丹下一

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丹下 一(たんげ まこと、1959年 - [1])は日本の俳優・演出家。日本や海外で、東西の古典や民俗芸能をベースにした現代演劇の作品から即興、プレイバックシアターまで幅広く活動[2]。国際演劇協会会員[3]。2010年よりTama+ project主宰。

略歴・主な活動[編集]

早稲田大学演劇学科卒[4]。卒論は岩手県早池峰山の「山伏神楽」について。在学中の1978年より森尻純夫主宰の劇集団流星舎に参加、1981年の解散まですべての舞台に出演した。また、流星舎が企画運営していた早稲田銅鑼魔館のプロデュース公演の制作に参加。早池峰神楽の岳流、石鳩岡神楽などの公演に関わる[5]

1982年より2000年まで千賀ゆう子企画に参加。制作を担当しつつ俳優、楽師として出演[5]

1983年、迦樓羅舎を設立。以後千賀ゆう子企画と平行して活動する。旗揚げ公演は「桜の森の満開の下」(坂口安吾作、岸田理生脚本・演出、千賀ゆう子・丹下一ほか出演)。ほかに1985年「夜長姫と耳男」、1986年「1/2(にぶんのいち)」、1987年「1/2 2nd version」(斉木燿演出)など。

1997年、金沢市文化ホールでの「れんにょさん」(新田方脚本・演出、浄土真宗大谷派金沢教区主催)主演。

2000年 - 2003年、石川県野々市町FM-N1主催の音楽祭「座・自音我楽(ザ・ジョンガラ)」の構成・演出を担当。

2002年、三重県熊野市での「徐福国際シンポジウム」に合わせての徐福を題材とした市民劇「じょふくさん」の指導を行う。2004年からは同市波田須町の天女座が地元住民を集めた「天女神楽団」で2013年まで指導と舞台演出を行う[6][7]。2012年には伊勢神宮外宮水上舞台のこけら落としで「天女神楽」を上演した。

2010年、Tama+ project(タマプラス・プロジェクト)を立ち上げる。2013年より寮美千子作品を舞台化する連続企画「Project R」、2015年からは東北の震災への思いをテーマにした「Hamlets/ハムレッツ」シリーズ(ウィリアム・シェイクスピア原作)の上演を2022年のver.10まで続け、2023年からは「H/ash」のシリーズの上演を続けている。

2012年、金沢歌劇座での金沢ジュニアオペラスクール公演「ラジオスターレストラン 星の記憶」(金沢芸術創造財団主催)の指導と演出を担当。新作の日本語オペラで、宇宙の歴史をめぐる壮大なファンタジー。寮美千子原作・脚本、谷川賢作作曲[8][9][10]

2021年からワークショップ「平家物語」と題した「平家物語」を語る講座を開講。当時の宗教観、武士と貴族の価値観の違いなどを解説しながら、小劇場での公演を目指すシリーズ。

海外での活動[編集]

1988年、国際交流基金主催事業として早稲田銅鑼魔館「The Dream, One Night Passion」インド4都市ツアーに出演。

1990年、韓国映画「死の賛美」に声優で参加。

1996年、ポーランドのルブリン国際演劇祭に千賀ゆう子企画「古事記をめくる/The Old Story」で招待参加、ワルシャワ国立劇場で公演[5]。1997年「夜長姫と耳男」でポーランド3都市と国内5都市で公演。1998年「曾根崎心中」でワルシャワ、クラクフ、ウッジを巡演。

1999年、韓国・釜山での「東アジア小劇場演劇祭」に「古事記をめくるvol.3」で参加[11]

1999年、国際交流基金の日本文化紹介派遣事業(日本ポーランド国交樹立80周年記念事業)として迦樓羅舎「桜の森の満開の下」(坂口安吾作、岸田理生脚本)をポーランド(ワルシャワ、ウッジ、クラクフ)およびルーマニア(ブカレスト)で上演[12]

2012年、香港展能芸術会(ADA)の招きで香港で24時間ワークショップ(6時間×4日間)を行う[13]

プレイバックシアター[編集]

2000年より劇団プレイバッカーズに参加、以後プレイバックシアター上演多数。2003年には静岡市での第8回プレイバックシアター世界大会「一期一会」[14]の実行委員として企画制作のほか開会式・閉会式を演出した。2005年より「演劇によるいじめ防止授業」を日本各地で実施。2006年、スクール・オブ・プレイバックシアター卒業[15]

2005年よりAIDS文化フォーラムin横浜に出演。2009年 - 2011年には、タイ北部のパヤオセンターで人身売買被害者のメンタルケアのワークショップを行う。一連の活動により、2010年に「かながわレッドリボン賞」を受賞。

海外ではシンガポール(2006)、タイ(パヤオ、2006)、台湾(台北、金山、2009)、米(サンフランシスコ、ロサンゼルス、オークランド、2008)、中国(南京、2011)、独(フランクフルト、2011)、カナダ(モントリオール、2015)、ロシア(ハバロフスク、2019)でのパフォーマンスに出演。2005年には米ニューヨーク州ニューポルツでのハドソンリバー・プレイバックシアターのパフォーマンスに宗像佳代らとゲスト出演した。

役職等[編集]

2001年 - 2010年、国際女性ビジネス会議講師[4]

2007年 - 2010年、同志社大学プロジェクト科目講師[16]

脚注[編集]

  1. ^ 丹下一 プロダクション・タンク
  2. ^ 北陸中日新聞2011年8月18日
  3. ^ 公益社団法人 国際演劇協会日本センター 会員名簿
  4. ^ a b 佐々木かをりのwin-win 2006年9月
  5. ^ a b c 『國文學 解釈と教材の研究』2009年4月臨時増刊号 p.160
  6. ^ 中日新聞2005年11月18日
  7. ^ 三重県「みえの文化団体」
  8. ^ 北國新聞2010年8月4日
  9. ^ 新作日本語オペラ ラジオスターレストランー星の記憶ー
  10. ^ 金沢ジュニアオペラスクール 新作公演 会場沸かす 北陸中日新聞2012年8月20日
  11. ^ 毎日新聞1999年8月30日「出演者の丹下一さんは「言葉の壁は承知であえて原文のままの言葉と身体で表現したい。『古事記』を題材にした舞台を(日本文化に対して抵抗感が強い)韓国で上演するのはさまざまに複雑な意味合いを生じるだろう。だが、少なくとも、現代の日本人について理解を深めてもらう一助にはなるのではないかとも思う」と話している」
  12. ^ 「国際交流基金NEWS」1999年10月
  13. ^ 形體戲劇工作坊 Physical Theatre Workshop
  14. ^ 静岡新聞2003年9月24日
  15. ^ 卒業生紹介 スクール・オブ・プレイバックシアター日本校
  16. ^ 同志社大学プロジェクト科目「インターナショナル・パフォーミング・アーツ・ワークショップ」