難民支援協会

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特定非営利活動法人難民支援協会
Japan Association for Refugees
略称 JAR
国籍 日本の旗 日本
格付 特定非営利活動法人(認定NPO法人)
法人番号 9011105003275 ウィキデータを編集
専門分野 難民支援
設立日 1999年7月17日(法人格取得 1999年11月16日)
代表者 石川えり(代表理事)
中村義幸(副代表理事)
藤本俊明(副代表理事)
活動地域 日本
主な事業 日本で生活している難民への法的・生活支援活動、政策提言、調査・研究活動、広報活動
郵便番号 101-0065
事務所 東京都千代田区西神田2-5-2
TASビル4階
事務局員/会員 29名(非専従職員を含む)(2018年10月末現在)/ 114名(2018年9月9日現在)
予算 187,448,224円(2017年度収入)
会費 6,000円/年
関係する組織 国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)
外部リンク www.refugee.or.jp ウィキデータを編集
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特定非営利活動法人難民支援協会(なんみんしえんきょうかい)とは、難民に対する支援を行っている日本の認定NPO法人。英語表記Japan Association for Refugees、略称はJAR。その略称から公式ではないものの難民などから「ジャー」と呼ばれる事が多く、愛称として内部スタッフもその呼び名を使用している。

概要[編集]

難民申請者への電話相談受付、難民申し出者への羽田空港への急行、面談、緊急避難的な措置(住居確保・生活支援物資の支給など)[1]、さらに難解な申請書類作成のフォロー、難民には医療保険適用外の為の医療支援、定住するまでのフォロー、政策提言などを行っている。難民支援協会には、日々50件ほどの電話や来訪による相談が難民申請者から寄せられている[2]

難民支援協会への相談者の国籍は、日本に民族コミュニティがあるミャンマー出身者や、エチオピアコンゴ民主共和国ウガンダナイジェリアなどアフリカ出身者が多い[3]

2009年6月、参議院総務委員会に事務局長の石川えりが参考人として招致され、出入国管理法改正案と住民基本台帳法改正案について意見表明を行った[4]

2014年9月時点でシェルターと呼ばれる8部屋分の緊急宿泊施設を所有し、そこが満室時は宿泊費支援を行っている。

近年では、日本への難民申請者およそ3,000人の内およそ2,000人の難民申請者との面談を果たした年もあったという。

現在の本部所在地は東京都千代田区西神田2-5-2 TASビル4階で、所在地への飛び込み相談にも応じている。

国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)の事業実施契約締結団体に指定された日本を代表する難民支援団体である。国連経済社会理事会(ECOSOC)から、特別協議資格団体(Special Consultative Status)として認められている。

2017年2月、日本初の民間主導による難民受け入れ "プライベート・スポンサーシップ"を開始することを発表。高等教育の機会を奪われたシリア難民の留学生受け入れ事業を、日本語学校との協力で開始した[5]

歴史[編集]

日本に難民申請をしている人々の過酷な境遇を偶然知った初期設立者らを中心に、1999年7月に設立される。代表理事には地理学者の鴨澤巌法政大学名誉教授・故人)、事務局長にはアムネスティ・インターナショナル日本支部で活動していた筒井志保が就任した。

2000年8月、国連難民高等弁務官(UNHCR)日本・韓国地域事務所(現駐日事務所)と契約を締結し、事業実施契約パートナーとして活動することとなった。それに伴い、難民申請者からの相談件数が増加し、団体の認知度も徐々に高まっていった[6]

鴨澤が故人となった2003年以降は、中村義幸明治大学教授)が代表理事を引き継いだ。2014年12月1日付にて中村が退任し、2代目事務局長の石川えりが代表理事に就任した[7]

出版物[編集]

  • 『支援者のための難民保護講座』本間浩監修/特定非営利活動法人難民支援協会編(現代人文社、2006年)
  • 『外国人をめぐる生活と医療――難民たちが地域で健康に暮らすために』森恭子監修/特定非営利活動法人難民支援協会編(現代人文社、2010年)
  • 『海を渡った故郷の味 Flavours Without Borders』認定NPO法人難民支援協会(著)(ジュリアン、2013年)

受賞歴[編集]

東日本大震災被災地の支援[編集]

2011年3月11日東日本大震災発生後、難民から「日本に助けられた。今度は私たちが恩返しで助ける番だ」との申し出を受け、岩手県陸前高田市に難民ボランティアを派遣し、支援に回った経緯がある。その際は、在日ミャンマービルマ)難民などが中心となり、災害ボランティア活動を行ったり、現地で炊き出しを行ったりして、現地の住民に喜ばれたという[15]

また、宮城県気仙沼市などで、被災したフィリピン人や中国人などの外国籍女性を対象に、ホームヘルパー2級取得のための就労支援事業を実施した[16]

脚注[編集]

  1. ^ 難民支援協会の活動「医・食・住の確保 - 生活支援」難民支援協会
  2. ^ 難民申請者が過去最多:4,000人を越える難民支援協会
  3. ^ キーパーソンインタビュー:「日本の難民審査は厳しすぎる」 難民支援協会の石川えりさん 2015年3月2日毎日新聞社
  4. ^ 事務局長の石川えりが参議院総務委員会に参考人として出席しました難民支援協会
  5. ^ [ニュースリリース]日本初 民間主導による難民受け入れ "プライベート・スポンサーシップ"を開始難民支援協会
  6. ^ 難民支援協会と、日本の難民の10年「第1回 難民支援協会設立秘話」難民支援協会
  7. ^ 代表理事交代のお知らせ難民支援協会
  8. ^ 社団法人東京青年会議所の主催する「NPOフェア2005〜踏み出そう第一歩〜」で、 「優秀志民活動賞」を受賞しました。難民支援協会
  9. ^ 第20回東弁人権賞 受賞者インタビュー(2)東京弁護士会
  10. ^ 平成19年度 第1回共生・地域文化大賞浄土宗
  11. ^ 団体受賞 すべての人を温かく――難民支援協会毎日新聞社
  12. ^ 2012年度国際交流基金地球市民賞 受賞団体決定国際交流基金
  13. ^ 「第2回エクセレントNPO大賞」結果発表 「エクセレントNPO」を目指そう市民会議
  14. ^ [活動レポート]第8回沖縄平和賞を受賞しました!難民支援協会
  15. ^ [緊急支援速報]2011年4月11日-陸前高田 ミャンマーの味で激励 在日の有志/岩手日報難民支援協会
  16. ^ [復興支援速報]2011年10月 - 外国籍被災女性就労支援 ホームヘルパー2級目指して<中間報告>難民支援協会

参考文献[編集]

  • 難民研究ジャーナル 創刊号[特集:第三国定住]
  • 難民研究ジャーナル 第3号 特集:社会統合(Integration)
  • 外国人をめぐる生活と医療―難民たちが地域で健康に暮らすために 現代人文社

関連事項[編集]

外部リンク[編集]