Into the Breach

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Into the Breach
ジャンル ターン制ストラテジー
対応機種 Microsoft Windows
MacOS
Nintendo Switch
Linux
Google Stadia
開発元 Subset Games
発売元 Subset Games
デザイナー Justin Ma
Matthew Davis
シナリオ クリス・アヴェローネ英語版
音楽 ベン・プランティー英語版
人数 1人
発売日 Win
2018年2月27日
MacOS
2018年8月9日
Switch
アメリカ合衆国の旗欧州連合の旗 2018年8月28日
オーストラリアの旗 2018年8月29日
日本の旗 2020年9月18日
Linux
2020年4月20日
Stadia
2020年12月1日
対象年齢 CEROA(全年齢対象)
ESRBE10+(10歳以上)
PEGI12
USK6(6歳未満提供禁止)
ACB:PG
コンテンツ
アイコン
ESRB:Fantasy Violence, Mild Blood, Mild Language
PEGI:Mild Swearing
USK:Abstrakte Gewalt, Gelegentliches Fluchen
ACB:Mild Coarse Language, Mild Violence
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Into the Breach』(イントゥ・ザ・ブリーチ)は、アメリカインディーゲームスタジオSubset Gamesが開発・発売したターン制ストラテジーゲーム。

虫型の巨大生物「VEK」の襲来を受け滅亡の淵にある世界を救うべく、未来からやってきたパイロットたちがメカを操縦し、街の防衛と敵の駆逐を行う。

システム[編集]

各ステージのフィールドは8x8のグリッドがクォータービューで表示されている。地形や敵の種類・位置はプレイごとにランダム生成される。ステージ開始前に、フィールドの特定範囲内の任意地点に自軍ユニット3体を配置する。なお、ステージによっては3体以外の自軍ユニットが予め配置されている場合もある。

各ステージでは、規定ターンの間に街を守り抜くことが目的となる。敵は最終ターンを除き毎ターン新たに出現する[注 1]

敵ユニットの次ターンの行動は画面上に予め表示されている。自軍ユニットの攻撃の多くには敵へのヒット時に位置をずらすノックバック効果があるが、ずれた後も敵の狙いの方向は変わらないため、これを活用して敵の攻撃を回避したり同士討ちさせたりすることができる。また、ずらすことで敵を水地形に落とし一撃で倒すという戦法もある[1]

敵を倒すと自軍ユニットに経験値が入り、一定値に達すると昇進(レベルアップ)して能力が強化される。

自軍ユニットはフィールドにある建物から電力の供給を受けることで起動しているという設定になっており、敵は主にこの建物を狙う。攻撃で建物が破壊されるごとに「電力インフラ」のゲージが減少し[注 2]、ゲージが尽きるとゲームオーバーとなる。なお、電力インフラゲージの状態は以降のステージにも継承される。

各ステージには、クリアと直接関係ない「ボーナス目標」が設定されている。これらを達成することで、電力インフラを回復させる電力、装備品などと引き換え可能な「評価ポイント」、メカのアップグレードに用いる「リアクターコア」を獲得する。ボーナス目標の項目が多いステージほど難易度が高い傾向がある。

本作の主な舞台は4つの島で、島には複数のステージが含まれており、そのいくつかのクリア後に現れるボスステージをクリアすれば島のクリアとなる。4つの島のうち2つをクリアすると最終決戦を行う5つ目の島が現れ、これをクリアすればエンディングを迎える。

開発[編集]

本作ゲームデザイナーのJustin Ma(左)とMatthew Davis。2019 Game Developers Choice Awardsにて。

本作は、Subset Gamesにとっての1作目である『FTL: Faster Than Light』に続き開発が行われた。2012年に発売されたフィラクシス・ゲームズ開発のグリッドベース戦術ゲーム『XCOM: Enemy Unknown』の成功もあり同種ゲームの構想を練っていたが、差別化のために何らかのフックが必要と考えていた。そうした中で、いずれも2013年公開の映画である『マン・オブ・スティール』と『パシフィック・リム』がインスピレーションを与えた。これらの作品はスーパーヒーローや巨大ロボットが悪の存在と戦う内容だが、戦闘中に街全体が破壊され大勢の死者が出ても善人が勝利すれば誰も気にしないため、それに対する皮肉として巻き添え被害の回避に焦点を当てることにした[2]

本作作曲家のベン・プランティー英語版は、ハリウッド映画で用いられる典型的な終末もののサウンドトラックからの脱却を目指すべく試行錯誤した。最初はシンセドローンホワイトノイズを使用しメロディーがほとんどないローファイな電子アンビエントの曲を試したが、開発チームの誰の好みにも合わなかった。次に、静かで落ち着いたアンビエントトラックをいくつか作成し、メロディアスで人間的な感じを出すためにチェロの音色を用いたが、やはり好みに合わなかった。最後に、Subset GamesのゲームデザイナーであるJustin Maがチェロ奏者ユニット・2CELLOSMV『Mombasa』をインスピレーションとすることを提案し、そのエネルギッシュな演奏に影響を受けたプランティーは、コンセプトを採用しファーストトレーラー用の楽曲を制作した[3]

受賞[編集]

部門 結果 出典
2018 Independent Games Festival Competition Awards Seumas McNally Grand Prize ノミネート [4]
Excellence in Design ノミネート
Golden Joystick Awards Best Indie Game ノミネート [5]
PC Game of the Year ノミネート
Ultimate Game of the Year ノミネート
The Game Awards 2018英語版 Best Independent Game ノミネート [6]
Best Strategy Game 受賞
Gamers' Choice Awards英語版 Fan Favorite Indie Game ノミネート [7]
Titanium Awards英語版 Best Indie Game ノミネート [8]
Best Game Design ノミネート
Australian Games Awards Strategy Title of the Year ノミネート [9]
2019 New York Game Awards Off Broadway Award for Best Indie Game ノミネート [10]
第22回D.I.C.E. Awards英語版 Game of the Year ノミネート [11]
Strategy/Simulation Game of the Year 受賞
Outstanding Achievement for an Independent Game ノミネート
Outstanding Achievement in Game Design ノミネート
NAVGTR Awards Design, New IP ノミネート [12]
Game, Strategy ノミネート
Original Light Mix Score, New IP ノミネート
SXSW Gaming Awards Excellence in Design ノミネート [13]
Game Developers Choice Awards Best Design 受賞 [14]
第15回英国アカデミー賞ゲーム部門英語版 Game Design ノミネート [15][16]
Original Property 受賞
Italian Video Game Awards英語版 Best Indie Game ノミネート [17]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ ただし、出現場所の上にユニットが位置していると、ユニットが1ダメージを受ける代わりに出現を阻止できる。
  2. ^ ただし、ゲージ横に表示されている「インフラ防御率」の確率で攻撃を回避することがある。

出典[編集]

  1. ^ 「未来」を見て、「今」を守り抜け。3体のメカで戦うストラテジーゲーム『Into the Breach』が9月18日に配信決定。”. 任天堂 (2020年9月17日). 2021年7月12日閲覧。
  2. ^ Into the Breach Preview: FTL's Creators Pit Mechs Against Aliens in Post-Apocalyptic Warfare” (英語). Shacknews (2017年2月20日). 2021年7月12日閲覧。
  3. ^ How I made Into the Breach's soundtrack” (英語). PC Gamer (2018年2月24日). 2021年7月12日閲覧。
  4. ^ 2018” (英語). Independent Games Festival. 2021年7月12日閲覧。
  5. ^ 『フォートナイト』がGOTY!「2018 Golden Joystick Awards」受賞作品リスト―生涯功労賞は宮崎英高氏”. Game*Spark (2018年11月17日). 2021年7月12日閲覧。
  6. ^ “The Game Awards 2018”全アワードの受賞作品を紹介、日本からは『モンスターハンター:ワールド』や『ASTRO BOT』が受賞【The Game Awards 2018】”. ファミ通.com (2018年12月7日). 2021年7月12日閲覧。
  7. ^ Glyer, Mike (2018年11月19日). “2018 Gamers' Choice Awards Nominees”. File 770. 2021年7月12日閲覧。
  8. ^ Titanium Awards 2018”. Fun & Serious Game Festival (2018年12月10日). 2019年7月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月12日閲覧。
  9. ^ All the Winners from the 2018 Australian Games Awards” (英語). Doublejump (2018年12月20日). 2021年7月12日閲覧。
  10. ^ Keyes, Rob (2019年1月3日). “2018 New York Game Awards Nominees Revealed”. Screen Rant. 2021年7月12日閲覧。
  11. ^ 「God of War」が第22回“DICE Awards”のGOTYを含む9部門を制覇、“Celeste”の2冠を含む部門別受賞作品まとめ”. doope! (2019年2月14日). 2021年7月12日閲覧。
  12. ^ 2018 Awards” (英語). NAVGTR. 2021年7月12日閲覧。
  13. ^ GOTYは『ゴッド・オブ・ウォー』に!「2019 SXSW Gaming Awards」受賞作品リスト”. Game*Spark (2019年3月18日). 2021年7月12日閲覧。
  14. ^ [GDC 2019]「Game Developers Choice Awards」の大賞は「ゴッド・オブ・ウォー」に”. 4Gamer.net (2019年3月21日). 2021年7月12日閲覧。
  15. ^ 2019年英国アカデミー賞ゲーム部門のノミネート作品が発表”. GameBusiness.jp (2019年3月15日). 2021年7月12日閲覧。
  16. ^ 2019英国アカデミー賞ゲーム部門受賞作発表!Best Gameは『ゴッド・オブ・ウォー』に”. Game*Spark (2019年4月5日). 2021年7月12日閲覧。
  17. ^ Italian Video Game Awards”. 2019年4月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月12日閲覧。

外部リンク[編集]