又西爲夾河窩集" 
  5. ^ “山川一”. 盛京通志. 25. 不詳. https://zh.m.wikisource.org/wiki/欽定盛京通志_(四庫全書本)/卷025#瑪嘉河. "瑪嘉河城東北三十里源出納嚕窩集西入興京邊會蘇子河" 
  6. ^ “山川一”. 盛京通志. 25. 不詳. https://zh.m.wikisource.org/wiki/欽定盛京通志_(四庫全書本)/卷025#瑪哈丹河. "哈當阿河國語哈當阿有山峰也城東北二十五里源出吉林納嚕窩集西入遼河會蘇子河" 
  7. ^ “山川一”. 盛京通志. 25. 不詳. https://zh.m.wikisource.org/wiki/欽定盛京通志_(四庫全書本)/卷025#尼瑪蘭河. "拉發河城西北十里源出嘉拉庫山挫草嶺流入蘇子河" 
  8. ^ “山川一”. 盛京通志. 25. 不詳. https://zh.m.wikisource.org/wiki/欽定盛京通志_(四庫全書本)/卷025#啟運山. "啟運山城西北十里永陵在焉自長白山西麓一幹綿亘層折至此重巒環拱衆水朝宗萬世鴻基實肇于此乾隆八年十九年四十三年四十八年俱有御製謁永陵詩又十九年有御製恭瞻啟運山作歌均恭載" 
  9. ^ “山川一”. 盛京通志. 25. 不詳. https://zh.m.wikisource.org/wiki/欽定盛京通志_(四庫全書本)/卷025#錦密森河. "哈爾薩河哈爾薩國語解見本卷前城西南十一里源出哈爾薩山入索勒和河" 
  10. ^ “山川一”. 盛京通志. 25. 不詳. https://zh.m.wikisource.org/wiki/欽定盛京通志_(四庫全書本)/卷025#理嘉河. "理嘉河城東南三里源出邉外分水嶺入邉會蘇子河" 
  11. ^ “山川一”. 盛京通志. 25. 不詳. https://zh.m.wikisource.org/wiki/欽定盛京通志_(四庫全書本)/卷025#錦密森河. "索勒和河國語索勒和朝鮮也城西南三里源出托和羅嶺入蘇子河" 
  12. ^ “ᠰᡠᡴᠰᡠᡥᡠ ᠠᡳᠮᠠᠨ suksuhu aiman”. 满汉大词典. 新疆人民出版社. p. 695. http://hkuri.cneas.tohoku.ac.jp/p06/imageviewer/detail?dicId=72&imageFileName=695. "苏克素护爱满 (明末建州女真诸部之一。因沿苏克素护河居住而得名)。" 
  13. ^ “ᡨᡠᡵᡠᠨ ᡥᠣᡨᠣᠨ turun hoton”. 满汉大辞典. 遼寧民族出版社. p. 643. http://hkuri.cneas.tohoku.ac.jp/p06/imageviewer/detail?dicId=6&imageFileName=643. "〈地〉图伦城,在兴京城西。" 
  14. ^ 抚顺市在苏子河干流新建一座水电站”. 中国水力发电工程学会. 2020年7月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月19日閲覧。

参照[編集]

史籍[編集]

研究書[編集]

  • 安双成『满汉大辞典』遼寧民族出版社, 1993 (中国語)
  • 胡增益 (主編)『新满汉大词典』新疆人民出版社, 1994 (中国語)
  • 編纂委員会『中国河湖大典』黒龍江・遼河巻, p.271, 中国水利水電出版社, 2014年4月 (中国語) *维基百科からの引用。

Webサイト[編集]