フォスファテリウム

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フォスファテリウム
復元図
保全状況評価
絶滅(化石
地質時代
約5,870万年前
新生代暁新世中後期)
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
亜綱 : 獣亜綱真獣亜綱Theria
下綱 : 正獣下綱真獣下綱
Eutheria
上目 : アフリカ獣上目(アフロテリア上目) Afrotheria
(階級なし)近蹄類
Paenungulata
: 長鼻目(ゾウ目) Proboscidea
(階級なし)真長鼻類Euproboscidea
: ヌミドテリウム科 Numidotheriidae
: フォスファテリウム属 Phosphatherium 
Gheerbrant et al., 1996
学名
Phosphatherium escuillei
Gheerbrant et al., 1996
和名
フォスファテリウム
  • フォスファテリウム・エスクイッレイ
    P. escuillei Gheerbrant et al., 1996

フォスファテリウムPhosphatherium)は、約5,870万年前(新生代古第三紀暁新世中後期〈サネティアン期初頭〉)の北アフリカ[1]に生息していた始原的特徴を持つゾウの一種。

現在化石が発見されている限りで、最古の長鼻類と考えられる。 同時に、狭義で言うところの「ゾウ」、すなわち真長鼻類(Euproboscidea)としても、現在知られる限り最初期のであるヌミドテリウム科に属し、その中で唯一、暁新世に生息していたものである。

化石は、モロッコのウーレド・アブドゥーン盆地(Ouled Abdoun Basin)[2]にあるサネティアン層から、断片的な歯骨のみが発見されている。

特徴[編集]

体長約60cm、推定体重約15kgときわめて小さい。また、現生のゾウのような鼻もほとんど発達していない。 体の大きさこそ違うが、始新世後期に現れるモエリテリウム(メリテリウム。Moeritherium)とあい通じる特徴が認められ[3]、水生植物を主食として暮らす水陸両生の動物であったと推定されている。 すなわち、体のサイズはイヌ程度であるが、生態的にはカバのような姿であったと見られる。

既知では最古、しかし最古の系統でなし[編集]

既知で最古のフォスファテリウムであるが、系統進化の観点からは、彼らが属するヌミドテリウム科をもって長鼻目(ゾウ目)の最古とすることは認められていない。 上述のモエリテリウムはフォスファテリウムより後の時代である始新世層から見出されるが、この進化系統でさらに古いとされるアントラコブネ科Anthracobunidae)が系統的に最も古い長鼻目である、との見解にいまだ変更は見られない。

脚注[編集]

  1. ^ 生息地域の詳細:当時は孤立した大陸であったところのアフロアラビアアフリカ大陸+アラビア半島地域)、その北アフリカ西端部。
  2. ^ 主としてシディ・ダウード(Sidi Daoud Site)より発見。
  3. ^ モエリテリウムは、近年まで最古のゾウとされてきた。肩高約70cm、体長約3mと、フォスファテリウムに比べればかなり大きい。その形質はティティス獣類として海牛目(ジュゴン目)および束柱目(デスモスティルス目)と分岐する前の特徴を多くとどめているという意味で、古い動物群とされている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]