ヒューズ 369
ヒューズ 369は、アメリカ合衆国の航空機メーカーヒューズ・ヘリコプターズ社が、1965年に開発した単発タービンヘリコプターである。現在はMDヘリコプターズが生産、MD 500シリーズとして製造している。胴体形状から「フライングエッグ(空飛ぶ卵)」の愛称でも呼ばれている。
軍用はOH-6と呼ばれているが、民生用との違いは燃料タンクがセルフシーリングタンク(自己漏洩防止型)である事、計器盤形状がT型である事、軍用の装備がなされている以外は、機体性能などはほぼ同一である。
日本では川崎重工業がOH-6のライセンス生産担当会社に決定し、ヒューズ社との間に民間型369(軍用OH-6A)の国産化に関する技術援助契約を1967年6月29日に締結した。エンジンについては、1966年10月24日に三菱重工業がライセンス国産担当会社に決定している。また、川崎重工は1968年から369HS/OH-6Jのライセンス生産機の納入を開始し、1969年3月10日、11機のOH-6Jがはじめて陸上自衛隊に納入されている。民間型の369Dは1978年4月20日に運輸省の型式証明を、川崎ヒューズ式369D型として取得した。現在までの369シリーズの生産機数は387機である。
本稿ではヒューズ 369シリーズのD型についての詳細について述べる。
概要[編集]
性能・主要諸元[編集]
ヒューズ 500型ヘリコプターの369Dシリーズは369Hシリーズの改良型である。
- 主回転翼直径:26.41ft(8.049m)
- テールローター直径:4.58ft(1.395m)
- 発動機
- 型式および数:アリソン式 250-C20B型1基
- 回転翼
- メインローターブレード枚数:5枚
- テールローターブレード枚数:2枚
- 型式および数:メインローター H.H 369D 21000型 一式
- 型式および数:テールローター H.H 369D 21600型 一式
- 乗員:1名(乗客4名)後席3名、前席に1名搭乗。
限界事項[編集]
- 空虚重量:1,370lbs(620.6kg)
- 最大全備重量:3,000lbs(1,359kg)
- 機体外吊下時最大全備重量:3,550lbs(1,608kg)
- 最小飛行重量:1,538lbs(696kg)
- 有効積載量:1,630lbs(738kg)
- ペイロード:1,050lbs(475kg)(有効積載量(ペイロード)=全備重量-(空虚重量+燃料満重量+パイロット1名)
- 燃料・滑油(エンジン)容量:410lbs(185kg)
- 発動機定格
- 離陸最大出力(5分間):420hp
- 連続最大出力:370hp
- トランスミッション定格
- 離陸出力(5分間):375hp
- 連続最大出力:350hp
- 速度
- 超過禁止速度:156kts=M0.23(280km/h)
- 最大巡航速度:139kts=M0.20(250km/h)(海面上、連続最大出力、TAS(真速度)
- 最大巡航速度:134kts=M0.20(241km/h)(5,000ft(1,524m)、連続最大出力、TAS(真速度)
- 最大水平速度:142kts=M0.20(241km/h)(5,000ft(1,524m)、離陸出力、TAS(真速度)
- 最大上昇率:1,700FPM(518m/min)(海面上、離陸出力)
- 垂直上昇率:900FPM(274m/min)(海面上、離陸出力)
- メインローター回転速度
- パワーオン最大:492rpm(103%)
- パワーオン最小:487rpm(102%)
- パワーオフ最大:523rpm
- パワーオフ最小:410rpm
- 高度
- 航続
- 正規燃料:MIL-T-5624, JP-4, JP-5, ASTMD-1655, Jet A, A-1, B, JP-1またはDiesel No.1
- 代用燃料:航空ガソリン1に対しジェット燃料2の混合燃料。(40°F(4℃)以下で操縦の場合)
- 非常用燃料:航空ガソリン MIL-G-5572(TCP(鉛混入の燃料は使用不可。*Tri-Cresyl-Phosphate)
- エンジンオーバーホール期間毎に最大6時間、かつ安全条件内での使用に限る。
- 燃料積載量:64gal(242L)(使用可能量62.1gal(235L)/JP-4換算)
関連項目[編集]
参考資料[編集]
ヒューズ社369D教育資料
外部リンク[編集]
- MD Helicopters - Products
- 江島重良、「川崎ヒューズ式369ヘリコプタについて」 『日本航空宇宙学会誌』 1972年 20巻 219号 p.214-219, doi:10.2322/jjsass1969.20.214