アナツバメ

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アナツバメ
コシジロアナツバメ
Aerodramus spodiopygius
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: アマツバメ目 Apodiformes
: アマツバメ科 Apodidae
: アナツバメ族 Collocaliini
和名
アナツバメ(穴燕)
英名
swiftlet, cave swiftlet
下位分類群

アナツバメ(穴燕)は、アマツバメ目アマツバメ科アナツバメ族 (Collocaliini) の総称、またはその一部。(アツバメとアツバメの違いに注意)

総称としての「アナツバメ」にはヒマラヤアナツバメ属 Aerodramusやアナツバメ属 Collocalia などが含まれ、洞穴内の壁に営するもの(洞穴生物)が多い[1]。アマツバメ科は、ツバメなどスズメ目ツバメ科に属するツバメ類と形態や飛翔方法が類似するが、系統学的に類縁は遠く、収斂進化によって似るに過ぎない。

アナツバメ族は、Aerodramus(約27種)、Collocalia(約3種)、Hydrochous(約1種)、Schoutedenapus(約2種)の計4属約33種からなる。ただしこのうち、Schoutedenapusの種の和名には「アナツバメ」が入っていない(他の3属の種には入っている)。Aerodramusを置かずCollocaliaに含めることがあり、その場合Collocalia(つまり先の分類でのCollocalia + Aerodramus)をアナツバメ属と訳し、アナツバメ属のことをアナツバメと呼ぶことがある。

以下では特に断らない限りアナツバメ族について述べる。

特徴[編集]

アナツバメの生息するタイの島

全長10 - 15センチメートル (cm) の小型の鳥。南アジア東南アジア・熱帯太平洋オーストラリア北部の海岸や島に分布する。最大の生息地は、ボルネオの大鍾乳洞群地帯。

山地海岸にある天井の高い洞窟内で集団繁殖し、洞窟の天井・壁面に営巣する[1]。他のアマツバメ科の鳥同様、羽毛など空中で得られる浮遊物を飛翔しながら集めて巣材とし、これを唾液腺から分泌される粘着質の分泌物で固めた巣を作る。この点が類縁の遠いツバメが泥を地表で採取して巣財にするのと大きく異なる。うちジャワアナツバメ A. fuciphagusオオアナツバメ A. maximus 2種の巣は空中から集めた巣材をわずかしか使わず、ほとんど全てが唾液腺の分泌物でできており、中華料理の高級食材である燕の巣として利用される。

食虫性で、日中に飛びながら膜翅類双翅類を捕らえる。

Aerodramusに属する種は、真っ暗な洞穴内でエコロケーションをする。鳥類でエコロケーションをするのは、アナツバメとアブラヨタカだけである。従来、Aerodramusはエコロケーションをし、CollocaliaHydrochousはエコロケーションをしないと考えられていたが、コビトアナツバメ C. troglodytesがエコロケーションをすることが2004年に発見され、この区別は崩れた[2]

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Aerodramus[編集]

Collocalia[編集]

Hydrochous[編集]

Schoutedenapus[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b アナツバメ. コトバンクより2020年10月17日閲覧
  2. ^ http://www.blackwell-synergy.com/doi/abs/10.1111/j.1474-919X.2005.00467.x

関連項目[編集]

燕の巣