ツクバネ

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ツクバネ
福島県会津地方 2016年9月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 core eudicots
: ビャクダン目 Santalales
: ビャクダン科 Santalaceae
: ツクバネ属 Buckleya
: ツクバネ B. lanceolata
学名
Buckleya lanceolata (Sieb. et Zucc.) Miq. (1870)[1]
和名
ツクバネ(衝羽根)[2]

ツクバネ(衝羽根[3]学名: Buckleya lanceolata)は、ビャクダン科ツクバネ属落葉低木雌雄異株 [2][4]。山地に生え、他の樹木に半寄生する。

名称[編集]

和名ツクバネの由来は、実の先端に4枚の大きなが残り、その姿が羽根つきの衝羽根(つくばね)に似ているため、この名がある[5]

分布と生育環境[編集]

日本本州四国九州佐賀県長崎県大分県)に分布する[5][3]

ツガモミアセビなどが生育するやせた山地の林下、林縁に生育する[2][4]

特徴[編集]

落葉広葉樹低木[5]ツガモミアセビなどに半寄生[5]、高さは1メートル (m) 前後の小さな株が多い[3]は直立するが、数多く分枝して水平に伸び、枝先はやや垂れ下がる。樹皮は淡灰褐色から灰白色である[3]。一年枝ははじめ緑色で、古い枝は淡白灰色から赤褐色になる[3]。老木では荒れた肌合いになる[3]

対生し、葉身は長卵形から広披針形で長さ3 - 7センチメートル (cm) 、幅1 - 4 cmになり、先端は尾状に長くとがり[5]、基部はくさび形になり、短い葉柄がある。葉の縁は全縁となるか芒状の細毛が生える[2][4]。芽吹きのころの葉は、先端が赤茶色になる[3]

花期は晩春から初夏(5 - 6月ごろ)[5]雌雄異株であるが、雄株と雌株が隣り合って生育していることが多い[6]は淡緑色で径約4ミリメートル (mm) と小さく目立たない。雄花は雄株に、雌花は雌株につく。雄花は枝先に集散花序につき、4裂した花被片が反り返り雄蕊が4個つく。雌花は雌株の枝先に1個だけつき、雄蕊は無く、葉状の細長いが4個つき、花被片は早く脱落する。子房は下位で短い花柱がある[2][4]

果期は10月。果実は長さ7 - 10 mmの卵円形で、その先端には花の後に長さ3 cmほどに大きくなった苞が残り、羽根つきの羽根に似る[3]。果実は冬に熟す[5]

冬芽は長卵形で褐色をしており、11 - 14枚の芽鱗に包まれている[3]。枝先には仮頂芽がつき、側芽は枝に対生する[3]。葉痕は半円形で維管束痕が1個つく[3]

利用[編集]

若葉は食用にできる。また若い果実も塩漬けにして食用にできる[6]

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 佐竹義輔ほか 編『日本の野生植物 木本I』平凡社、1989年2月。ISBN 4-582-53504-6 
  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、93頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 永田芳男『樹木:秋冬編』山と溪谷社〈新装版 山溪フィールドブックス 13〉、2006年11月。ISBN 4-635-06070-5 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、228頁。ISBN 4-522-21557-6 
  • 茂木透 写真、高橋秀男・勝山輝男 監修『樹に咲く花:離弁花 1』山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑 3〉、2000年4月。ISBN 4-635-07003-4 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]