POWER SCALE

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POWER SCALE
Icemanスタジオ・アルバム
リリース
録音 1996年12月1日
- 1997年1月26日[1]
ジャンル J-POP
レーベル エピックレコードジャパン
プロデュース 浅倉大介
チャート最高順位
Iceman アルバム 年表
POWER SCALE
1997年
Digiryzm Mutation
1998年
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POWER SCALE』(パワースケール)は、1997年3月26日にリリースされたIcemanの1stアルバム。発売元はエピックレコードジャパン

概要[編集]

累計売上は5.5万枚を記録[2]

リードシングル3曲が収録されているが、いずれも表記はされていないもののアルバムバージョンとなっており、シングル版とは微妙にミックスが異なる。初回限定版は紙ケース入り仕様となっており、ブックレットが付属。

2013年9月11日、ソニー・ミュージックダイレクトよりBlu-spec CD仕様で再発された。

録音[編集]

1996年12月1日にスタジオ入りして、年末一杯はシンセサイザーのパートの録音を行った。年明けにギター・ボーカルのパートを録音し、1997年1月19日から1週間、ロサンゼルスにてミキシング・トラックダウン・マスタリングを行った[1]

「音のパワー・エネルギーをできるだけ良い状態でリスナーに聞いて欲しい」「今回は特に重低音にこだわりたい」という浅倉の意向から、浅倉のソロ作品で参加していたフィル・カッフェルを指名した[1]

音楽性[編集]

制作上のコンセプトは「テクノポップユーロビートファンク等のリズムをそのまま引用して使うのではなく、ハードディスクドライブに取り込んで、Pro Toolsでリズムを編集した上で、メンバー3人がそれぞれ何を乗せていくのか」をテーマにしている[3]。そのために色々なリズムを設けているため、全11曲の中で一つも同じリズムを採用していない[1]

ギターのパートでは葛城哲哉鳥山雄司も参加することもあり、伊藤は曲調によって「自分が担当する箇所・担当しない箇所」をはっきり示す様に努めた。浅倉も「伊藤君が全てのギターを受け持つ事はないと思っています。それよりも彼にはコーラスや間奏も含めて、全体のサウンドをチェックしてもらいたい」と狙いを語っている[1]

アルバムタイトルは「メンバー3人のスケールの大きさ・力のバランスを強く主張する」ための造語である[3]

収録曲[編集]

#タイトル作詞作曲編曲時間
1.DARK HALF〜TOUCH YOUR DARKNESS井上秋緒浅倉大介浅倉大介
2.「Something feel like Heaven」麻倉真琴浅倉大介浅倉大介
3.「Nartic Boy」黒田倫弘浅倉大介浅倉大介
4.「黎明 -REIMEI-」井上秋緒浅倉大介浅倉大介
5.「Mr. D」伊藤賢一伊藤賢一浅倉大介
6.「White Fusion〜仮想恋愛の手引き」麻倉真琴浅倉大介浅倉大介
7.「Dear My Friend〜make your shine way」麻倉真琴浅倉大介浅倉大介
8.「フリーター・ブルース」黒田倫弘浅倉大介浅倉大介
9.BREATHLESS NIGHT SLIDER井上秋緒浅倉大介浅倉大介
10.Edge of the season井上秋緒浅倉大介浅倉大介
11.「ICE BREAKER」伊藤賢一、麻倉真琴浅倉大介浅倉大介

楽曲解説[編集]

DARK HALF〜TOUCH YOUR DARKNESS
ミキシングを担当したフィルにより、シングル盤よりきつく、鋭い音色になった[4]
Something feel like Heaven
1980年代のニュー・ウェイヴを意識したリズムを使用している[5]
ボーカルは全編オーバー・ダビングで処理されている。特に英語詞のサビは何回も繰り返した[4]
間奏の女性の声色による呪文を思わせる詞は存在しない言葉で、伊藤が担当している。伊藤が「オリエンタルな女性の声が聞こえる」とその場で閃いて、浅倉の前で囁いた所、即採用となった[5]。伊藤の裏声によるボーカルをテープの回るスピードを落として録った[1]
コンセプトは「みんなそれぞれが『天国』と思える場所を探しにいこう」と掲げている[5]
PVは様々な文字・幾何学模様のCGを被らせたビデオドラッグを志向した[6]
黎明 -REIMEI-
スローテンポなジャングルと8ビートのリズム[5]パーカッション[4]を掛け合わせたバラード。
コンセプトは「10代にはわかりにくいかもしれない大人の恋愛の歌」と評している[5]
Mr. D
伊藤は「ライブで3人でストーリー性を持ったパフォーマンスをしたい」という気持ちで作った[3]
伊藤の出したデモテープをハードディスクドライブに取り込んで、浅倉がPower Macintoshで一旦バラバラにした後、再構築した[5]
ボーカル・コーラス[3]・ラップ・ギター[4]は伊藤が担当した。
伊藤は「グラムロック[4]「ドラキュラと浅倉」を意識して歌詞を書き、タイトルもそれのダブルミーニングである[3]
PVは「ドラキュラの親玉」を浅倉・「その僕」をオナペッツ・「ドラキュラを討伐する正義の味方」を黒田・「語り部」を伊藤が担当した。CGのブルーバックが間に合わず、黒田がメインのシーンだけ背景が青い[6]
後にMC-K2(現コタニキンヤ.)がアルバム『Mad soldiers'LABORATORY』にてカバーしている。
White Fusion〜仮想恋愛の手引き
歌詞は「ゲームと恋愛しているような感じ」を意識した[4]
まず浅倉がリズムのベーシックを作った[4]。伊藤のギターのリフをPower Macintoshに入れて、編集した[5]
ニューロマンティックのリズムを意識している[5]
ミキシング作業に一番凝り、6,7時間かけた[4]
Dear My Friend〜make your shine way
浅倉が「黒田君の声にはエレクトリックピアノが似合う」と思って制作した[5]
アナログ盤のノイズをループさせたリズムを背景として流している[5]
PVは「Edge of the season」「Something feel like Heaven」「Mr. D」撮影時の舞台裏とライブツアー「Iceman PROTO STAGE」の映像で構成されている[6]
フリーター・ブルース
浅倉が曲を作っている時に、黒田が「この曲の詞は僕が書きたい」と言い、Aメロのガイドメロディが作られていないデモテープを渡した[5]
黒田は「長いフリーターの時期の昔懐かしいドキドキする様な恋」[3]をテーマにした。
歌詞は1日で仕上げることができた[1]
間奏で数原晋による生のホーンを入れている。浅倉は「強引に暴走族やってよ」と注文した[1]
BREATHLESS NIGHT SLIDER
ミキシングを担当したフィルにより、シングル盤より音色に重量感を出し、スピード感を出した[5]
ICE BREAKER
ユニットの語源にもなっている言葉がそのままタイトルになった[5]
歌詞は「古代から言い伝えられてきた、世の中に対する哲学的なメッセージが今になって価値観を帯びだした」という物語性を出した[4]

参加ミュージシャン・スタッフ[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h ソニー・マガジンズ刊「WHAT's IN?」1997年4月号「Iceman 究極のヒューマン・テクノロジー・パワー」pp100-101より。
  2. ^ a b オリコンランキング情報サービス you大樹
  3. ^ a b c d e f ブティック社刊「月刊歌謡曲」1997年5月号「Iceman VIRTUAL MIRACLE PYRACLE」pp.16-17,「Iceman デジタルな人間味!」P.227-238より。
  4. ^ a b c d e f g h i ソニー・マガジンズ刊「PATi PATi」1997年5月号「Iceman Detail of "POWER SCALE"」pp.108-109より。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m ソニー・マガジンズ刊「WHAT's IN?」1997年5月号「セルフライナーノーツ」p.125より。
  6. ^ a b c ソニー・マガジンズ刊「PATi PATi」1997年6月号「Iceman アルバム『POWER SPACE』を聴いて POWER UP!」p.112より。