らぶジェネ!

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らぶジェネ!は、本田透による日本ライトノベルMF文庫Jより刊行されている。イラストは鶴崎貴大

本田透による著作はたいてい自身のホームページで事前に紹介がなされるのに、『らぶジェネ!』に関してはほとんどそれがなかった。対して同日発売の『がく×ぶる』には発売日の10日前からほぼ毎日に渡り作品・キャラクター紹介などがなされ、順調とは言えない滑り出しであった。

概略[編集]

架空世界の住人が現実世界に登場すると言う、神話の時代から存在するテーマ(ピュグマリオーン参照)を現代風に、かつ『電波男』以来の主張である二次元萌えを描いた作品。タイトルは作中作である恋愛シミュレーションゲーム、『らぶジェネ』に由来している。なお、様々な作品からのパロディが非常に多い。

主人公、柳沢航は中学時代にヒキコモリになりかけた黒歴史を持つ高校1年生。高校デビューを図り、思いを寄せる少女・竜宮雪名の気を引こうと廃病院の冒険を計画する。しかし、ひょんなことから恋愛ゲーム、『らぶジェネ』の登場人物・水無瀬美羽がゲームの世界から抜け出してきてしまい…。

登場人物[編集]

柳沢航(やなぎさわ わたる)
本作の主人公。中学時代、1週間だけヒキコモリかけたが、海斗の差し入れたゲームソフト『らぶジェネ』をプレイし、水無瀬美羽に夢中になることにより更生する。だが、高校へと進学した今は二次元でなく、三次元で生きて行こうと決心し、ギャルゲーをすべてPCから消去した。
中学時代にギャルゲーを数本プレイした程度であり、漫画アニメなどへの関心はないようで、メイド萌えを語る海斗に突っ込みを入れられる程度の常識人。かなり行動派の人間であり、現実世界で生活の基盤のない美羽の保護を買って出たり、圧倒的に強者であるシュルトリッヒに立ち向かう描写も見られる。
水無瀬美羽(みなせ みう)
作中作である『らぶジェネ』の登場人物。他人の恋のサポートに長けているため、ラブ・ジェネレーターの異名を持つ。快活で明るく、ボーイッシュ。あまり羞恥心はなく他人に抱きつくクセがある。しかし、ヒロインというわけではなく、『らぶジェネ』内では徹底的に報われないキャラクターであった。
廃病院の「ジェネサイト」をいう謎の機械の力により現実世界に登場。もともと「らぶジェネ」自体が並行世界を扱った作品であったため、あまり現実世界についてとまどいはない。ジェネサイトにバクがあったため、基本的には16歳の姿をしているが、くしゃみをすれば大人の色香ただよう23歳の姿に、せきがでると6歳の幼女姿になってしまう。
竜宮雪名(たつみや せつな)
航と同じ高校に通う美少女。自称・名探偵。名家のお嬢様であるがゆえにか若干感性がズレており、どこかスジの通らない推理を披露する天然系。この世の不思議なことがあると、解明せずにはいられない性格。ついには、名探偵部を立ち上げた。
心臓に疾患を抱えており、12歳までベッドから起き上がることができず、物語を読んで過ごしていた。現在は完治したとのことであるが、投薬は欠かせない体となっている。
牧原海斗(まきはらかいと)
航の親友。イケメンで名家の出身であるのだが、アキバ系。中学校時代は「中等部のメイドスキー」を呼ばれていた。かなり思慮分別に欠けるタイプの人間であり、どこからともなくトラブルを引っ張ってくる。
「ジェネサイト」で水無瀬美羽を顕現させた渡るに対抗し、シュルトリッヒを呼び出す。妄想を現実化させる人間と言うことで、「ダルパマスター」(ダルパはチベット仏教の秘術)を自称する。
シュルトリッヒ
作中作、「らぶジェネ」のメインヒロイン。「表象界」(オーディナリー・ワールド)からやってきた金髪碧眼のバトル精霊。「マンカインド」(人間そっくり)の異名をもち、最強に近い戦闘能力を持つツンデレ美少女。自身がつるぺたであることをコンプレックスにしている。かなりの毒舌家で、男をこの世でもっとも下等な生物とさげすんでいる。また、隠し設定であるが。異常とも言えるほど幼女愛好癖がある。
海斗により現実世界に顕現させられるが、その際にバグが発生し男性にされてしまっている。それでも精神は女性であり、また美貌もそもまま。
首塚〆子(くびづかしめこ)
作中作、「らぶジェネ」のヒロインの1人。通り名は「アビエイター」。長い黒髪と青白い肌に氷の瞳を持つ引きこもり系美少女。ただし、性格は美羽おして「超面倒くさい」と言わしめるほどで、嫉妬深く、ゲーム内ではささいな理由で主人公を呪ったりする。ポリシーは「生かさず、殺さず長く呪い苦しめる」こと。病弱ではあるが、戦闘能力はシュルトリッヒに匹敵するものがある。必殺技は「天命星呪怨の極み」などジメジメした地味かつ陰険な呪い系列の技が得意。
航と海斗の協力プレイによって現世に召喚された。

用語[編集]

らぶジェネ
作中における人気ゲームソフト。ヒロインは全員「表象界」からやってきた美少女戦士ではあるが、異能バトルは実質的にはオマケの恋愛アドベンチャーゲーム。もともとラブ・ジェネレータの水無瀬美羽をヒロインとした学園モノであったが、直前に異能バトルものに変更され、水無瀬美羽は脇役に成り下がってしまった。
ジェネサイト
廃病院にあった謎の機械。石仮面を被ることで起動し、架空の人物を現実世界に顕現させることができる。石仮面時代はオーパーツであり、その仕組みなどは解明されていない。

作品一覧[編集]

  1. らぶジェネ! 2008年12月25日 ISBN 978-4840124997
  2. らぶジェネ! 2009年04月30日 ISBN 978-4840127561