サコタッシュ

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サコタッシュ
トウモロコシとライマメにオクラ、ソーセージや小エビ、トマトやタマネギを合わせニンニクとバジルで調味。
フルコース 主菜
発祥地 アメリカ、カナダ
提供時温度 温菜
主な材料 トウモロコシライマメバター
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トウモロコシ、ライマメ、ニンジンその他の野菜で作ったサコタッシュ
インゲンマメと調理したサコタッシュ

サコタッシュ: Succotashナラガンセット語英語版sohquttahhash に由来)は、「砕いたトウモロコシの穀粒」を意味し [注釈 1][注釈 2]スイートコーンを主としてライマメや他のを合わせて作る料理である。コーンビーフじゃがいも塩蔵した豚肉[3]トマトパプリカ[4]オクラなどの材料を加えることもある[4] [5]豆果穀物を足すことで、すべての必須アミノ酸が豊富な料理となる[6][7]。食材が比較的安価で手に入れやすかったため、アメリカ合衆国において大恐慌の間に普及した[要出典]。ときに伝統的なポットパイのように上に軽いパイ生地をのせて、キャセロールで調理されることもある。

歴史[編集]

サコタッシュというシチューの仲間には長い歴史があり、17世紀、アメリカ先住民から入植者に伝わった。食材は当時のヨーロッパではまだ知られておらず、徐々にニューイングランド地方の郷土料理英語版として定着していく[8][9]と、やがてペンシルベニアニューイングランド地方[10]において、感謝祭のお祝いの伝統的な料理として供された。主な材料として用いられるトウモロコシ、ライマメ、トマト、トウガラシはいずれも新大陸の食材である。

レシピと調理法[編集]

アメリカ南部の一部では、ありあわせの野菜を混ぜて炒めたものにライマメを加え、ラードバターで覆った料理がサコタッシュと呼ばれている。

キャサリン・ビーチャー英語版が19世紀にまとめた調理法に、干した豆とトウモロコシの穂軸をひと鍋でゆでる料理がある。とうもろこしは途中で取り出し、豆を茹で続けて軟らかくなったところに、軸から外しておいたトウモロコシの穀果を加える。このシチューの仕上げに小麦粉でとろみをつける。豆とトウモロコシの比率は1対2。

ヘンリー・ウォード・ビーチャーが『Western Farmer and Gardner』誌に寄せたレシピ(1846年)では塩漬けの豚肉を加え「これは欠かせない」と書き添えた[3]

トリビア[編集]

「Sufferin' succotash」は『ルーニー・テューンズ』のキャラクター達、特にシルベスター・キャットによって使われるキャッチフレーズである[11]

ハービー・ハンコックの1963年のアルバム『Inventions and Dimensions』の最初の曲は「Succotash」という曲名である[12][13]ディー・ライトによる曲「Groove Is in the Heart」(1990年)に〈My supper dish, my succotash wish〉という一節がある。エイリアンアントファームのアルバム『Anthology』(2001年)に〈Make a wish, make a succotash wish〉という一節があり、その曲はこのバンドが最初に作り演奏した曲で、EP盤『$100』にも収録された。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^
    v.t. その男は(それを)細かく砕こうと、搗(つ)くまたは叩くなどした。Howse (クリー語 Gr. 86) によると語素〈tahum〉とは「語根に続き対象物を打つまたは 搗き崩すの意 」である。Inan. 複数形 〈sohquttahhamunash〉(トウモロコシの穀果、Is. 28,28)は潰したトウモロコシの意。あるいは; 〈s?hq-〉、〈sukq-〉とも。形容詞、副詞〈sohquttahhae〉とは搗き崩したもの。複数形〈sohquttahhash〉が転じて「サコタッシュ」〈succotash〉となる。参照項目〈pohqunnum〉[クリー語で〈séekwa-tahúm〉、彼はそれを細かく打ち砕いた。]
    [1]
  2. ^ (Narr.) 名詞複数形「トウモロコシの茹でた穂軸」(すなわち mo-soquttahhash、細かく砕いたり搗(つ)いたりしない状態?)。項目名 soh-quttahham 参照。潰したものは接頭辞のない soquttahhash。故に一般名 succotash を潰していないトウモロコシに用いると、本来なら誤りである[2]

出典[編集]

  1. ^ 『Natick Dictionary』 1903, pp. 152 (アーカイブ版 p.190)項目名sohquttahham
  2. ^ 『Natick Dictionary』 1903, pp. p.67, アーカイブ版 p.194項目名 *msickquatash
  3. ^ a b Scharnhorst, p. 19.
  4. ^ a b 『The American Heritage Dictionary of the English Language』 2004, §succotash.
  5. ^ Bowles 1947.
  6. ^ Annigan, Jan. “Nutritional Sources of Essential Amino Acids”. 2017年6月5日閲覧。
  7. ^ Essential Amino Acids”. hyperphysics.phy-astr.gsu.edu. 2017年6月5日閲覧。
  8. ^ “Yes, Succotash Has a Luxurious Side” (英語). ニューヨークタイムズ. (2015年8月19日). https://www.nytimes.com/2015/08/19/dining/yes-succotash-has-a-luxurious-side.html#:~:text=The%20name%20is%20a%20somewhat,which%20other%20ingredients%20were%20added.&text=Most%20often%2C%20it%20contained%20corn,cultivated%20together%20in%20distinct%20mounds 
  9. ^ “Succotash recipe with a history” (英語). Yankee Magazine. https://newengland.com/yankee-magazine/food/succotash-recipe-with-a-history/. 
  10. ^ Morgan, Diane; Rizzo, John (英語). The Thanksgiving Table: Recipes and Ideas to Create Your Own Holiday Tradition. p. 122 
  11. ^ Sylvester the Cat - A Favorite Cartoon Cat.”. Best-cat-art.com. 2017年6月5日閲覧。
  12. ^ Project, Jazz Discography. “Herbie Hancock Catalog”. Jazzdisco.org. 2017年6月5日閲覧。
  13. ^ Roberts 1999, p. 139.

参考文献[編集]

主な執筆者名、編纂者名のアルファベット順

  • Bowles, Ella Shannon (1947). Secrets of New England Cooking. Barrows 
  • “succotash”. The American Heritage Dictionary of the English Language (4 ed.). Houghton Mifflin Company. (2004). http://dictionary.reference.com/browse/succotash 2009年2月21日閲覧。 
  • Roberts, John Storm (1999). Latin jazz : the first of the fusions, 1880s to today. New York: Schirmer. p. 139. ISBN 0-02-864681-9 
  • Scharnhorst, Gary. Literary Eats. McFarland 
  • Trumbull, James Hammond (1903). Natick Dictionary. Bulletin 25. ワシントンD.C.: スミソニアン協会、アメリカ民俗学部門. pp. 152 (アーカイブ版 p.190). https://archive.org/details/natickdictionar02trumgoog 

関連項目[編集]

関連文献[編集]

外部リンク[編集]