青色矮星 (赤色矮星の進化段階)

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青色矮星(せいしょくわいせい、英語: blue dwarf)とは、赤色矮星水素のほとんどを消費し尽くした後に至ると考えられる、恒星進化論における仮説上の恒星の分類の1つである。

赤色矮星の一生[編集]

青色矮星の想像図。

赤色矮星も、その主成分は水素であろうと考えられている。赤色矮星は質量が少ないために、核融合反応による水素の消費速度が遅い。これには、赤色矮星の中心温度が足りず、水素の核融合を促進するCNOサイクルを利用できない事なども関係する。さらに、赤色矮星内部の対流の範囲が、星全体に亘るため、星全体の水素を核融合に利用できるので、非常に恒星としての寿命が長い。宇宙の年齢を加味すると、この宇宙には、まだ青色矮星の段階に至った赤色矮星は存在しないと考えられる。青色矮星の存在は、あくまで理論モデルに基づいて予測された、理論上の形態に過ぎない[1]

恒星は年齢と共に光度が増大し、平衡を保つために、より多いエネルギー放出を要するようになる。赤色矮星よりも明るい恒星では大きさを増して赤色巨星となり、広い表面積を持つようになる。これに対して、赤色矮星では膨張する代わりに、温度上昇によってエネルギー放出量を増大すると予測され、これによって青く変わるとされる。これは、赤色矮星の表層では、温度上昇による不透明化が、顕著には起こらないと考えられるためである[1]

なお、青色矮星は水素を完全に消費し尽くした後に、白色矮星に変わると考えられている[1]。その白色矮星は最終的に、こちらも仮説上の話ながら、黒色矮星に至ると考えられている。

出典[編集]

  1. ^ a b c Adams, F. C. et al. (2005). “M dwarfs: planet formation and long term evolution”. Astronomische Nachrichten 326 (10): 913-919. doi:10.1002/asna.200510440. ISSN 0004-6337.