.460ウェザビー・マグナム

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.460 Weatherby Magnum
右から4番目が.460ウェザビー・マグナム
種類 ライフル弾
原開発国 South Gate, California
製造の歴史
設計者 ロイ・ウェザビー
設計時期 1958
製造者 ウェザビー社
特徴
元モデル .378ウェザビー・マグナム
薬莢形状 Belted, bottleneck
弾丸 .458 in (11.6 mm)
首径 .481 in (12.2 mm)
肩径 .560 in (14.2 mm)
底面径 .582 in (14.8 mm)
リム径 .603 in (15.3 mm)
リム厚 .059 in (1.5 mm)
薬莢長 2.908 in (73.9 mm)
全長 3.65 in (93 mm)
ライフリング 1 in 16"
雷管のタイプ Large rifle magnum
弾丸性能
弾頭重量/種類 初速 エネルギー
500 gr (32 g) FMJ 2,600 ft/s (790 m/s) 7,504 ft⋅lbf (10,174 J)
500 gr (32 g) Round Nose 2,600 ft/s (790 m/s) 7,504 ft⋅lbf (10,174 J)
450 gr (29 g) Truncated Solid 2,660 ft/s (810 m/s) 7,072 ft⋅lbf (9,588 J)
算出時の銃砲身の長さ: 26 in (66 cm)
出典: Weatherby[1]
ウェザビー・マークV

.460ウェザビー・マグナム英語: .460 Weatherby Magnum)は米国ウェザビー社が開発・販売しているライフル弾。1958年ロイ・ウェザビーによって開発された。市販品ではホーランド・アンド・ホーランド社の特注品を[2]除けば、店頭で一般販売されている狩猟弾薬としては世界最強の威力を持つ。

特徴[編集]

ウェザビーは一般に使用されているライフル弾をもとにマグナム化することを得意としており、さまざまな口径の実包を販売している。手法としては薬莢の肩を「いからせ」て装薬量を上げるというものであり、同じ口径でも通常の銃では使用できなくなる。そのためオリジナルの銃を合せて商品化しているが、.460は500グレーンという同口径では他に例のない最大級の弾頭重量を持つ。

重量が4.7kgもあるウェザビー・マークVライフル(この弾薬を使用する代表的な小銃)での反動は100フットポンドにもなる。M1ガーランド.30-06スプリングフィールド弾を撃った時の反動が20ft・lbfであることを考えると極めて強い。そのため、火薬量を115グレーン(7.45g) に減らして、弾丸威力を7500フットポンド(通常8100ft・lbf)にまで落とした実包がメーカーから販売されている。

アフリカゾウサイを一撃で倒せるほどの破壊力を持つ。またその驚異的な貫通力から、近年はクジラの密猟にも使用され話題となった。射撃時の反動は先述の通り威力に比例して極めて大きいため、この銃を撃った日本人レポーターが反動によって肩を脱臼し、尻餅をついて尾骶骨骨折してしまうといった記録[3]により[4]、一時期の44マグナムと同じく常識外れの反動という印象が定着したこともあった。しかし実際にはネット上に配信されている射撃動画を見ても分るように、マズルブレーキなしで撃ってもそこまで大袈裟な反動はなく実用範囲内である。

現在、口径.416以上のマークVライフルには、反動を50%近く軽減するウェザビー社オリジナルのマズルブレーキが標準装備されており、反動自体は大した問題ではなくなったが、前述の日本人レポーターの実験によると大人一人をのせた箱車にこの実包を装填した銃をあてて発砲すると、箱車は1,145mm以上も後方に押し出された。ちなみに同条件で発砲された22口径ロングライフル弾の後退量は僅か1mm。軍用の強装弾として知られる7.92x57mmモーゼル弾でも後退量は55mmに過ぎなかった[3]

性能[編集]

  • 口径: 0.458インチ (11.63mm)
  • 弾頭重量: 500グレーン(32グラム)
  • 弾丸威力: 8100フットポンド(10980ジュール
  • 初速: 66cm(26インチ)の銃身の銃で823m/s(2700フィート/s)
  • 価格: 4.00〜5.50ドル

備考[編集]

  • ウェザビー・マークVライフルは日本でも猟銃として購入することが可能であるが、.460ウェザビー・マグナム口径のライフルはトド駆除用などの特例を除き日本では許可にならない。
  • 通常の狩猟用として許可が降りるのは.378 ウェザビーくらいまでであるが、日本国内において狩猟対象となる最大種の獣は北海道ヒグマなので、この口径でも実用上十分過ぎる威力である。

脚注[編集]

  1. ^ .460 data at Weatherby
  2. ^ .700ニトロ・エクスプレス。受注生産のみ。
  3. ^ a b 昭和56年発行の国際出版のムック『別冊Gun』P110-113。
  4. ^ ただし、記述の内容は反動について検証している面もあるため、この場合に限れば「反動に振り回されたため(あるいは反動を受け止めきれなかったため)」にケガをしたと解釈したほうが良いと思われる。しかし、「反動を受け止めるための姿勢」を取らずに撃てばケガをする可能性はある。

関連項目[編集]