スナゴカマツカ

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スナゴカマツカ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: コイ目 Cypriniformes
: コイ科 Cyprinidae
亜科 : カマツカ亜科 Gobioninae
: カマツカ属 Pseudogobio
: スナゴカマツカ P.polystictus
学名
Pseudogobio polystictus
Tominaga and Kawase, 2019[1]

スナゴカマツカ(砂子鎌柄、Pseudogobio polystictus)は、2019年に新種と認められたカマツカ属の淡水魚。日本固有種。

名称[編集]

以前は「カマツカ グループC」と呼ばれていた[2]。和名の「すなご」は、日本の童謡たなばたさま」の歌詞に出てくる「きんぎん砂子(すなご)」に由来する。体に多くの小黒斑を持っており、それらの間の部分の鱗は金や銀に光って見えることから、天の川にたとえてこの名前がつけられた[3]。種小名のギリシャ語「polystictus」は「たくさんの斑点がある」という意味[2]

分布[編集]

フォッサマグナ以東の本州の河川上流から下流の砂底がある地域[2]

形態[編集]

全長15㎝。胸鰭の棘状 軟条の先端は第6軟条の先端に達さず、胸鰭外縁の先端は強く後方に湾曲する。胸鰭軟条数は、12〜14本で最頻値は13。口ひげは頭長の16.9〜34.8%。口ひげの先端は眼の前縁に接する垂線を越える。頭長の29.6〜42.0%ほどの長い口唇をもつ。肛門〜臀鰭起点間の距離が短く、全長の15.9〜22.4%。その間に11〜16枚の鱗をもち、最頻値は12枚。不明瞭な暗色斑と多数の明瞭な小黒点をもつ[4]

生態[編集]

昼は砂に潜っており、夜になると砂底で活発に摂食する。カマツカは産卵期が5〜7月で、底生動物を主食とした雑食性であることから、本種もそうである可能性がある。しかし、定かでなく、生態に関しては研究が待たれる[2]

発見経緯[編集]

富永教諭は、関西学院高等部在学時に、京都府の農業用水路で取れるカマツカに顔つきや体形が異なる2タイプがあることに気づき、関西学院大学理工学部分子生物学を学んだ後、京都大学大学院理学研究科に進学。そして、全国のカマツカを調べ、遺伝的に3集団が存在することを特定する。この3集団は、カマツカナガレカマツカ、スナゴカマツカにあたる。オランダの自然史博物館(ナチュラリス生物多様性センター)に所蔵されているカマツカのタイプ標本と見比べるなどして、2019年に、スナゴカマツカを正式に発表した。

利用[編集]

塩焼き、から揚げ、天ぷらなどで食されてきた[5]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Tominaga, Koji, and Seigo Kawase (2019). “Two new species of Pseudogobio pike gudgeon (Cypriniformes: Cyprinidae: Gobioninae) from Japan, and redescription of P. esocinus (Temminck and Schlegel 1846).”. Ichthyological Research 66 (4): 488-508. doi:10.1007/s10228-019-00693-x. 
  2. ^ a b c d 細谷和海 『増補改訂 日本の淡水魚』 山と渓谷社 2019年 162〜165頁
  3. ^ https://www.kwansei.ac.jp/news/detail/press_20190424_022019.html 関西学院大学 高等部教諭が淡水魚「カマツカ」の新種を2種発見
  4. ^ 富永浩史・川瀬成吾 66(4):488–508
  5. ^ 松沢陽士 『ポケット図鑑日本の淡水魚258』 文一総合出版 84頁