MOTHERシリーズのPSI体系

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MOTHERシリーズのPSI体系(マザーシリーズのサイたいけい)は、任天堂のロールプレイングゲームMOTHERシリーズ(『MOTHER』…以後1と表記、『MOTHER2 ギーグの逆襲』…2、『MOTHER3』…3)中に登場するPSI(サイ)と呼ばれる超能力(PSI)を体系別に記述したものである。本項目では、断りのない限り超能力をPSI(サイ)と呼ぶ。

概説[編集]

PSIの種類は、大きく分けて以下の3つである。

  • こうげき - 攻撃系のPSI。
  • かいふく - 回復系のPSI。
  • アシスト - 敵のステータスを変化させるなど、攻撃補助を行うPSI。

作品・PSIごとに消費PP(Psycho Point:サイコポイント)が定められており、PSIを使用するとその者のPPが消費PP分減算される。キャラクターの残りPPがPSIの消費PPよりも少ないと、PSIを使用することはできない。PPは自然回復させることはできないので、ホテル等に宿泊したり、回復効果のあるグッズ(アイテム)や施設を利用したり、戦闘中に敵のPPを吸い取ったりするなどの行動で回復させる。

PSIは基本的にはキャラクターのレベルが上昇することで覚えるが、レベルが上昇しても直ちに覚えるとは限らないのが特徴である。1ではレベル上昇と同時にPSIを覚えるとは限らず、何回か戦闘を繰り返したのちにPSIを覚えることがある。3ではレベル上昇の代わりに「マップ上で突然体調が悪くなり(じわーっと ねつっぽくなる)、治ると同時に覚える」という方法がとられている。

同一、または類似の効果を持ったPSIは名称が統一され、末尾にギリシア文字(α,β,γ,Ω など)を付加して威力や効果の区別をつける場合がある。順番が後ろの文字ほど威力・効果が大きかったり、効果範囲が広くなったりする。

MOTHERシリーズに登場した超能力[編集]

以下、MOTHERシリーズにおけるPSIを体系別に解説する。「登場作品」の項目は、シリーズ全作品登場の場合は省略する。

攻撃系PSI[編集]

戦闘時に使用して、敵にダメージを与えるPSI。名称の初めについているPKとは「Psyco Kinesiss(サイコキネシス)」の略。

本系統は特に断りのない限り、α,β,γ,Ω の4段階が存在する。

PKビーム
(1のみに登場)
光線によって敵を攻撃するPSI。α、β、γは単体、Ωが全体攻撃。γは相手のHPに関係なく敵単体を一撃で倒す効果があるが、ロボット・円盤・車などの生物でない敵や、ボスには通用しない。敵がγを使用してきた場合、標的になった者は一撃で倒れてしまうが、標的になった者がグッズの「フランクリンバッヂ」を所持していれば敵に跳ね返すことができる(2以降の「フランクリンバッヂ」とは効果が異なっている)。ただしフランクリンバッヂはγ以外のPKビームから所持者を守る効果はない。
PKファイアー
炎の力によって、ダメージを与えるPSI。
1では敵全体が対象である。Ωは相手のHPに関係なく敵全体を一撃で倒す効果があり、敵が使ってくることはない。
2では、前列か後列どちらかの敵全体にダメージを与える。
3では敵全体が対象で、稀に「体に火が残った」状態になり数ターン追加ダメージ(小)を与えられることもある。
PKフリーズ
冷気の力で敵にダメージを与えるPSI。
1ではα、β、γは単体、Ωが全体攻撃。γは敵のHPに関係なく残りHP数ポイントになる「ききてきじょうたい」にする効果があり、PKビームγと異なりボス以外であればどんな敵にも有効であるが、効果が出ない場合もある。
2以降ではすべて単体攻撃になったが、威力が高いだけでなく、稀に敵を固まらせて数ターン動けなくする追加効果がある。
PKサンダー
雷を落としてダメージを与えるPSI。
1ではα~γの3段階のみで、α、βは単体、γが全体攻撃。
2以降では「単体攻撃を規定回数行う」効果となっており、α、β、γ、Ωの順で攻撃回数が1~4回と増加していく。対象は指定できず、誰にも当たらないこともある(2では1発の命中率が25%で敵の数が4体以上なら必ず誰かに当たる)。その代わり命中すると対象のシールド・サイコシールドを破壊することが可能で(2ではその時の攻撃自体は無効化・反射され、3ではそのままダメージを与える)、さらに3では「しびれ」の追加効果がある。属性は1,2では無属性、3では電撃属性。
2以降の敵のPKサンダーはフランクリンバッヂで跳ね返すことが出来る(1のフランクリンバッヂとは効果が異なっている)。
PK****
(2,3のみに登場)
主人公、または主人公に深い関わりのある者だけが使える専用のPSI。精神集中による念動波を繰り出し、敵全体に無属性のダメージを与える。「****」の部分には、ゲーム開始時に「カッコイイとおもうもの」で入力した名前が入る。
2ではデフォルト名は「キアイ」。また与えるダメージが一定で、稀に攻撃が外れる事もある。
3ではデフォルト名は「LOVE」で、レベルではなく、ストーリーの進行に応じて習得する。威力は、およそα・・・100、β・・・250、γ・・・400、Ω・・・800。また、「マジプシーも使うことができない強力なPSI」とされている。
PKスターストーム
(2,3のみに登場)
無数の星を降らせて敵全体に属性無視の強力なダメージを与えるPSI。2ではα、Ωの2段階がある。3では1段階のみだが、威力は2のΩに相当する。ストーリーの進行によって主人公以外のキャラクターが習得する。
PKフラッシュ
(2,3のみに登場)
主人公専用のPSI。激しい光を放って、敵全体に「なみだ」「へん」などのさまざまな状態異常を引き起こすPSI。稀に一撃で敵を倒せることもある。2のみα、β、γ、Ωの4段階あり、上の段階になるにつれ引き起こす状態異常の種類が増え、また一撃で敵を倒せる確率も高くなる。3では1段階のみ。
PKグラウンド
(3のみに登場)
地震を起こして画面内の敵に少量のダメージを数回連続して与える(敵が複数いる場合は対象がランダムとなる)PSI。さらに敵を転ばせ、行動不能にすることもある。HPの最大値に応じて与えられるダメージが決まるので、HPが高ければ高いほど与えるダメージも大きい。NKサイボウグには特に効く。空を飛ぶ敵には効かず、効力の強さは1段階のみ。このPSIを使用する敵はいないが、同じ効果の技を使ってくる敵がいる。オソヘ城のヒメ(クマトラ)がレベルアップで習得する。

回復系PSI[編集]

戦闘時・マップ上で体力(HP)・精神力(PP)・状態異常を回復させるPSI。

ライフアップ
対象のHP(ヒットポイント)を回復させる。γまでが単体(うちγは全回復)、Ω(1ではπ、Ω)は全体を対象とする。回復量は作品により異なり、2が一番多く、1が一番少ない。1の回復量や習得はドラゴンクエストシリーズを意識しており、βをおんなのこは初期から習得しているのに主人公はLV29位でやっと習得するといった所にその片鱗がうかがえる。
ヒーリング / スーパーヒーリング
(スーパーヒーリングは1のみに登場)
状態異常・意識不明(HP0の戦闘不能状態)を治す。
1ではヒーリングはα、β、γ、πの4種類が存在し、それぞれ治せる状態異常が決まっている。スーパーヒーリングは意識不明(戦闘不能状態)から復活させるPSIで、使用時に必ず復活に成功し、HPも完全に回復する。
2では段階ごとに治せる状態異常が増えていき、γとΩは意識不明から復活させる。γは使用時に必ず復活に成功するとは限らず、復活してもHPは完全には回復しない(ドラゴンクエストシリーズにおけるザオラルに近い)。Ωは使用時に必ず復活に成功し、HPも完全に回復する。なおΩを使えるのはプーのみ。
3ではα、βは意識不明(戦闘不能状態)を除いたすべての状態異常に有効(αは1つ、βは複数の状態異常を同時に回復)。γはさらに意識不明から復活させ、Ωはγの効果を全員にかける。
サイマグネット
戦闘中のみ使用できるPSI。使用するPPはなく、敵からPPを吸い取って自分のものにする。1では単体のみ、2以降ではα(単体)とΩ(全体)の2段階がある。
リフレッシュ
3の戦闘中にのみ使用できるPSI。味方全体が対象で、かけると以後数ターンの間、毎回の行動前にHPが少量回復するようになる。全体的に見ると、ライフアップより効率が良い。

アシスト系PSI[編集]

戦闘中に使用して、味方を有利にしたり、敵を不利にしたりするPSI。

ダークネス
(1のみに登場)
敵を暗闇に包み込み、攻撃を当たりにくくする。2以降の「なみだ」状態にするPSIにあたる。同じ効果を持った特定のグッズも存在する。
シールドオフ
(1のみに登場)
敵のシールドを破壊し、消滅させる。2以降は同じ効果を持った特定のグッズが存在する。
クイックアップ
(1のみに登場)
スピード(すばやさ)を一定量アップさせる。味方単体が対象。
サイコブロック
(1のみに登場)
敵のPSIを封じこめることができる。2以降は同じ効果を持った特定のグッズが存在する。
オフェンスアップ(1,2) / オフェアップ(3)
味方のオフェンス(攻撃力)を一定量アップさせる。1は一定量に達するまで使用可能。2以降では重ねがけが可能で、3では重ねがけするごとに効果量が半減していく。
オフェダウン
(3のみに登場)
敵のオフェンス(攻撃力)を一定量ダウンさせる。重ねがけするごとに効果量が半減していく。
ディフェンスアップ(1) / ディフェアップ(3)
(1,3のみに登場)
味方のディフェンス(守備力)を一定量アップさせる。1は一定量に達するまで使用可能。3では重ねがけするごとに効果量が半減していく。2では登場しないが、同じ効果を持ったグッズ(「ディフェンススプレー」など)が存在する。
ディフェンスダウン(1,2) / ディフェダウン(3)
敵のディフェンス(守備力)を一定量ダウンさせる。重ねがけが可能だが、3では重ねがけするごとに効果量が半減していく。
さいみんじゅつ
相手の神経に働きかけて、敵を「ねむり」状態にする。1では単体のみ、2以降ではα(単体)とΩ(全体)の2段階がある。敵のIQが低いほど効きやすい。
パラライシス
相手の神経に働きかけて、敵を「しびれ」状態にする。1では単体のみ、2以降ではα(単体)とΩ(全体)の2段階がある。
ブレインショック / ブレインサイクロン
(ブレインサイクロンは1のみに登場)
相手の神経に働きかけて、1は敵を「こんらん」状態に、2、3は敵を「へん」状態にする(状態異常の具体的な効果は同一)。1ではブレインショックは敵単体、ブレインサイクロンは敵全体が対象。2以降はブレインショックαが単体、Ωが全体になっている。
「さいみんじゅつ」とは逆に敵のIQが高いほど効きやすい。
サイコシールド (MOTHER(1)版)
(1のみに登場)
あらゆるダメージを半減するシールドを貼る。αが単体、βが全体になっている。
2以降は、対物理攻撃か対PSI攻撃かで、有効なPSIが異なっている。
パワーシールド
(1のみに登場)
「PKビームγ」以外の攻撃を全て跳ね返す。味方単体が対象。一部のボス戦においては無効。
2以降は、対物理攻撃か対PSI攻撃かで、有効なPSIが異なっている。
シールド
(2,3のみに登場)
物理攻撃のダメージを半減するシールドを貼る。3回ほど物理攻撃を受けるとシールドが消える他、「シールドキラー(シールドとりがみ)」というグッズを使用すると即座にシールドは消滅する。またスマッシュ攻撃(クリティカルヒット)を受けても、シールドはすぐに消滅する。重ねがけができ、重ねがけをするとシールドの強さが増す。
2ではα、Σ、β、Ωの4段階が存在する。β、Ωは軽減した分のダメージを相手に跳ね返す。α、βが単体、Σ、Ωが全体に有効。
3ではダメージ半減の効果のみとなり(αが単体、Ωが全体)、反撃のシールドを貼るPSIは「カウンター」に分割された。
カウンター
(3のみに登場)
物理攻撃のダメージを半減し、減らした分を相手に跳ね返す反撃のシールドを貼る。α、Ωの2段階あり、それぞれ2のシールドβ、Ωにあたる。
サイコシールド (MOTHER2、MOTHER3版)
(2,3のみに登場)
PSI攻撃のダメージを無効にするサイコシールドを貼る。3回ほどPSI攻撃を受ける(「PKサンダー」の場合は即時)か「シールドキラー(シールドとりがみ)」を使うと消滅する。重ねがけが可能で、重ねがけをすることで強さが増す。
2ではα、Σ、β、Ωの4段階が存在する。α、Σはかき消し、β、Ωはそのまま相手に跳ね返す。α、βが単体、Σ、Ωが全体に有効。
3ではPSI攻撃によるダメージ半減の効果のみとなり(αが単体、Ωが全体)、反撃のサイコシールドを貼るPSIは「サイコカウンター」に分割された。
サイコカウンター
(3のみに登場)
PSI攻撃のダメージを半減し、減らした分を相手に跳ね返す反撃のサイコシールドを貼る。「カウンター」同様にα、Ωの2段階あり、それぞれ2のサイコシールドβ、Ωにあたる。
じげんスリップ
(1のみに登場)
消費PPは多めだが、戦闘から必ず脱出することが出来る。ラスボスを含む特定のボス戦では無効。

その他のPSI[編集]

マップ上を瞬時に移動したり、イベントで使用したりするPSI。

テレパシー
(1のみに登場)
心の声を聞いたり、逆に発する事ができる。赤ん坊など喋れない人や動物とも会話をすることができる。ゲームをクリアするには使用が必須の、重要なPSI。
2ではコマンドとして使うことはできないが、おんなのこ(ポーラ)が特定のイベントで使用する。
テレポーテーション(1) / テレポート(2)
イベントでのみ習得するPSI。今まで行ったことのある場所へ瞬間移動できる。ただし、瞬間移動するには一定距離の助走が必要で、助走中に障害物にぶつかると黒焦げになり失敗となる(ダメージを受けることはない)。助走中でも十字キーで方向を変えることが出来るため、障害物を回避することは可能だが、狭い場所や細い道などでは衝突し失敗する場合が多い。1では助走中は敵と遭遇しない。
2ではα、βの2種類。αは1の「テレポーテーション」同様に前方へ助走していく。βはその場で小さな(徐々に広がる)円を描くように助走を行うので、「たつまきテレポート」とも称される。αに比べ狭い場所でも使用可能である。

大乱闘スマッシュブラザーズに登場した超能力[編集]

大乱闘スマッシュブラザーズシリーズでは、2の主人公ネスと3の主人公リュカがプレイヤーキャラとして登場しており(ネスはシリーズ全作品、リュカは3作目の『X』以降)、必殺ワザとしてPSIを使用する。ただし、対戦アクションゲームのシステムに合わせて、RPGである原作からまったく異なる性能に変更されており、原作で主人公は覚えられないPSIも使用する(PKフラッシュ以外全て)。

なお、必殺ワザ以外のPSI、もしくはPSIで強化した体術にも「PK~」と付いているものがあるが、本項では割愛する。

PKファイヤー
稲妻型の弾を前方に飛ばし、当たると火柱を発生させる。
ネスは火柱がしばらく残り連続ヒットし、リュカは火柱がすぐになくなり火柱に当たった相手を大きくふっとばす。
空中で使うとネスは斜め下に落下、リュカはそのまま横に飛んでいく。
なぜか名称が原作の「PKファイー」ではなく「PKファイー」となっているが、『オンラインガイド スマブラ拳!! ~スマッシュブラザーズ秘伝の書~』では、『オリジナルが「PKファイヤー」だったので、そのまま使用している。』と記述されている。
PKサンダー
プレイヤーが自分で進行方向を操作する電撃弾を放つ。弾を誘導し自分に当てると、反動で当てた反対方向に強力な突進攻撃を放つ(名称は「PKサンダー体当たり」)。
弾は、ネスは弾速が速いが小回りが利きにくく高威力の単発ヒットで、リュカは弾速が遅いが小回りが利き威力は低いが貫通性能があり連続ヒットする。
体当たりは、ネスは高威力で単発ヒットし、リュカは低威力で連続ヒットする。
サイマグネット
特殊なフィールドを張り、飛び道具のエネルギーを吸収し自身のダメージを回復させる。吸収できるのは火炎や電撃、ビームなどエネルギー波に限られ、物の投擲や爆発物など実体のあるものは吸収できない。
ネスは全身から、リュカは手からフィールドを発生させるが、吸収可能な範囲はほとんど変わらない。『X』ではフィールド解除時にネスは相手を押し返す風圧が、リュカは攻撃判定が生じて解除時の隙を補うことができる。
PKフラッシュ
2作目『DX』以降のネスのみ使用。
ある程度左右に操作できる緑色の光弾を作り、ボタンを押しっぱなしにする等でエネルギーを溜めて威力や攻撃範囲を高め、放すと炸裂する。限界近くまで溜めた際の威力と攻撃範囲はかなりのもの(『X』ではキャラクターが使える中で最も強い飛び道具)だが、弾速が遅く、溜めている最中に攻撃を受けたり弾が壁に接触したりすると弾が消えてしまう。また空中で使用すると着地まで操作できなくなってしまうのも弱み。
PKフリーズ
Xではリュカのみ使用。forではネスもカスタム必殺技の1つとして使用する事が出来る。
操作はPKフラッシュとほぼ同じだが、こちらは冷気エネルギーを放ち、炸裂時の威力は低いが相手を凍らせ動きを止める事ができる。また、PKフラッシュよりも弾の移動速度がかなり速く、そのため飛距離も長い。
PKスターストーム
『X』で登場し、「スマッシュボール」というアイテムを取ると使える各キャラ固有の大技「最後の切りふだ」として使用。上空からステージ中に無数の流星を降らせる。
ネスは青い流星が末広がりに降り、流星の密度が低く当てにくいがスピードは速く威力は高い。リュカはオレンジの流星が垂直に降り、流星の密度が高く当てやすいがスピードは遅く威力は低い。
『for』では仕様が変わり、一点集中型となった。パッド入力によって向きを変える事が出来る。