ホホスジタルミ

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ホホスジタルミ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
: フエダイ科 Lutjanidae
亜科 : フエダイ亜科 Lutjaninae
: マダラタルミ属 Macolor
: ホホスジタルミ M. macularis
学名
Macolor macularis
Fowler, 1931
英名
midnight snapper

ホホスジタルミ(学名: Macolor macularis) は、フエダイ科に分類されるの一種。インド太平洋に分布する[2]

分類と名称[編集]

1931年にアメリカ魚類学者であるヘンリー・ウィード・ファウラーによって記載され、タイプ産地はルソン島ラガイ湾付近であった[3]。種小名の macularis は「斑点のある」という意味で、鱗にある灰色から青色の斑点に由来する[4]

形態[編集]

幼魚

体高は適度に高く、額は凸状で、口は大きい。前鰓蓋の下縁には深い切れ込みがある。顎には円錐形の歯列があり、前方の歯は長く、上顎の側面と下顎の前面には内側に剛毛のような歯帯がある。鋤骨歯は、ほぼ山形のパッチ状に配置されている[5]。背鰭は10棘と13 - 14軟条から、臀鰭は3棘と10軟条から成る[2]。背鰭と臀鰭の後端は尖る。胸鰭は長く肛門まで伸び、17 - 18本の鰭条から成る。尾鰭は二叉する。体長20 cm以下の個体は腹鰭が非常に長い[5]。全長は最大60 cmに達する。成魚は背側が濃い灰褐色で、頭と腹側が黄色である。頭には細い青い線と小さな斑点がある。体の鱗には青い線または点線が入る。幼魚は黒と白のまだら模様で、背中に五つの斑点がある。若魚は幼魚と似るが、背中の斑点がより多く、他の黒い部分には小さな白い斑点がある。成魚には幼魚の模様が残っている場合がある[2]

分布と生息地[編集]

インド太平洋に広く分布するが、マダラタルミとの混同のためあまり知られていない[2]インド洋ではチャゴス諸島モルディブインド南西部に、太平洋ではアンダマン海スマトラ島、東はサモアフェニックス諸島、北は台湾八重山諸島、南はオーストラリアまで分布する[1]。オーストラリアでは西オーストラリア州北部の沖合、ティモール海アシュモア・カルティエ諸島ノーザンテリトリーアラフラ海クイーンズランド州グレートバリアリーフに分布する。珊瑚海クリスマス島でも見られる[6]サンゴ礁ラグーン、急な外側斜面、サンゴ礁の深い斜面に生息する。幼魚はウミユリシカツノサンゴ海綿動物の付近で単独で生活する[2]

生態[編集]

大型のプランクトン、魚、甲殻類を捕食する夜行性肉食魚である[6]。成魚は群れを作ることがあり、マダラタルミと混泳することもある[1]。寿命は通常40 - 50年だが、ローリー礁群での調査では81歳の個体が発見された[6]

人との関わり[編集]

釣り刺し網、罠、スピアフィッシングなどで漁獲され、鮮魚として販売される[5]

脚注[編集]

  1. ^ a b c Russell, B.; Smith-Vaniz, W.F.; Lawrence, A.; Carpenter, K.E.; Myers, R. (2016). Macolor macularis. IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T194348A2318123. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T194348A2318123.en. https://www.iucnredlist.org/species/194348/2318123 2024年4月25日閲覧。. 
  2. ^ a b c d e Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2024). "Macolor macularis" in FishBase. 4 2024 version.
  3. ^ H.W. Fowler (1931). “Contributions to the biology of the Philippine Archipelago and adjacent regions. The fishes of the families Pseudochromidae ... and Teraponidae, collected by ... steamer "Albatross," chiefly in Philippine seas and adjacent waters”. Bulletin of the United States National Museum 11 (100): 1–388. https://www.biodiversitylibrary.org/page/7887469#page/197/mode/1up 2024年4月25日閲覧。. 
  4. ^ Order LUTJANIFORMES: Families HAEMULIDAE and LUTJANIDAE”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf and Kenneth J. Lazara (2021年1月5日). 2024年4月25日閲覧。
  5. ^ a b c Gerald R. Allen『FAO species catalogue Vol.6. Snappers of the world An annotated and illustrated catalogue of lutjanid species known to date』FAO Rome、1985年、126–127頁。ISBN 92-5-102321-2http://www.fao.org/3/ac481e/ac481e34.pdf2024年4月25日閲覧 
  6. ^ a b c Bray, D.J. (2020年). “Macolor macularis”. Fishes of Australia. Museums Victoria. 2024年4月25日閲覧。

関連項目[編集]