Synth1

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Synth1
作者 Daichi(戸田一郎[1]
初版 2002年10月9日 (21年前) (2002-10-09)
最新版
1.13 beta 3 (Windows) / 1.13 beta 7 (Mac) / 2014年7月10日
種別 ソフトウェア・シンセサイザー
公式サイト daichilab.sakura.ne.jp/softsynth/index.html
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Synth1は、WindowsMacintosh用に開発されたソフトウェアシンセサイザークラビアのNORD LEAD2を参考に作られた[2]。KVR Audioでは最もダウンロードされたVSTプラグインとなっている[3]

リリース当初はDXi用プラグインだったが、後述の通りバージョン 1.08 以降は VSTi のみとなった。バージョン 1.13 で64 ビットネイティブで動作するようになった。

歴史[編集]

Synth1は2002年10月9日にDXiプラグインとして最初のリリースがされた。その6日後の2002年10月15日にはVSTiプラグインフォーマットをサポートするように更新された[4]

バージョン1.02は2002年10月27日にリリースされた[4]。このバージョンではソフトウェアをVSTに変換することで発生したメモリリークや、LFO波形セレクターが動作しないなどの重大なバグに対処した。その後のバージョンでは主に互換性の問題に対処した後、1.05aは、FMパラメータを変調する機能の追加や、 VCOの微調整、LFO同期機能を追加するとともに、ADSRの品質問題を修正したメジャーアップデートを行った。

バージョン1.06では、ユニゾンモード、ポルタメント、および新しい電圧制御フィルターが追加された。これによりベースとなったNord Lead 2から大きく異なる最初のバージョンとなった[4]

2006年5月3日にリリースされたバージョン1.07では、新しいパラメータとエフェクト (主にコーラス/フランジャー)が追加され、GUIの刷新が行われた。なお、1.07はDXiをサポートする最後のバージョンとなり、2010年4月23日にリリースされたバージョン 1.08ではDXiバージョンは廃止され、インストーラーが削除された。その1週間後の2010年5月1日にはバージョン1.09 に更新され、ここではフェーズコントロール機能の追加、ポリモードとユニゾンモードのボイス数が拡張された[4]

2010年5月4 日はWindows用のSynth1の最後の更新となる、バグ修正のためのバージョン1.10がリリース。さらにサブオシレーターを追加したバージョン1.11が5月9日にリリースされ、現在のバージョンである1.12は5月23 日にリリースされた。バージョン1.12 では.zipファイルからサウンドバンクを読み取る機能が追加された[4]

2023年7月現在最後のアップデートであるバージョン1.13ベータ版は2014年6月から7月にかけてリリースされた。このバージョンで64bit版のDAW上で利用できるようになった[4]

シンセサイザー[編集]

Synth1は、デジタルシンセサイザーであるClavia Nord Lead 2をベースにしたソフトウェアシンセサイザーである[4]。Synth1 は、一般的なシンセサイザーの合成方法である減算合成とFM合成を組み合わせたもので、最初のオシレーターには周波数変調用のパラメーターがある。構造的にはモジュラーアナログシンセサイザーのように動作する。ホストミュージックシーケンサーからのMIDIはアルペジエーターに入り、その後、オシレーター、フィルター、アンプで構成されるすべてのアクティブなボイスにMIDI情報が送信される。

また、LFOは上記の一連のデータの流れから別枠に設計され、オシレーター、フィルター、アンプの特定のパラメーターをモジュレーションできる。ボイスはLFO変調が追加された後、ミキサーに送信される。ミキサーからのサウンド情報はイコライザー、ディレイ、コーラスモジュールを介して送信され、その後サウンドデータが出力され、ホストプログラムに関連付けられたサウンドカードによって可聴音に変換される。

仕様[編集]

  • 3オシレーター。1 つはFM変調、1 つはリング変調と同期、および 1 つのサブオシレーター。Osc1はデチューンされたSuper Sawとして動作可能
  • ディストーションを含んだフィルターセクション 1 つ。4 つのフィルター タイプ: 2 つのハイパスフィルター、1 つのローパスフィルター、およびバンドパス フィルター
  • ホストのテンポに同期できる、 2 つの割り当てが可能なLFO
  • ホストのテンポに同期できるアルペジエーター
  • テンポディレイ、ディストーション、フェイザー、コーラス/フランジャーなどの内蔵エフェクト
  • ポリフォニー、モノフォニー、レガートボイス
  • ユニゾンモードとポルタメントモード切り替え
  • 32音ポリ
  • オートメーション機能
  • 低CPU使用率

脚注[編集]

  1. ^ 藤本健 (2012年12月1日). “Synth1開発者のDaichiさんにインタビュー、iPad版も来春登場だ!|藤本健の “DTMステーション””. 藤本健の “DTMステーション”. 2021年10月3日閲覧。
  2. ^ Software Synthesizer Synth1”. daichilab.sakura.ne.jp. 2021年10月3日閲覧。
  3. ^ Audio Plugins ranked by popularity at KVR Audio” (英語). KVR Audio. 2021年10月3日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g Software Synthesizer Synth1 Manual”. Daichi Laboratory. 2023年7月27日閲覧。

外部サイト[編集]