ウスリホオヒゲコウモリ

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ウスリホオヒゲコウモリ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 翼手目 Chiroptera
: ヒナコウモリ科 Vespertilionidae
: ホオヒゲコウモリ属 Myotis
: ウスリホオヒゲコウモリ M. sibiricus
学名
Myotis sibiricus (Kastschenko, 1905)[2]
シノニム
  • Vespertilio mystacinus sibiricus Kastschenko, 1905[2]
  • Myotis mystacinus gracilis Ognev, 1927[1][3]
和名
ウスリホオヒゲコウモリ[4]
ウスリーホオヒゲコウモリ[2]
英名
Siberian bat[1]
Ussuri whiskered bat[5]

ウスリホオヒゲコウモリ(ウスリ頬髭蝙蝠、学名:Myotis sibiricus)は、翼手目ヒナコウモリ科ホオヒゲコウモリ属に属するコウモリウスリーホオヒゲコウモリとも呼ばれる。かつては、ヨーロッパに広く分布するヨーロッパホオヒゲコウモリ M. mystacinus またはブラントホオヒゲコウモリ M. brandtii亜種とされていたが、近年のDNAに関する研究によりヨーロッパ産とは異なることがわかり、別種となった。

分布[編集]

シベリア東部、サハリン日本に分布する。日本では北海道のみの分布である。

形態[編集]

前腕長34-37mm、頭胴長38-50mm、尾長30-40mm、体重4-7gになる。黒褐色の体毛をもち、背中の上毛の先端は金属光沢を帯びる。ヒメホオヒゲコウモリに似るが、尾膜の血管の走行が本種は直線的であるのに対して、ヒメホオヒゲコウモリは湾曲することで識別する。

分類[編集]

以前はヨーロッパホオヒゲコウモリMyotis mystacinusまたはブラントホオヒゲコウモリM. brandtii亜種とされていた[2][3][4]。2003年に発表された分子系統解析による結果に基づき、2005年に東アジアの個体群が独立種M. gracilisとして分割されたが、M. gracilisより先行して記載されたM. sibiricusを有効名とする説が2012年に提唱された[2]

生態[編集]

樹洞や橋桁の下、木製家屋の板壁の隙間などをねぐらとする。人家に近い平地林や家屋を中心に生息する。また、ヒメホオヒゲコウモリやウサギコウモリ、キタクビワコウモリ、ドーベントンコウモリなどと同居していることがある。冬季には冬眠をする。

初夏に1仔を出産する。親と同じ大きさに成長するまで、25-30日かかる。

保全状況評価[編集]

LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[1]

絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト[5]

出典[編集]

  1. ^ a b c d Zhigalin, A. 2020. Myotis sibiricus. The IUCN Red List of Threatened Species 2020: e.T85567062A85567065. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2020-2.RLTS.T85567062A85567065.en. Accessed on 06 September 2022.
  2. ^ a b c d e 谷戸崇・岡部晋也・池田悠吾・本川雅治Illustrated Checklist of the Mammals of the Worldにおける日本産哺乳類の種分類の検討」『タクサ:日本動物分類学会誌』第53巻(号)、日本動物分類学会、2022年、31-47頁。
  3. ^ a b 前田喜四雄日本産翼手目(コウモリ類)の分類レビューと解説」『哺乳類科学』第36巻 1号、日本哺乳類学会、1996年、1-23頁。
  4. ^ a b 本川雅治、下稲葉さやか、鈴木聡「日本産哺乳類の最近の分類体系 阿部(2005)とWilson and Reeder(2005)の比較」『哺乳類科学』第46巻 2号、日本哺乳類学会、2006年、181-191頁。
  5. ^ a b 前田喜四雄「ウスリホオヒゲコウモリ」、環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室編『レッドデータブック2014 日本の絶滅のおそれのある野生動物 1 哺乳類』ぎょうせい、2014年、68-69頁。

参考文献[編集]

  • 前田喜四雄 阿部永監修 財団法人自然環境研究センター編 『日本の哺乳類【改訂2版】』 東海大学出版会、2008年、P38、ISBN 978-4-486-01802-5
  • 柳川久 コウモリの会編 『コウモリ識別ハンドブック』 文一総合出版、2005年、P25 ISBN 4-8299-0015-6

関連項目[編集]

外部リンク[編集]