チェリーブロッサム (カクテル)

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チェリーブロッサム(cherry blossom cocktail)は、ショートドリンク(ショートカクテル)に分類されるカクテルである。正式名称はチェリーブロッサム・カクテルであるが[要出典]、通常チェリーブロッサムと省略するので、本記事でも以降チェリーブロッサムと記述する。

概要[編集]

このカクテルは、大正時代横浜バー「パリ」のオーナーである、田尾多三郎によって考案された。カクテル名のチェリーブロッサム(Cherry Blossom)というのは、「桜の花」という意味であり、サクラの花をイメージして作られたカクテルだと言われている[誰によって?]。また、日本では、「著名なカクテルブックである『サヴォイ・カクテルブック』でも紹介されている、日本産まれのカクテルだ。」と紹介されることが、しばしばある。

標準的なレシピ[編集]

チェリーブロッサムは、有名なカクテルであること、さらに、作られてから時間が経っていること、などの理由によって、様々なレシピが存在するようになったカクテルである。しかし、その中でもリキュールベースのカクテルやブランデーベースのカクテルとして紹介されるレシピが、日本では有名だ。また、オリジナルのレシピも、やはりリキュールベース、または、ブランデーベースのレシピであったとされる 。

したがって、日本でチェリーブロッサムを作る時は、基本的に、以下のリキュールベースやブランデーベースのレシピで作られる。

  • チェリー・ブランデー = 30ml
  • ブランデー = 30ml
  • レモン・ジュース = 2dash(約2ml)〜2分の1tsp(約2.5ml)
  • オレンジ・キュラソー = 2dash〜2分の1tsp
  • グレナデン・シロップ = 2dash〜2分の1tsp

なお、通常、比率表示で書かれる部分(ここではチェリー・ブランデーとブランデーの分量)は、合計60mlとして計算してある 。

したがって、カクテル・グラスの容量が小さめである場合には、チェリー・ブランデーとブランデーの分量を、やや減ずることによって調節する。

作り方[編集]

チェリー・ブランデー、ブランデー、レモン・ジュース、オレンジ・キュラソー、グレナデン・シロップをシェークして、カクテル・グラス(容量75〜90ml程度)に注げば完成である。

備考[編集]

  • このレシピで作った場合、深い紅色から濃い赤褐色のような色のカクテルとなる。
  • より甘口のカクテルとするためには、チェリー・ブランデーを増量する[1][2]
    • この時、相対的にブランデーの量が少なくなるため、チェリー・ブランデーを増量したレシピは、リキュールベースのカクテルとして紹介される。例えば、チェリー・ブランデー : ブランデー = 3:2で作る例[3][4][5][6]も見られる。
    • さらには、レモン・ジュース、オレンジ・キュラソー、グレナデン・シロップの使用量も変更し、チェリー・ブランデーをブランデーの2倍使用している例[7]も見られる。
    • 逆に、辛口にする場合は、全く逆のことを行うので、そのような場合は、ブランデーベースのカクテルとして紹介される。中には、レモン・ジュース、オレンジ・キュラソー、グレナデン・シロップの使用量も変更し、ブランデーをチェリー・ブランデーの2倍使用している例[8]も見られる。
  • レモン・ジュース、オレンジ・キュラソー、グレナデン・シロップの量が変更されることもある[9][7][8][10]
  • キュラソー系リキュールが使用されない場合もあり、この場合、グレナデン・シロップ = 1tsp、レモン・ジュース = 2dropが標準となる[11][12][13]
  • マラスキーノ・チェリー(レッド)が飾られることもある[14]
  • 横浜が発祥と言われるチェリーブロッサム、ヨコハマバンブーミリオン・ダラー横浜4大カクテルと呼ばれる[15][16]

この節の参考文献[編集]

参考文献」の節に表記されている書籍、全て。

ジンベースのチェリーブロッサム[編集]

先述の通り、日本ではリキュールベースやブランデーベースのレシピで作られるのが一般的である。しかし、日本以外では、全く違うレシピのチェリーブロッサムも存在する[17]。 それが、ジンをベースとするチェリーブロッサムである。

標準的なレシピ[編集]

作り方[編集]

ドライ・ジン、ラズベリー・シロップ、オレンジ・ビターズ、鶏卵の卵白を強くシェークして、カクテル・グラス(容量75〜90ml程度)に注げば完成である。

備考[編集]

  • 卵白を混合するため、リキュールベースやブランデーベースのチェリーブロッサムよりも、強くシェークする必要がある。
  • 卵白の量に合わせるために、大型のカクテル・グラス(容量120ml以上)を用いることもある。なお、大型のカクテル・グラスは、ソーサー型のシャンパン・グラス(容量120ml程度)で代用しても良い。

この節の主な参考文献[編集]

  • 堀井浩一 『つくる・飲む・楽しむ カクテール』 文研出版 1986年4月5日発行 ISBN 4-580-90230-0
  • 浜田晶吾 『すぐできるカクテル505種』 有紀書房 1991年6月20日発行 ISBN 4-638-00531-4
  • フランセ 著 今井 清 監修 『楽しく味わう カクテル・ノート』 池田書店 1990年3月20日発行 ISBN 4-262-12803-2

出典[編集]

  1. ^ 永田奈奈恵 監修 『ポケットガイド カクテル』 p.12 成美堂出版 1998年1月20日 ISBN 4-415-08549-0
  2. ^ 澤井慶明 監修 『カクテルの事典』 p.145 成美堂出版 1996年12月20日発行 ISBN 4-415-08348-X
  3. ^ 稲保幸 『カクテルガイド』 p.135 新星出版 1997年4月15日発行 ISBN 4-405-09629-5
  4. ^ 稲保幸 『カクテル こだわりの178種』 p.153 新星出版 1998年7月15日発行 ISBN 4-405-09640-6
  5. ^ 稲保幸 『スタンダードカクテル』 p.60 新星出版 1993年2月25日発行 ISBN 4-405-09577-9
  6. ^ 花崎一夫 監修 『ザ・ベスト・カクテル』 p.54 永岡書店 1990年6月5日発行 ISBN 4-522-01092-3
  7. ^ a b 高井久 監修 『絵でわかるカクテル入門』 p.142 日東書院 1989年7月20日発行 ISBN 4-528-00362-7
  8. ^ a b 吉田芳二郎 『カラーブックス 828 洋酒入門 (第2版)』 p.62 保育社 1992年4月30日発行 ISBN 4-586-50828-0
  9. ^ 稲保幸 『カクテル・レシピ1000』 p.166 日東書院 2005年7月10日発行 ISBN 4-528-01412-2
  10. ^ 久保村方光 監修 『イラスト版 カクテル入門』 p.130 日東書院 1997年4月1日発行 ISBN 4-528-00681-2
  11. ^ 片方善治 『洋酒入門』 p.127 社会思想社 1959年12月15日発行
  12. ^ 浜田晶吾 『すぐできるカクテル505種』 p.138 有紀書房 1991年6月20日発行 ISBN 4-638-00531-4
  13. ^ フランセ 著 今井清 監修 『楽しく味わう カクテル・ノート』 p.158 池田書店 1990年3月20日発行 ISBN 4-262-12803-2
  14. ^ 吉田芳二郎 『カラーブックス 828 洋酒入門 (第2版)』 p.61、62 保育社 1992年4月30日発行 ISBN 4-586-50828-0
  15. ^ かながわ検定協議会 (2006). よこはま百問. かながわ検定協議会. p. 213. ISBN 9784876453931 
  16. ^ るるぶ横浜中華街みなとみらい’16~’17. JTBパブリッシング. (2016). p. 32. ISBN 9784533110108 
  17. ^ 山本祥一朗 監修 『カラー図解 カクテル』 p.74 成美堂出版 1994年12月10日発行 ISBN 4-415-07873-7

参考文献[編集]

  • 稲保幸 『洋酒とカクテル入門』 日東書院 1987年2月10日発行 ISBN 4-528-00361-9
  • 稲保幸 『カクテル こだわりの178種』 新星出版 1998年7月15日発行 ISBN 4-405-09640-6
  • 稲保幸 『スタンダードカクテル』 新星出版 1993年2月25日発行 ISBN 4-405-09577-9
  • 稲保幸 『カクテルガイド』 新星出版 1997年4月15日発行 ISBN 4-405-09629-5
  • 稲保幸 『カクテル・レシピ1000』 日東書院 2005年7月10日発行 ISBN 4-528-01412-2
  • 花崎一夫 監修 『ザ・ベスト・カクテル』 永岡書店 1990年6月5日発行 ISBN 4-522-01092-3
  • 澤井慶明 監修 『カクテルの事典』 成美堂出版 1996年12月20日発行 ISBN 4-415-08348-X
  • 山本祥一朗 監修 『カラー図解 カクテル』 成美堂出版 1994年12月10日発行 ISBN 4-415-07873-7
  • 永田奈奈恵 監修 『ポケットガイド カクテル』 成美堂出版 1998年1月20日 ISBN 4-415-08549-0
  • 福西英三 『カラーブックス 563 カクテル入門』 保育社 1982年3月5日発行 ISBN 4-586-50563-X
  • 中村健二 『カクテル』 主婦の友社 2005年7月20日発行 ISBN 4-07-247427-4
  • オキ・シロー 『カクテル・コレクション』 ナツメ社 1990年3月24日発行 ISBN 4-8163-0857-1
  • アンテナハウス 編集 『カクテル物語』 同文書院 1991年12月18日発行 ISBN 4-8103-7043-7
  • 伊東正之 監修 『スタンダード・カクテル』 創元社 1989年12月10日発行 ISBN 4-422-74024-5
  • YYTproject 編集 『おうちでカクテル』 池田書店 2004年10月20日発行 ISBN 4-262-12918-7
  • 堀井浩一 『つくる・飲む・楽しむ カクテール』 文研出版 1986年4月5日発行 ISBN 4-580-90230-0
  • 浜田晶吾 『すぐできるカクテル505種』 有紀書房 1991年6月20日発行 ISBN 4-638-00531-4
  • フランセ 著 今井清 監修 『楽しく味わう カクテル・ノート』 池田書店 1990年3月20日発行 ISBN 4-262-12803-2
  • 久保村方光 監修 『イラスト版 カクテル入門』 日東書院 1997年4月1日発行 ISBN 4-528-00681-2
  • 高井久 監修 『絵でわかるカクテル入門』 日東書院 1989年7月20日発行 ISBN 4-528-00362-7
  • 片方善治 『洋酒入門』 社会思想社 1959年12月15日発行
  • 杉田米三 『最新カクテルブック』 柴田書店 1969年12月20日発行
  • 吉田芳二郎 『カラーブックス 828 洋酒入門 (第2版)』 保育社 1992年4月30日発行 ISBN 4-586-50828-0