Wikipedia:井戸端/subj/大道芸人、パフォーマーなど、主に路上で活動するアーティストの写真掲載は認められるか

大道芸人、パフォーマーなど、主に路上で活動するアーティストの写真掲載は認められるか[編集]

大道芸人やパフォーマー、路上ライブなど、路上で芸術活動を行うアーティストの写真の掲載が認められるか、皆様のご意見を伺いたいと思います。

私としては大道芸人やパフォーマーが行っている路上での芸術活動には著作性が認められるため、写真掲載は無理と考えていました。最近、日本のアウトサイダー・アートの画像提供依頼とWikipedia:執筆コンテスト/第五回執筆コンテスト/コメントを見て、アウトサイダー・アート関連の写真(特に作品関係)の必要性が高いことを認識しまして、改めて調べてみたところ、大道芸人のギリヤーク尼ヶ崎の記事に本人の写真が用いられていることを知り、路上で独自のパフォーマンス活動を行っている宮間英次郎など、路上で行われている芸術活動の写真の掲載が可能かどうか、皆様のご意見を伺いたいと思いました。

私自身は著作権等に関して詳しくないのですが、Wikipedia:屋外美術を被写体とする写真の利用方針Wikipedia:画像利用の方針/肖像権を読んでみた印象としては、利用可能かどうかかなり微妙な感じを持っております。よろしくお願いします。--のりまき 2009年5月16日 (土) 00:06 (UTC)[返信]

個人的な意見です、と断らせていただいた上で、私の意見を書かせていただきます(すみません)。
まず、著作権の点については:
  • 演奏されている楽曲については、音声は写真には写らないので心配する必要はありません。
  • 演じられているダンスやパントマイムについても、写真に写ったその一瞬のポーズ(姿勢)に著作物性が認められることは稀だろうと思うので、ほぼ問題ないと思います。
  • 衣装に書かれたイラストなどについては、現実問題として、問題となるほど克明に写ることはあまりないのではないかと思います。
  • 衣装の造形全体については、よほど特殊でなければ、著作物性は認められないと考えます。
  • 大道具については、ケース・バイ・ケースです。
なお、Wikipedia:屋外美術を被写体とする写真の利用方針については、楽曲・ダンス・パントマイムなどはそもそも「美術の著作物」ではないので関係はありません。衣装や大道具に関しては、「美術の著作物」ではありますが、「恒常的に設置されている」という要件で無理があることのほうが多いのではないかと思います。
次に、(人格権・プライバシー権としての)肖像権について。これは、微妙ですよね。いわゆる「芸能人」については、次のような裁判例があります:
氏名・肖像を利用して自己の存在を広く大衆に訴えることを望むいわゆる芸能人にとって、私事性を中核とする人格的利益の享受の面においては、一般私人とは異なる制約を受けざるを得ない。すなわち、これを芸能人の氏名・肖像の使用行為についてみると、当該芸能人の社会的評価の低下をもたらすような使用行為はともかくとして、社会的に許容される方法、態様等による使用行為については、当該芸能人の周知性を高めるものではあっても、その人格的利益を毀損するものとは解し難いところである。

—東京高等裁判所平3年9月26日判決(平2年(ネ)4794号)・判例タイムズ772号246頁

プロのパフォーマーが行っているのであれば、この裁判例の射程が届くだろうと、私は思います。しかし、素人(というと失礼かもしれませんが)が行っている路上ライブなどでは、判断が分かれるかなと思います。ごく個人的には、公開を目的で行っているのだからプライバシーとはいえないとも思いますが、あくまで趣味として行っているのだからプライバシーだと考える人もいるでしょうし、裁判所がどういう判断を行うのかはわかりません。少なくとも、素人の場合は上記の裁判例の射程外であり、プライバシーの概念をどうとらえるかが問題になるでしょう。
さらに、パブリシティ権(としての肖像権)については、百科事典として適正な範囲内の使用であれば侵害しないというのが、いまの日本語版ウィキペディアで形成されつつある合意かな、と私は見ています。これは運用を考え出すとじつはかなり複雑なのではないかと思いますが、単純化していえば、既存の記事のために必要であれば問題ない、ということになると思います。
長くなったので、整理します:
  • 著作権については、大道具などはケース・バイ・ケースだが、そのほかの点はあまり問題がないだろう。
  • 肖像権は、プロのパフォーマーなら問題ないと思われる。素人のパフォーマンスである場合は、微妙。
  • パブリシティ権は、既存の記事のために必要であれば問題ない。
というのが、私の意見です。--mizusumashi月間感謝賞を応援します) 2009年5月16日 (土) 03:49 (UTC)[返信]
mizusumashiさんこんにちは。ご意見興味深く読ませていただきました。どうもありがとうございました。まず懸念を持っていましたパブリシティ権については、現在のWikipediaでの慣習上、問題が比較的少ない様子がわかりました。
肖像権ですが、確かに素人の場合は微妙なのでしょうが、Wikipediaに掲載可能なほどの特筆性があるレベルの人物ならば、プロに準じる扱いが可能なのではないかとの印象を持ちました。
mizusumashiさんのご意見と少々違った印象を持ったのが著作権についてです。パフォーマーは、そのパフォーマンス中の動作ひとつひとつにまで神経を行き届かせ、全身を用いながら表現活動を行っています。つまり写真に撮られた一瞬のシーンであるにしても、著作物性があるとされる可能性があると思いました。また衣装などについてもパフォーマンスでの表現に直接的に関係があるため、パフォーマーの表現活動に繋がるものとしての著作物性があるという見方も出来ると思いました。(特にギリヤークや宮間の例などは、衣装がその表現活動に占めるウエイトは大きいと感じられます)。--のりまき 2009年5月16日 (土) 09:20 (UTC)[返信]
> パフォーマーは、そのパフォーマンス中の動作ひとつひとつにまで神経を行き届かせ、全身を用いながら表現活動を行っています。
この点については、まず検討するべきは、著作隣接権の問題となるだろうと思います。振り付け師によって振付けられたダンスや、動きが決まっている古典的な舞の舞踏家も、ある意味では「動作ひとつひとつに~、全身を用いながら表現活動」していることに違いはないのですが、その舞踏家に認められるのは著作権ではなく、「実演家の権利」(著作隣接権)ですから。
著作隣接権について私は詳しくありませんが、著作権法91条で「実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する」と定められています。ここでいう「録画」は動画の録画に限られ、写真(静止画)の撮影には適用されませんから、実演家の実演については、写真に撮ったりそれを配布したりするのは著作権法上差し支えない、というのが日本の法律の立場でしょう(92条の2の送信可能化権も関係してきますが、これも静止画には適用されないと考えないと、条文構成上奇妙な結論になってしまいそうです)。
もちろん、「動作ひとつひとつにまで神経を行き届かせ」とおっしゃっているのは、そのパフォーマンスの創作性に対して神経を行き届かせているということでもあるでしょうから、パフォーマンスの著作物性を擁護する一つの理由にはなります。ただ、舞踏や無言劇の著作物性を写真にまで安易に及ぼしてしまっては、表現する側の利益とそれを撮影する側の自由のバランスを考慮した上で「実演家の権利」が写真については射程がおよばないように著作権法が作られている(と私は理解しているのですが)意味がほとんどなくなってしまうので、やはり一般的には著作権も及ばないのが通常であると考えたほうが自然ではないかと、私は思います(ただし、90条に注意)。
> 特にギリヤークや宮間の例などは、衣装がその表現活動に占めるウエイトは大きいと感じられます
たしかに、宮間英次郎の場合は、おっしゃるとおり、その衣装(とくに被り物)に著作物性は認められる可能性が高いと思います。ただ、これは「よほど特殊」と私が表現した部類に入るだろうと思います。
さらにまた、宮間英次郎の場合であってさえも、写真からその衣装の「表現上の本質的な特徴を直接感得できる」かどうか(複製物や二次的著作物になるかどうかの基準)というのは、やはり微妙な場合が多いのではないかと思います。ごくごく個人的な評価としては、この写真では認められないのではないかというのが、私の印象です。
いずれにせよ、私は自信を持って断定できる状態ではないの、一意見としてご考慮いただければ幸いです。--mizusumashi月間感謝賞を応援します) 2009年5月16日 (土) 13:48 (UTC)[返信]

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Mizusumashiさん、色々とどうもありがとうございます。大変に参考になります。私にはMizusumashiさんのご意見に説得力を感じました。

私としては掲載が可能ならば宮間英次郎の写真を掲載したいと考えています。できましたならば多くの著作権に詳しい方のご意見を参考にしたいと考えておりますので、よろしくお願いします。--のりまき 2009年5月17日 (日) 00:17 (UTC)[返信]

著作権は撮影者にあります。肖像権はそれとは別に被写体が持ちます。被写体が人なら人に、物ならその所有者ということです。同じ公道を使用してのパフォーマンスでも、大道芸として匿名で紹介する場合はOKですが、大道芸人誰々として人を公開するのはNGでしょう。著作権に関しては浪花節についての古い大審院の判例のとおり一回的か気分的か否かがポイントです。Mizusumashさんの意見でだいたいよいでしょう。私ものせるべきでないと思います。理由は、肖像権において不法行為が成立する場合があるからです。--114.51.28.245 2009年5月22日 (金) 14:33 (UTC)[返信]
問題は著作権よりも肖像権の方のようですね。Mizusumashiさんのご意見ならば、Wikipediaに掲載可能な特筆性の認められる人物ならば、私としてはおおむね肖像権の問題は少ないとの認識ですがいかがでしょうか?あと、もし写真掲載がダメということならば、現在掲載がされているギリヤーク尼ヶ崎の写真は削除依頼に出した方が良いのでしょうか?もう少し皆様のご意見をお聞きできればと思います。--のりまき 2009年5月24日 (日) 00:21 (UTC)[返信]
wikipedia盗撮隊でも作る気か・・・。ちなみにギリヤーク尼ヶ崎の写真はLTA:HEBI案件。--220.150.133.157 2009年5月26日 (火) 15:39 (UTC)[返信]

「公の場」で活動している大道芸人の写真がアウトって、「政治活動をしている政治家の写真はアウト」とほぼ同義になる気がしますが。もちろん、プライベートの写真とかなら話は別です。なお、ギリヤーク尼ヶ崎については私もコモンズの方に3枚ほど写真提供してますので、ブロック対象者と一緒くたにするのは勘弁な :)--KAMUI 2009年5月27日 (水) 10:22 (UTC)[返信]

う~ん…もちろん「盗撮隊」を作ろうとしているわけではなくて、公道などの公の場を主な活動拠点としている大道芸人などのアーティストで、その活動がwikipediaの特筆性を満たすような人物の写真掲載を論議していただいているつもりです。KAMUIさんのご意見のように、政治活動をしている政治家の写真と似た案件ではないかという意見もなるほどと感じます。ただ、肖像権の問題がありそうなので(個人的には芸術活動をしている姿を撮った写真を掲載することになるので、著作権に関する疑問も完全に消えたわけではありません)、詳しい方のご意見を伺いたいと思っております。--のりまき 2009年5月30日 (土) 02:13 (UTC)[返信]