スクォンク

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スクォンクSquonk)はアメリカペンシルベニア州北部の森に棲息するといわれる伝説上の動物である。 ウィリアム・トーマス・コックス(William Thomas Cox)が1910年に出版した『木こりの森の恐ろしい動物たち、砂漠と山の獣たち』(Fearsome Creatures of the Lumberwoods, With a Few Desert and Mountain Beasts)によって広く紹介された。

概要[編集]

伝承によれば、スクォンクはペンシルベニア州北部のツガの森に棲息し、明け方や夕暮れに活動するとされる。体表はイボに覆われ、病的というほど引っ込みがちな性格で、常にを流して泣いている。あまり泣いてばかりいるので、熟練した狩人ならスクォンクが流した涙のあとをたどっていくことさえできる。もし追いつめられて逃げられなくなったり、驚いたり恐怖にかられたりすると、あふれる涙で全身が溶けてしまうこともあるという[1]

ある時、ペンシルベニアに住む人物がスクォンクの泣き声をまねて、袋の中におびき寄せて捕らえた。袋に入れたまま家に持ち帰ろうとすると、突然荷物が軽くなり、泣き声がやんだ。住人が中を覗き込むと、そこには涙とあぶくしかなかったという[1]

スクォンクにはLacrimacorpus dissolvensという「学名」がつけられている。これはラテン語で「涙に溶ける体」の意味である[1]

影響[編集]

スクォンクの逸話は、欧米を中心とした多くの作品の中で引用されている。よく知られるものを列挙する。

  • マリオ・バーヴァの映画『血みどろの入江』(Reazione a catenaイタリア、1971年)では登場人物がスクォンクについて語りあう長尺のシーンがある。
  • アメリカのロックバンド、スティーリー・ダンのアルバム『プレッツェル・ロジック』(Pretzel Logic、1974年)に収録された『気どりや』(Any Major Dude Will Tell You)にもスクォンクへの言及がある。
  • イギリスのロックバンド、 ジェネシスのアルバム『トリック・オブ・ザ・テイル』(Trick of the Tail、1976年)にはスクォンクを捕らえた猟師に題材をとった、『スコンク』(Squonk)という曲が収められている。
  • 日本の大宮ソフトが開発したゲームソフト『カルドセプト』シリーズに『スクォンク』というこの動物に題材をとったと思われるクリーチャーが登場する。
  • 日本の音楽グループ『のあのわ』のアルバム「MAGICAL CIRCUS」(2010)に「スクォンクの涙」という曲が収められている。

その他[編集]

ペンシルベニアに本拠を置くパフォーミングアートグループ、スクォンク・オペラ(Squonk Opera)の名前は同グループに所属したサックスプレイヤーのサウンドに由来するもので、スクォンクとは関係がない。

脚注[編集]

  1. ^ a b c William Thomas Cox, Fearsome Creatures of the Lumberwoods, With a Few Desert and Mountain Beasts, Washington D.C., Press of Judd & Detweiler, Inc., 1910, p.31

関連項目[編集]

外部リンク[編集]