ノート:有機ハイドライド

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より詳細には、以下のとおりです。  ベンゼンやナフタレンは、50〜150℃の水素ガス雰囲気の環境で白金系触媒に噴霧すると、水素を吸収し、シクロヘキサンやデカリン(有機ハイドライド)になる。これらの有機ハイドライドは、安定な物質であり、一般的な引火性液体と同様程度の取扱いが可能で、貯蔵や輸送が容易である。毒性があるのが難点であるため、自動車用燃料とする場合は、直接給油ではなく、タンク交換による方式が必要な可能性がある。(シクロヘキサンの引火点は-18℃、軽度の麻酔作用、刺激性がある。ベンゼンは引火点-11℃、揮発性、毒性が強く、皮膚からも吸収される。デカリンは、引火点58℃、毒性がある。ナフタレンは、引火点79℃、常温で固体であり、血液毒性、刺激性がある。)  デカリンの水素含有量は、7.3wt%、64.8kgH2/m3であり、ナフタレン1kgは約860リットルの水素を貯蔵でき、70リットルのナフタレンで5kg(56m3:800気圧相当)の水素を常温常圧で貯蔵可能である。これは、米国DOE燃料電池用水素源に関する水素貯蔵・供給のHydrogen Program目標値 6.5wt%、62.0kgH2/m3と同等以上である。  デカリンやシクロヘキサンは、同様の装置で250〜300℃で水素を放出する。この行程を示せば、以下のようになる。  ナフタレン+5H2 →50〜150℃で白金系触媒に噴霧→ デカリン  デカリン →250〜300℃で白金系触媒に噴霧→ ナフタレン+5H2  北海道大学触媒化学研究センター市川研究室と積水化学工業(株)、(株)電制との共同開発で試作した高速水素発生装置では、毎分10〜250リットルの水素ガスを発生するとのことである。シクロヘキサンの脱水素反応は外部加熱温度の上昇とともに水素発生速度が上昇し、反応の活性化エネルギーは59kJ/molという従来の気−固相反応での活性化エネルギーに比べて低い値である。 参考:「有機ハイドライドを利用する燃料電池用水素貯蔵・供給システムの試作」(株)電制