ニオイガメ属

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ニオイガメ属
ミシシッピニオイガメ
ミシシッピニオイガメ Sternotherus odoratus
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: カメ目 Testudines
亜目 : 潜頸亜目 Cryptodira
上科 : ドロガメ上科
: ドロガメ科 Kinosternidae
亜科 : ドロガメ亜科 Kinosterninae
: ニオイガメ属 Sternotherus
Gray, 1825
6種、本文参照

ニオイガメ属(ニオイガメぞく、Sternotherus)は、カメ目ドロガメ科模式種ミシシッピニオイガメ

分布[編集]

アメリカ合衆国北東部から南部にかけて、カナダオンタリオ州ケベック州南部)

形態[編集]

最大種はカブトニオイガメで最大甲長16cm。最小種のヒラタニオイガメで最大甲長11.5cmと本属のみならずドロガメ最小種。腹甲は小型で、腹甲の正中線の直線距離(腹甲長)は背甲の正中線の直線距離(背甲長<単に甲長と呼ばれるのはこの背甲長のことが多い>)の75-80%。喉甲板がないか、喉甲板の正中線上の継ぎ目の長さが他の腹甲の甲板と比べ最も短い。腹甲に可動性はあるものの蝶番はあまり発達せず、腹甲を折り曲げて蓋をすることはできない。

分類[編集]

本属は独立した属とする説が有力だが、形態や染色体核型酵素電気泳動による分子系統学的解析からドロガメ属に含める説もある。また同所的に分布するドロガメ属の構成種は、同属他種よりも本属に近縁とする説もある。

属内ではスジクビヒメニオイガメとヒラタニオイガメが特に近縁と考えられている。

生態[編集]

河川などに生息する。分布域北部の個体群は冬眠する。危険を感じるとニオイガメの名の通り臭腺から匂いを出す。本属の構成種に対しての英名musk turtleは「麝香カメ」の意で、同じく匂いを出すことに由来し以前は本属の構成種に直訳の「-ジャコウガメ」の和名があてられたこともある。

食性は動物食傾向の強い雑食で、昆虫甲殻類貝類魚類両生類水草などを食べる。

繁殖形態は卵生。1回に1-10個の卵を年に1-5回に分けて産む。

人間との関係[編集]

ペットとして飼育されることもあり、日本にも輸入されている。生息地で厳重に保護されているヒラタニオイガメの流通はまれ。しかし顎の力が強く協調性にかけるため、基本的に単独で飼育する。上記の匂いを出す行動を飼育下で行うことは稀。アクアリウムアクアテラリウムで飼育される。野生では日光浴を行うこともある水棲傾向が強いため陸場を設置しなくても問題ない個体が多いが、陸場を設置するのであれば個体の様子を観察して調整する(水深が浅い場所で日光浴する個体もいる)。飼育下では人工飼料にも餌付く。

画像[編集]

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • 海老沼剛 『爬虫・両生類ビジュアルガイド 水棲ガメ1 アメリカ大陸のミズガメ』、誠文堂新光社2005年、92-95頁。
  • Go!!Suzuki 「ニオイガメ Muskな生活〜魅惑のニオイ〜」『クリーパー』第28号、クリーパー社、2005年、20、50-52頁。
  • 千石正一監修 長坂拓也編著 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、173頁。
  • 安川雄一郎 「北米のドロガメ科1 ニオイガメの仲間」『クリーパー』第9号、クリーパー社、2001年、7-23、40-43頁。
  • 安川雄一郎 「水棲ガメの世界」『ハ・ペト・ロジー』Vol.3、誠文堂新光社、2005年、20、27、35-37。43-44頁。
  • 安川雄一郎 「ビギナーにおすすめのカメ12種〜初心者向けとして飼育者に薦めるカメ類〜」『エクストラ・クリーパー』No.1、誠文堂新光社、2006年、104、132-133頁。
  • 安川雄一郎 「オオニオイガメ亜科の分類と自然史」『クリーパー』第42号、クリーパー社、2008年、30頁。
  • 『小学館の図鑑NEO 両生・はちゅう類』、小学館2004年、71頁。