トゲスッポン

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トゲスッポン
トゲスッポン
トゲスッポン Apalone spinifera
保全状況評価[a 1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: カメ目 Testudines
亜目 : 潜頸亜目 Cryptodira
上科 : スッポン上科 Trionychoidea
: スッポン科 Trionychidae
亜科 : スッポン亜科 Trionychinae
: アメリカスッポン属 Apalone
: トゲスッポン A. spinifera
学名
Apalone spinifera (Lesueur, 1827)
シノニム

Trionyx spiniferus Lesueur, 1827

Aspidonectes asper Agassiz, 1857
Aspidonectes emoryi Agassiz, 1857
Trionyx ater Webb & Legler, 1960
和名
トゲスッポン
英名
Spiny softshell turtle

トゲスッポンApalone spinifera)は、爬虫綱カメ目スッポン科アメリカスッポン属に分類されるカメ。アメリカスッポン属の模式種

分布[編集]

A. s. spinifera ヒガシトゲスッポン
アメリカ合衆国北東部[1][2]
A. s. aspera ガルフコーストトゲスッポン
アメリカ合衆国(ノースカロライナ州からミシシッピ州にかけて)[2]
A. s. ater クロトゲスッポン
メキシコ[1](クワトロ・シェネガス渓谷)[2][3]固有亜種
A. s. emoryi テキサストゲスッポン
アメリカ合衆国(テキサス州ニューメキシコ州リオグランデ川水系)[1]、メキシコ(タマウリーパス州[2]
A. s. guadalupensis グアダルーペトゲスッポン
アメリカ合衆国(テキサス州中南部のグアダルーペ、サンアントニオ水系)[1][2]
A. s. hartwegi ニシトゲスッポン
アメリカ合衆国(アーカンソー州オクラホマ州カンサス州ミネソタ州ネブラスカ州[2]
A. s. pallida ウスイロトゲスッポン
アメリカ合衆国(オクラホマ州、テキサス州北東部、ルイジアナ州[2]

形態[編集]

最大甲長54センチメートル[4]。オスよりもメスの方が大型になり、オスは甲長13-24センチメートル[2]背甲表面に円錐形の細かい突起があり、前縁部では棘状になる[2][4]。項骨板は細長い[2]。腹甲の硬結部の数は7[2]

頭頂骨と頬骨が頭骨の表面で接しない[2]。鼻孔は空豆形で、前方に開口する[2]。鼻の隔壁に突起がある[2]。四肢に斑紋が入る[2]

A. s. spinifera ヒガシトゲスッポン
背甲全体に突起がある[2]。四肢の斑点や筋模様が明瞭[2]
オスは背甲の色彩が暗黄色や黄褐色で、眼状斑が入る[2]。メスは背甲の色彩が褐色で、不明瞭な円形の斑紋が入る[2]
A. s. aspera ガルフコーストトゲスッポン
背甲の外縁に2本の黒い筋模様や破線が入る[1][2]
A. s. ater クロトゲスッポン
最大甲長25センチメートル[1][2][3]。背甲前縁部の突起が発達しない[2][3]。全身の色彩は暗灰色や暗褐色[1][3]。四肢に斑紋が入らない[1][2]
A. s. emoryi テキサストゲスッポン
背甲の後方1/3に白い斑点が入る[2]。背甲外縁の明色部は幅広い(後部で顕著)[2]
A. s. guadalupensis グアダルーペトゲスッポン
背甲の後方1/2に白い斑点が入り[1]、斑点は黒く縁取られる[2]
A. s. pallida ウスイロトゲスッポン
背甲の後方1/2に白い斑点が入るが、斑点に縁取りがない[2]

分類[編集]

亜種クロトゲスッポンを独立種とする説もある[1][3]

生態[編集]

主に河川に生息するが、湖沼に生息することもある[4]

食性は動物食で、魚類両生類昆虫甲殻類貝類、動物の死骸などを食べる[3][4]

人間との関係[編集]

亜種クロトゲスッポンは開発による生息地の破壊、排水路による水位の低下、人為的に移入された他亜種との遺伝子汚染などにより生息数が激減している[2][3]

A. s. ater クロトゲスッポン
ワシントン条約附属書I[a 2]

温帯に分布し遺棄・脱走した場合に定着のおそれがあること、大型になり在来種との競合が懸念されること、本種がアメリカ合衆国西海岸に定着した例があることなどから、属単位で要注意外来生物に指定されている[a 3]

ペット用として飼育されることもあり、日本にも輸入されている。スベスッポンの名前で本種が流通することもある[1][2]

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k 海老沼剛 『爬虫・両生類ビジュアルガイド 水棲ガメ1 アメリカ大陸のミズガメ』、誠文堂新光社2005年、68-69頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac 千石正一 「Reptiles&Amphibians Gallery アメリカスッポン」『月刊アクアライフ』179号、マリン企画、1994年、186-187頁。
  3. ^ a b c d e f g 小原秀雄、浦本昌紀、太田英利、松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ3 中央・南アメリカ』、講談社2001年、282頁。
  4. ^ a b c d 千石正一監修 長坂拓也編著 『爬虫類・両生類800種図鑑 第3版』、ピーシーズ、2002年、170頁。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]