シャクチリソバ

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シャクチリソバ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: タデ目 Polygonales
: タデ科 Polygonaceae
: ソバ属 Fagopyrum
: シャクチリソバ P. cymosum
学名
Polygonum cymosum
Meisn.
和名
シャクチリソバ
シュッコンソバ
ヒマラヤソバ
英名
Perennial Buckwheat

シャクチリソバ赤地利蕎麦、学名:Polygonum cymosum (シノニム: P. dibotrys Hara)は、タデ科タデ属多年草、虫媒植物。「シャクチリ」の語源は不明であるが、『本草綱目』に用いられた種名であり、牧野富太郎が和名として命名したものである[1]ソバと同属であるが、自殖性である。地下に黄赤色の根茎を残し越冬するため、シュッコンソバ宿根蕎麦)の名称もある。英名のPerennial Buckwheat(多年生のソバ)も同趣である。

太く空洞の茎に三角形ないしハート (シンボル)形の葉をつける。夏から秋にかけて5枚の萼片に分かれた白色の花をつける。多年生であるため、冬は地上部が枯れるが、宿根は残って翌年に新たな茎を叢生させる。

分布及び生産状況[編集]

パキスタンインドブータンネパール中華人民共和国の南西、タイと広範囲の分布域を持っている。

シャクチリソバは二倍体と四倍体に大別でき、二倍体は中華人民共和国南西からチベット地方、四倍体はタイ北方からインド西北にかけて分布域がある[2]。シャクチリソバの遺伝子やアロザイム変異を解析した結果からチベット地方に二倍体の野生種が発見され、約70万年前から150万年前頃に四倍体に分化したと考えられている[2]。近縁種とされる栽培品種のダッタンソバはその後、シャクチリソバ(四倍体)の分布域において、自然変種・交雑や品種改良を行った可能性が高くなった。

日本には明治時代に薬種として持ち込まれ、東京大学大学院理学系研究科附属植物園で栽培された。その後、園外に飛散した種子が繁殖し、帰化植物として繁茂することとなった。路傍や河川敷などに自生しており、アレロパシーにより他種を駆逐するため、優占群落を形成することもある。北海道は「北海道の外来種リスト」にシャクチリソバを挙げている[3]

成分及び利用[編集]

種子はえぐ味が強く、他のソバ類のように食用することはできない。一方で若葉は食用にできることから、明治期には「野菜ソバ」の名称で宣伝されたこともあった。『本草綱目』巻18「赤地利」の項によれば、葉と根茎を飲用すると解熱や腹下しを治す薬効があるほか、悪瘡毒腫にも効くという。

脚注[編集]

  1. ^ 『ソバの科学』(新潮社 1984)
  2. ^ a b 山根京子、シャクチリソバ野生集団における倍数体成立と遺伝的分化の分子マーカーによる解明 京都大学 博士論文 農博第1313号, NAID 500000234447 , hdl:2433/148969
  3. ^ シャクチリソバ北海道ブルーリスト20102013年3月3日閲覧

関連項目[編集]

外部リンク[編集]