マトウダイ科

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マトウダイ科
マトウダイ Zeus faber
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: マトウダイ目 Zeiformes
: マトウダイ科 Zeidae
学名
Zeidae
Latreille, 1825
英名
dory

マトウダイ科学名Zeidae)は、マトウダイ目の下位分類群の一つ。マトウダイカガミダイなど三大洋の温暖な海で生活する底魚が分類される。

重要な食用魚であり、マトウダイなどは水族館で人気。深海トロール漁によって漁獲される。

英名は「dory」だが、ソコマトウダイ科アシゲマトウダイ科も同様に呼ばれる。

形態[編集]

体は著しく側扁した楕円形で、体高は高い[1][2]。頭部は大きく、背面輪郭は凹状。口は大きく斜めを向いており、カガミダイ属では上向き[2]。顎は伸縮性がある。眼は大きく、高い位置にある。背中は眼の後方で隆起し、そこに7 - 10棘から成る第一背鰭がある。一部の種は鰭膜が糸状に長く伸びる。第二背鰭は22 - 37軟条から成る。尾柄は細く、尾鰭は扇形。腹鰭は遊離軟条のみから成り、長く伸びる。胸鰭は小さく丸く、低い位置にある。臀鰭は1 - 4棘20 - 39軟条から成り、第二背鰭とは対称的[1]。腹部、臀鰭と第二背鰭の基部には骨質棘条板が並ぶ[3]。鰓蓋骨に棘や鋸歯は無い。椎骨は29 - 34個。体に鱗は無いか、あっても微細[3]

体色は光沢のある銀色で、若い個体は斑紋があり、成長とともに消える。大型個体は中心に眼状紋がある。Cape dory(Zeus capensis)では、眼状紋が背鰭のすぐ下にある。マトウダイでは、眼状紋が中央にあり、黄色い輪で囲まれており、体はセピア色の斑紋で覆われる。最大種はマトウダイ属の2種で、全長90 cmに達する。

生態[編集]

海底付近で生息する底魚だが、中層でも見られることがある。生息水深は50 - 800 mで、大陸棚大陸斜面を好む。ミナミカガミダイなどは小規模の群れを作り、マトウダイなどは産卵期以外は単独で生活する。遊泳力は低く、背鰭と臀鰭を波打たせて移動し、胸鰭は体の安定と回転のために使われる。

繁殖については研究が進んでいない。卵は海中に散らばり、受精卵は海底に沈んで付着すると考えられている。マトウダイは夏季、カガミダイは冬季に産卵が盛んになるとされる。マトウダイは体外受精、カガミダイは体内受精を行う。3年から4年で性成熟する。

狭食性の肉食魚で、幼魚はカイアシ類オキアミアミなどの動物プランクトンテッポウエビタラバエビテナガエビ科などの小型甲殻類のみを食べる。成魚はキュウリエソタイアジ科の幼魚、イワシなどの遊泳魚、ネズッポハゼカワハギカレイアカタチイスズミ科などの底魚を捕食し、イカなどの頭足類を捕食することもある。

ドタブカなどのメジロザメ類や、メルルーサなどの肉食魚に捕食される。

分類[編集]

2属7種が分類されている[1][4]

脚注[編集]

  1. ^ a b c FAMILY Details for Zeidae - Dories”. www.fishbase.se. 2023年1月23日閲覧。
  2. ^ a b ZEIDAE”. fishesofaustralia.net.au. 2023年1月23日閲覧。
  3. ^ a b c 和田英敏, 伊東正英, 本村浩之「薩摩半島南西沖から得られた鹿児島県初記録のイトヒキカガミダイ,および近縁種であるカガミダイの標徴の再評価」『Ichthy, Natural History of Fishes of Japan』第13巻、鹿児島大学総合研究博物館、2021年、43-49頁、doi:10.34583/ichthy.13.0_432022年6月6日閲覧 
  4. ^ 伊藤大介、本村浩之「トカラ列島平島から得られた琉球列島近海におけるカガミダイの確かな記録」『Nature of Kagoshima』第46巻、鹿児島県自然環境保全協会、2020年5月31日、203-206頁、hdl:10232/00031418ISSN 1882-7551CRID 1051412328369246720 

参考文献[編集]

外部リンク[編集]

関連項目[編集]