コマンダン・リヴィエル級フリゲート

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コマンダン・リヴィエル級フリゲート
基本情報
艦種 護衛通報艦 (Aviso-escorteur)
就役期間 1962年1994年
前級 ル・ノルマン級(高速護衛艦)
ブーゲンヴィル級(通報艦)
次級 デスティエンヌ・ドルヴ級(通報艦)
要目
基準排水量 1,750トン
満載排水量 2,230トン
全長 98メートル (322 ft)
最大幅 11.5メートル (38 ft)
吃水 4.3メートル (14 ft)
機関方式 CODAD方式
主機 SEMT ピルスティク 12PC2
ディーゼルエンジン×4基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 11,920 kW / 15,990 bhp
速力 25ノット (46 km/h)
航続距離 7,500海里 (16.5kt巡航時)
乗員 士官9名+下士官66名+水兵91名
便乗者 コマンド部隊80名乗艦可能
兵装
レーダー
  • DRBV-22A 対空捜索
  • DRBV-50 低空警戒/対水上
  • DRBC-32A 砲射撃指揮
  • ソナー
  • AN/SQS-17 捜索用
  • DUBA-3 攻撃用
  • DSBV-1 魚雷警報用
  • 電子戦
    対抗手段
  • ARBR-16電波探知装置
  • DAGAIEデコイ発射機×2基
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    コマンダン・リヴィエル級フリゲートフランス語: Aviso-escorteur Classe Commandant Rivière)は、フランス海軍が運用していたフリゲートの艦級。

    来歴[編集]

    フランス海軍は戦前より、通報艦と呼ばれる艦種を整備してきた。当初、これは文字通りに伝令を主任務、警備・救難を副任務としており、主に本国との情報伝達および洋上警備をになうために植民地に配備されていた。のちに無線通信が発達したのちには警備・救難を主任務として、コルベット級の艦艇が通報艦に分類されて、引き続き植民地沿岸に配備された。

    第2次大戦後においても、この任務の重要性は継続していた。しかし一方で、冷戦構造の成立とともにフランスは北大西洋条約機構に加盟し、同国海軍は大西洋における船団護衛に投入できる護衛駆逐艦を必要としていた。このことから、通報艦と護衛駆逐艦の任務を兼ねることができる艦が構想された。このコンセプトに基づいて開発されたのが本級であり、当初はフランス連合護衛艦(escorteurs d'union français)と称されていたが、1959年に護衛通報艦Aviso-escorteur)と改称された[1]

    設計[編集]

    設計面では、先行して建造された高速護衛艦であるル・ノルマン級の拡大版となっているが、船型としては中央船楼型が採用されている。様々な気候帯での活動を想定して、艦内には空調が施された[2]

    主機関としては、SEMT ピルスティク 12PC2型中速ディーゼルエンジン4基によって推進器2軸を駆動するCODAD方式とされた。また「バルニー」はフランス海軍初のCODAG艦として建造されており、巡航機としてはAGO V-16型ディーゼルエンジンを2基、加速機としてはチュルボメカM38型ガスタービンエンジンを1基搭載した。なおチュルボメカM38は、ダッソーエタンダールIVおよびシュペルエタンダールで搭載されていたスネクマ アター8をもとに開発された舶用ガスタービンエンジンであった[2]

    装備[編集]

    主センサーとなる対空レーダーは、先行して整備された高速護衛駆逐艦であるル・ノルマン級(1,795トン)と同じく、DRBV-22Aをマスト中段に搭載した。これはアメリカのAN/SPS-6をもとに開発されており、Lバンド、出力2,000キロワットの2次元レーダーであり、最大探知距離は70 nmi (130 km)とされていた[3]

    兵装面でも基本的にル・ノルマン級のものが踏襲されているが、同級で主たる対潜兵装とされていたM/50 375mm対潜ロケット砲にかえて、より簡便だが威力におとる305mm 4連装対潜迫撃砲が船楼前端に搭載されたほか、新しい両用砲であるMle.53 100mm単装速射砲が初採用とされた。また1970年代中盤から着手された改装により、後部上構上の2番砲と交換に西側第1世代の艦対艦ミサイルであるエグゾセMM38が搭載され、対水上火力が大幅に強化された[2]

    同型艦[編集]

    運用史[編集]

    1955年にネームシップが発注されたのに続いて、1956年に6隻が、1957年に2隻が発注され、これらは1962年より就役を開始した。また、同様の要求に基づき、ポルトガル海軍も本級の準同型艦を発注し、1967年より4隻がジョアン・ベーロ級フリゲートとして就役した。しかしながら、ポルトガル海軍は同級に続いて、通報艦任務に限定して小型化することで運用コストを下げたジョアン・コーチニョ級コルベットの整備を開始し、このコンセプトはフランス海軍にも逆輸入されて、デスティエンヌ・ドルヴ級通報艦が配備されることとなった。本級はいずれも1990年代後半までに運用を終了したが、このうちの3隻はウルグアイ海軍に売却されて再就役した。なおウルグアイ海軍は、2000年代においてジョアン・ベーロ級2隻を購入し、購入した本級のうち2隻の代替としている。

    一覧表[編集]

     フランス海軍 退役/再就役後
    # 艦名 進水 就役 退役 再就役先 # 艦名 就役 退役 その後
    F725 ヴィクトル・シュルシェール
    Victor Schoelcher
    1958年
    10月11日
    1962年
    10月15日
    1988年 ウルグアイ海軍 ROU 02 ヘネラル・アルティハス
    General Artigas
    1988年
    12月19日
    2005年
    4月27日
    スクラップとして廃棄
    F726 コマンダン・ボリ
    Commandant Bory
    1964年
    3月5日
    1996年 2004年実艦的として海没処分
    F727 アミラル・シャルネ
    Admiral Charner
    1960年
    3月12日
    1962年
    12月14日
    1990年 ウルグアイ海軍 ROU 03 モンテビデオ
    Montevideo
    1991年
    1月28日
    2009年
    12月18日
    スクラップとして廃棄
    F728 ドゥダール・ド・ラグレ
    Doudart de Lagrée
    1961年
    4月15日
    1963年
    5月1日
    1991年 1999年実艦的として海没処分
    F729 バルニー
    Balny
    1962年
    3月17日
    1970年
    2月1日
    1994年 2003年実艦的として海没処分
    F733 コマンダン・リヴィエール
    Commandant Rivière
    1958年
    10月11日
    1962年年
    12月4日
    1992年 スクラップとして廃棄
    F740 コマンダン・ブールデ
    Commandant Bourdais
    1961年
    4月15日
    1963年
    3月10日
    1990年 ウルグアイ海軍 ROU 01 ウルグアイ
    Uruguay
    1990年
    8月20日
    2008年
    3月27日
    スクラップとして廃棄
    F748 プロテ
    Protet
    1962年
    12月8日
    1964年
    5月1日
    1992年 2001年実艦的として海没処分
    F749 アンセーニュ・ド・ヴェソ・アンリフランス語版
    Enseigne de Vaisseau Henry
    1963年
    12月14日
    1965年
    1月1日
    1996年 スクラップとして廃棄

    参考文献[編集]

    1. ^ Conway's All the World's Fighting Ships 1947-1995. Naval Institute Press. (1996). p. 117. ISBN 978-1557501325 
    2. ^ a b c Bernard Prezelin (1990). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991. Naval Institute Press. pp. 157-158. ISBN 978-0870212505 
    3. ^ Norman Friedman (1997). The Naval Institute guide to world naval weapon systems 1997-1998. Naval Institute Press. ISBN 9781557502681. https://books.google.co.jp/books?id=l-DzknmTgDUC 

    関連項目[編集]