もうおまえしか見えない

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もうおまえしか見えない
尾崎豊シングル
初出アルバム『無題
B面 「弱くてバカげてて」
リリース
規格 8センチCD
ジャンル ロック
フォークソング
時間
レーベル トランスビート・マスタートラックス
作詞・作曲 尾崎豊
チャート最高順位
尾崎豊 シングル 年表
OH MY LITTLE GIRL
1994年
もうおまえしか見えない
(1996年)
風にうたえば
1999年
無題 収録曲
EANコード
EAN 4514664000055
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もうおまえしか見えない」(もうおまえしかみえない)は、日本のシンガーソングライターである尾崎豊の15枚目のシングル

1996年4月25日にトランスビート・マスタートラックスからリリースされた。作詞・作曲は尾崎が担当、前作「OH MY LITTLE GIRL」(1994年)よりおよそ2年3か月ぶりにリリースされたシングルであり、未発表曲集『無題』(1996年)からのリカットとなった。

CBS・ソニー主催の「SDオーディション」の際に尾崎が歌唱した曲であり、オーディション合格後に1枚目のアルバム『十七歳の地図』(1983年)の収録曲候補として最終選考に残ったものの、プロデューサーであった須藤晃の判断によりレコーディングされず未発表曲となっていた。アルバム『無題』およびシングル盤にはデモテープの音源がそのまま収録されている。

このCDを含め、既存音源発売版権を持つソニー・ミュージックレコーズ以外のレーベルで発売された未発表音源集については、ファンクラブ「Edge Of Street」や所属事務所であったアイソトープからは、著作者の意思に反するものということで「公式」の音源とは認定されていない。

オリコンチャートでは最高位61位、登場回数3回で売り上げ枚数は1.7万枚となった。

録音、制作[編集]

尾崎が1982年10月11日に受けたCBS・ソニー主催のオーディション『CBS SONY Sound Development Audition 1982』(SDオーディション)で「ダンスホール」、「町の風景[注釈 1]」、「野良犬の道 (Street Blues)[注釈 2]」と共に歌唱した曲であり、デモテープに収録されていた[1]。その後尾崎はオーディションに合格し、尾崎のプロデューサーとなった須藤晃と間で複数回におよぶミーティングが行われた[2]。ミーティングの度に尾崎は制作したデモテープや歌詞が書かれた大学ノートを持参していたが、須藤の望む作品ではなかったためレコーディングは開始されなかった[3]。その後尾崎は「十七歳の地図」の歌詞を完成させ、それを見た須藤は「これだよ! この曲だよ」と叫び絶賛した[4]

「十七歳の地図」の歌詞が完成したことによって尾崎の1枚目のアルバム『十七歳の地図』(1983年)のレコーディングが開始され、収録曲候補として本作もリストアップされていたが、最終選考の段階で没とされレコーディングは行われなかった[1]。「ダンスホール」はジャクソン・ブラウンの「ザ・ロード」に似ている事から同様に没とされた[5]。しかし「ダンスホール」はその後もライブでは演奏されていたため、2枚目のアルバム『回帰線』(1985年)に収録される事になった[6]

尾崎が10代の内に制作した曲は29曲であり須藤はこの曲数が少ないと述べているが、これは尾崎と須藤が共に作品に対してシビアであった結果であり、両者が「レコードにしてもいい」と判断した曲が29曲であったと述べている[7]。また、アルバム『十七歳の地図』以前に書き溜めた曲は多数あったが、本作や「野良犬の道」はレコードに入れておらず、尾崎の死後にレコード化された事に対して須藤は否定的な見解を示している[5]

リリース[編集]

尾崎の死去から4年後の1996年4月25日にトランスビート・マスタートラックスから8センチCDでリリースされた。

このシングルはカップリング曲も含め、アルバム『無題』に収録されている他の作品と同様に、デビュー前に録音された未発表音源をそのままリリースしたものであり、デモテープ音源であるためノイズなどが入っており、演奏は尾崎によるアコースティック・ギター1本での弾き語り演奏となっている。

別バージョン[編集]

後にアルバム『風にうたえば』(1999年)において、服部克久によるオーケストラアレンジが施されたアレンジバージョンが収録されており、さらにアルバム『SEPIA』(2002年)には西本明によるオーケストラアレンジバージョンが収録されている。

アートワーク[編集]

ジャケットデザインは、アルバム『無題』と同様に画家の池田満寿夫によるものとなっている。

収録曲[編集]

全作詞・作曲・編曲: 尾崎豊。
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.もうおまえしか見えない尾崎豊尾崎豊
2.弱くてバカげてて尾崎豊尾崎豊
合計時間:

スタッフ・クレジット[編集]

参加ミュージシャン[編集]

スタッフ[編集]

  • 池田満寿夫 - ドローイング
  • 野本卓司 - デザインワーク
  • 川井純子 - デザインワーク
  • 田中一郎(風の仲間たち) - マスタリング
  • 野田浩司(JVCマスタリングセンター) - マスタリング

リリース履歴[編集]

No. 日付 レーベル 規格 規格品番 最高順位 備考
1 1996年4月25日 トランスビート・マスタートラックス 8センチCD TBDL-1 61位

収録アルバム[編集]

  • もうおまえしか見えない
  • 弱くてバカげてて
    • 『無題』(1996年)
    • 『Before the Seventeen's Map』(1997年) - 服部克久によるオーケストラアレンジバージョンを収録。
    • 『風にうたえば』(1999年) - 服部克久によるオーケストラアレンジバージョンを収録。
    • 『jewel -Vocal Version-』(2001年) - バンドサウンドアレンジバージョンを収録。
    • 『SEPIA』(2002年) - 西本明によるアレンジバージョンを収録。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 後に一部歌詞が削除され「街の風景」へと改題された。
  2. ^ セカンドシングル「十七歳の地図」(1984年)の原曲。

出典[編集]

  1. ^ a b 地球音楽ライブラリー 1999, p. 138- 田中康文「『SEVENTEEN'S MAP』 RECORDING MEMO」より
  2. ^ 須藤晃 1998, p. 23- 「第一章 尾崎豊 追憶」より
  3. ^ 須藤晃 1998, p. 40- 「第一章 尾崎豊 追憶」より
  4. ^ 須藤晃 1995, p. 29- 「『十七歳の地図』 十七歳の地図」より
  5. ^ a b 地球音楽ライブラリー 1999, p. 139- 田中康文「『SEVENTEEN'S MAP』 RECORDING MEMO」より
  6. ^ 須藤晃 1995, p. 63- 「『回帰線』 ダンスホール」より
  7. ^ 地球音楽ライブラリー 1999, pp. 138–139- 田中康文「『SEVENTEEN'S MAP』 RECORDING MEMO」より

参考文献[編集]