ねくろま。

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ねくろま。
ジャンル ラブコメ
小説
著者 平坂読
イラスト じろう
出版社 メディアファクトリー
レーベル MF文庫J
刊行期間 2007年6月 - 2009年4月
巻数 全7巻
テンプレート - ノート

ねくろま。』は、平坂読による日本ライトノベルイラストじろうが担当。メディアファクトリーMF文庫Jより刊行。

概要[編集]

物語の主軸に「死者の蘇生」というファンタジーではありながらも重いコンセプトを置いているため、執筆の際には「人が生き返るということをあまり肯定的に書かないでほしい」と編集部から言われていた。

ジャンルはラブコメディーではあるが、ライトノベルとしては性的に、またグロテスクさの面で過激な表現が多い。これは著者の作風でもある。主に三人称視点で進行する。

ストーリー[編集]

ソリス・アレクサンドロは、容姿端麗・頭脳優秀、高名な死霊術の家系という完璧超人。しかし、幼い頃に起こしたある事件のせいで心霊関係(ゴースト・ゾンビなど)が大の苦手であり、死霊術からは身を引いていた。そんなある日、部屋に帰ると、そこには自らをマシロと名乗る骸骨が。そのマシロこそ、「ある事件」を起こしてまでもソリスが蘇生させたかった幼馴染であった。

登場人物[編集]

ソリス・アレクサンドロ
主人公。王立トリスメギストス魔道学院高等部2年生。精霊魔法科所属、生徒会副会長、去年の精霊魔法科首席。16歳。容姿端麗・頭脳明晰、学園始まって以来の神童として周りの者から尊敬の眼差しを受ける。
300年前に英雄大魔道師ルザルカと共に魔王を倒し世界を救ったデューマ・アレクサンドロを先祖にもつ死霊術の名門だが、11歳の時、幼馴染のマシロを生き返らせるため「賢者の石」の欠片(フラグメント)No.9「黄泉」を使うが失敗。無数のアンデッドに食われかけたことで心に深いトラウマが刻まれる。以降、心霊関係が大の苦手になり死霊術を諦め、12歳の時に両親をだますようにしてトリステインの精霊魔法科中等部に入学し奨学金で生活する。天才と呼ばれるものの実は精霊魔法の才能はなく完全な努力型。死霊術に関してはランクS(天才と呼ばれるものしか単身で使えない大魔法)相当の「屍骨騎士団(ナイツ・オブ・ナイトメア)」を他人の呪文を見て使えたところから、幼少時に言われた「デューマ・アレクサンドロの再来」「神童」の片鱗がうかがえる。
16歳の高等部2年の時に、骨だけで生き返ったマシロと再開し恋仲になる。マシロを完全に生き返らせるため「賢者の石」の欠片の収集をすることになるが、フラグメントNo.1「久遠(クオン)」から完全な「賢者の石」で生き返ることが出来るのは1人と判明。クオンやシェンファも「賢者の石」が必要だったため対立するが、途中で「みんな助かる方法ラブコメでいきましょう」と断じたメイらに打ち負かされてしまい、全員が助かる方法を模索する。その結果フラグメントNo.14「冥」の力と強化系死霊術で「劣化しない生きたゾンビ」としてマシロを生き返らせている。
マシロ・アナスタシア
ソリス・アレクサンドロの3つ上の幼馴染アメツチ系美少女
細かい作業(計算、薬の計量)や頭を使った遊び(将棋、チェス)は苦手。字は下手くそ。やおい本を好む。運動は天才的。
ソリスとの出会いは「6歳時におねしょしたことを叱られるのが怖くて家を飛び出して泣いていたソリスをお使い途中で見つけてなぐさめた」とのこと、以来姉のように世話を焼いていた。14歳のときに流行病で死んでしまうがソリスの死霊術により不完全(スケルトン)ながら蘇る。また「黄泉」の力により、口付けを通じてソリスの魔力を増幅させこ強力な魔法を使わせることが出来る。その際にはソリスがイメージする「マシロが生きていたらこうなっていたであろう姿」になることができる。最初は「死んだ人は、生き返っちゃいけない」として一歩引いてソリスの現在の生活を見守っていたがともに歩むことを望み恋仲になる。世間ではソリスが召喚したスケルトンということになっている。無自覚にフラグをたてるソリスにやきもきしている。6巻では不完全(ほぼ人間と変わらず感覚、食事などは出来るが成長と生殖は不可)ながらも肉体を持って蘇る。
シェンファ・パラケルスス
王立トリスメギストス魔道学院高等部3年生。魔法戦術科所属、生徒会会長(高等1年から3期連続)。11歳(表向きは17歳)。
魔道具科と白魔法科の導師号を取得済みソリスと並び称される神童。しかし実際はソリスよりもはるかに実力がある。
身長130センチ未満のキャンディーを咥えた赤と青の目を持つ金髪など、いかにも幼く見られがちな容姿だか、実際に11歳で公表年齢は偽装している。ソリスに「私は貴様を愛しているから私の部下になれ」と強引に副生徒会長に立候補させた。ことあるごとにアプローチ(裸でソリスのベッドにもぐりこんだり)しているが全て無視されている。
孤児院出身でハロルド・ファウストに生後まもなく強力なフラグメント「虹」を体内に埋め込まれたことにより、膨大な魔力を得るのと引き換えに余命が幾許もなくなる。そのため最初は同情を嫌い、「賢者の石」で自身を救おうとするザックやカイゼルに反発していたが逆に説得され、ソリスやクオンと対峙してでも「賢者の石」を手にいれることを決意する。しかしラブコメ要員に協力するロジャーに阻まれ敗北し、体内に埋めこまれた「虹」を外科手術で取り除き人工の生命維持装置をつけることで助かる。ただし魔法は使えなくなり、1ヶ月に一度は機械の調整をうけなければならない。
メイ・フラメル
王立トリスメギストス魔道学院高等部1年生。死霊術科所属次席。15歳。
容姿は金髪碧眼、ショートカットにアホ毛、童顔で小柄、胸は大きく華やかな容姿、アンデッドをこよなく愛する少女。
強化系死霊術の権威として君臨しているマーヤ・フラメルの孫娘。3歳の時に死霊術の天才少年といわれたソリスの噂を聞き憧れを抱く。ソリスのトリス学院中等部への入学を知り、自身も同校死霊術科に入学するがソリスが精霊魔法科にいることで激しく落ち込み一時期グレてしまう。のちに死霊術と関係なくソリスが好きになり、以来アプローチをかけ続けている。スケルトンのマシロが実はソリスが好きな女性と知り落ち込むも、真剣に告白し玉砕。しかし、振られても諦めないことを決意する。終盤では誰かを犠牲にすることを決意したソリスとマシロを気持ち悪いと諌め、ソリス達と対峙しフラグメントNo.2「世界」の力も借りてヒカリと協力し打ち負かす。
ヒカリ・ヒストリカ
王立トリスメギストス魔道学院高等部1年生。死霊術科所属首席。15歳。
地味な容姿、伏目がちで内気だがよく見れば相当なアメツチ系美少女。自信が無く自身を「ゴミ、ノロマ」など罵倒した後、死のうとするのでそのたびメイ達に止められる。死霊術科のクラスでは1番の実力を持つ。
キャロル・カリオストロ
王立トリスメギストス魔道学院高等部2年生。精霊魔法科所属、生徒会会計、去年の精霊魔法科次席。16歳。
赤い瞳に赤い髪の美少女、ただし胸は小さい。家はヘルメス24貴族が一カリオストロ公爵家の娘。剣術の才能があり、10歳の時に盗賊団を叩きのめすが、その強さに慕われてしまい雇った執事と一緒に実家とは別の屋敷に住んでいる(そのためヤクザ屋の娘と勘違いされてしまう)。
貴族の娘は貴族や政財界の有力者に嫁ぐ道しかないと考え、宮廷魔道師になれば定めにあらがえると思い学園に入学。そのため、中等部のときは自分よりも優秀なソリスを嫌うが次第に好意を持つようになる。なお、精霊科を選んだのは精霊魔法科の制服がとっても可愛かったから。
ソリスがマシロを愛していると知っても「大事なものを見定めたらどんなことがあろうと迷わない怖さがソリスの本質で、迫られたからといって落ちるようでは自分の好きなソリスでない」と考え、その矛盾を可能にするためソリスを諦めずにいた。終盤ではソリス達と死闘を演じようとしたクオンを剣術で倒している。
アイザック・ラムサス(ザック)
王立トリスメギストス魔道学院高等部2年生。魔法剣士科所属(4年間首席)、生徒会書記、16歳。
こげ茶色の髪、ボサボサ、長身痩躯で開閉しているのか判らない目を持つ常に冷静沈着な男。「インヴィジブル・エア(空気の読めない男)」の異名を持つ。
世界四大無法地帯の一つ、ガロット山岳地帯パンデッドヘヴン出身。両親は3歳の時に酒乱の男に殺される。たまたま仇を討った殺し屋に拾われ、暗殺の技術(忍法)を習得。魔剣「朱雀」を用いた剣術を使用する。師であった殺し屋が死ぬと「アイザック・ラムサス」の名を継いだため、本名は不明。5年後、次期ヘルメス王国宰相最有力候補だったアンデルセン・クロウリーの暗殺依頼を受けるが、その時同行していたシェンファに返り討ちにあう。以来彼女を倒すことを目標とし、力をつけるため学園に入学。常にシェンファのそばにいる(シェンファには犬扱いされている)。そのこと以外に興味がなく宮廷騎士団の勧誘されるが断ってしまう。のちにシェンファと決闘するが再び敗北。自身の好意を自覚しシェンファに告白するが保留されている模様。その後、女湯を覗くなどソリスいわく「欲望に忠実になったバカ」という一面を見せる。
ゲルニカ・バーンフィールド(ニカ)
ツーテールにした灰色の髪と瞳の10歳の美少女。雑誌「アダルティックガール」を愛読する。ゲテモノ系に詳しい(寄生虫、食虫植物)。
シェンファと同じ孤児院出身でハロルドにフラグメント「焼け野が原(バーンフィールド)」を体内に埋め込まれており、死霊術を得意とする。のちに貴族の養女として引き取られたが、虐待を受け家を出る。ロジャーと出会い事件屋として行動を共にする。ゲテモノ好きのためロジャーに好意を寄せるが子ども扱いしかしてもらえない。
ロジャー・アランカル
仕事(事件屋)も駄目でお金に汚くスケベな三段腹のブ男(ニカ談)。
魔法の才能は無いが幻術だけはかなりのレベル。
駄目な男だがゲルニカが大会に勝てなくて拗ねたとき少し嬉しそうにしていたり、ソリス達と死闘を演じようとしたシェンファが自分の生き様を貫く覚悟を公言したのに対し、「その考え自体が歪んでいる」と諌めるなどと父性的な一面もある。
クオン・エターニア
シズ(後述)の組織を壊滅させ、フラグメントを奪っていったサムライ少女。
とある事情で記憶を失い、ある行動から「魔王」と呼ばれていたソリスの事を探していた「魔王=トワ」かと思い、以後しばらく行動を共にする。
トワ・エターニア
300年前のアメツチ王国第14代国王。当時は強大な力を以って「魔王」と呼ばれていた。
天地戦争を起こした諸悪の根源とされているが、真実は自身以外の王位継承者が死亡し、世界征服を唱える軍閥に担ぎ出されたお飾り。魔王と呼ばれる所以も、偶然見つけた「賢者の石」を使い暗殺者やクーデターを凌いでいたためで本人に魔法の才能はない。権力者なりたがる人間が目に見えるほどのアメツチ王国の荒廃を憂い、国の膿を全て出すべく自国が負けるように友人であったデューマにフラグメントを渡し敗戦後もアメツチが国体を維持できるよう工作し、自身は諸悪の根源として滅びた。
300年後の本作でクオンにより蘇る。蘇った時は「鬼」滅亡の原因であるクオンが存在することを否定していた(300年前から処分しようと考えていた)。しかし、そのことを解っていながらも自分に尽くしていたと知り「魔王」をやめることにする。終盤では「黄泉」を使いスケルトンとして復活している。その後、厳しく律していた自分を取り戻すかのように欲望に忠実に生きるようになってしまった(女湯を覗くなど)。
デューマ・アレクサンドロ
ソリスの先祖。史実では英雄ルザルカと共に魔王を倒し天地戦争を終結させた最大の功労者。
ルザルカ・ヴァーミリオン
魔王を倒したとされる大英雄。精霊剣「エクスカリバー」を使っていた。
カイゼル・ファウスト(シズ)
ハロルド・ファウストの実の娘。
外見は灰色の瞳で右目に眼帯をつけたメイド。余命幾許もないシェンファを救うため有力貴族ホーリーに取り入り「灰色の蛇」というフラグメント収集の組織を作る。のちにホーリーに惹かれ結婚を考えるようになる。
ホーリー・フォッグヴィレッジ
短い黒い髪、やや小柄の中性的な美形。
ヘルメス市十三貴族に匹敵するほどの財力を持つ貴族でカイゼルの恋人。最初はフラグメントを集める首謀者と思われていた。
ハロルド・ファウスト
シェンファやゲルニカにフラグメントを埋め込んだ人物。
かつては家族を愛する資産家で、妻と孤児院を設立し多くの子供を救っていたが、妻が事故で死んでからは生き返らせるために「賢者の石」に没頭。やがて生き返らせることよりも「賢者の石」そのものに執着するようになり、子供23人が犠牲となった人体実験「ハロルド・ファウスト事件」を引き起こす。

用語集[編集]

2千年以上前に姿を消した大陸の先住民。その正体は別の次元から逃げてきた移住者。死者を蘇らせる「賢者の石」を量産できるほど高度な文明と技術を持っていた。しかし死者復活が容易になったため命の価値が下がり、「死」という倫理のブレーキが壊れた社会は暴走を続け、最終的に次元そのものが消滅する大戦を引き起こした。
賢者の石
アメツチ

既刊一覧[編集]

  1. ねくろま。 2007年6月30日初版発行 ISBN 9784840118736
  2. ねくろま。2 2007年9月30日初版発行 ISBN 9784840120432
  3. ねくろま。3 2007年12月30日初版発行 ISBN 9784840121118
  4. ねくろま。4 2008年3月31日初版発行 ISBN 9784840121934
  5. ねくろま。5 2008年7月31日初版発行 ISBN 9784840123334
  6. ねくろま。6 2008年11月30日初版発行 ISBN 9784840124850
  7. ねくろま。∞(インフィニティ) 2009年4月24日初版発行 ISBN 9784840127264