超力戦艦

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超力戦艦(ちょうりきせんかん)は、アトラスコンピュータゲームデビルサマナー 葉ライドウ 対 超力兵団』に登場する架空の兵器である。ゲーム内で大日本帝国陸軍軍艦として登場する。

概要[編集]

超力戦艦オオマガツ、ヤソマガツは、大日本帝国の「超力兵団計画」の一環で作られた軍艦である。この超力戦艦は、大正20年という架空の時代であっても不可能とされた兵器であり、悪魔魔術、未来の科学技術の力を導入して完成された。

艦名の由来[編集]

通常、命名慣例によれば戦艦には、旧国名が着けられる。しかし、本級は宗像ら陸軍によって秘密裏に建造されたため1番艦オオマガツ、2番艦ヤソマガツと日本神道の名前が付けられた。そもそも超力戦艦は、正式に装備されておらず、この艦名が正式なものかは、作中において断定できない(禍津日神を参照)。

背景[編集]

帝国陸軍少将宗像一騎(超公式ふぁんぶっくにて日本帝国と明言)は、第1次世界大戦後に次の世界大戦に備えた軍拡、強力な兵器、新しい戦術が必要であると軍上層部に提唱した。世界の列強国に負けない新兵器、「超力光線」、「超力戦車(作中では、未登場)」、「超力超兵」などを含めた「超力兵団計画」の集大成として宗像は、敵の領海内に進攻し敵艦戦と戦った後、そのまま敵本土に上陸し、歩兵部隊を展開させつつ砲撃で支援可能な兵器として「超力戦艦」を考案した。

しかし、これらの兵器は科学技術の限界により望むスペックが実現できず上層部により退けられ、計画中止を余儀なくされた。

その後、宗像は、情報収集に奔走し、大道寺家の娘に起こる「鬼憑き」の情報を入手する。この鬼憑きは、将来世界(未来)の人物、四十代目葛葉ライドウが自らの記憶を過去の世界の自分の先祖の女子に転写させる技術[1]によって引き起こされる現象であった。大道寺家は将来の知識で隆盛した一方、不完全な覚醒が狂死や凶行を招き、大道寺家の娘を殺す因習に繋がっていた。宗像は、将来技術を計画達成に利用しようと考え大道寺家の娘、大道寺伽耶を拉致することに成功した。宗像に拉致された伽耶は、宗像の魔術により将来人としての覚醒を果たし、様々な魔術、科学の知識を与えて超力兵団計画を当初の物より上回る形で完成させることに成功した。

実は、この段階で宗像は四十代目ライドウの使役する悪魔スクナヒコナによって操られており、彼は四十代目ライドウの完全な覚醒を手助けするために利用されていた。十四代目ライドウに伽耶が助けを求めたのは意識を飲まれかけていた彼女の最後の抵抗であった。四十代目ライドウと彼(または彼女)の使役する悪魔たちの目的は、将来世界に訪れる結果を過去において改変するというものだった(だが実際は異なる歴史分岐が生じることになり、元の将来世界自体は残る)。この計画や目的の全体は、十四代目ライドウが阻止したため不明だが、これらは、帝都(すなわち四十代目ライドウの出身地が築かれ、真・女神転生の物語が展開された東京である)の破壊を目論むものであった。

本来、超力兵団計画は、宗像の母国を守るためのものだったが、四十代目ライドウにより帝都を破壊するものへと変貌した。

建造[編集]

軍縮条約により計画が廃棄された金剛型五番艦(架空のもの)を流用して建造された。2隻の超力戦艦は、1番艦オオマガツ、2番艦ヤソマガツと命名された。

この戦艦は、当初「可変式揚陸潜水戦艦」として建造された。まず敵国まで潜水艦として秘密裏に侵入するという能力を持つ。次に浮上して湾岸を攻撃。その後、この戦艦に乗せた超力超兵を展開させつつ自らも上陸して内陸部に侵攻し、敵国都市すら制圧することを目的とした。

実際に建造された時、外観は、当初のままだったが四十代目ライドウの知識によりレーダーや索敵能力の性能などが当時のものより向上している。また艤装も砲弾は、超金属ヒヒイロカネを使用した超徹甲弾になり、魚雷も当時研究途中だった酸素魚雷に置き換えられた。さらに主機関が人工衛星タイイツからの電送となり、出力が大幅に向上した。

超力戦艦は、帝都の陸軍地下造船所において建造された。建造作業そのものは乾ドックで行われ、2隻は左右対称に並んだ二つのドックで同時に建造された。進水時には1次ドックの半ばまで海水を引き込み、通常航行で地下トンネルを進み、2次ドックに入る。艦が2次ドックに侵入すると隔壁を閉じ、2次ドックを完全に水没させたのち、前方の最終隔壁を開いて潜水艦として外洋に航行するという方法を取る。

性能[編集]

  • 全長 230メートル
  • 全幅 51メートル
  • 排水量 45000トン
  • 武装 2連装30センチ砲塔5基(10門)、15センチ副砲12門、酸素魚雷4門
  • 動力 衛星タイイツから送られる永久機関のエネルギー

1番艦と2番艦の性能は、ほぼ同じであるが両舷に取り付けられた副砲の15センチ砲の性能が異なっている。これは、超力戦艦は、上陸時に副砲の可動域が向上するための仕様である。1番艦には、広範囲を破壊する拡散式荷電粒子砲、2番艦には、収束型荷電粒子砲が搭載され、範囲が狭くなった分、面積当たりの破壊力が向上した。

この艤装は、「超力光線(指向性荷電粒子領域発生器)」と呼ばれ、電気を帯びた粒子を打ち出すものである。通常の超徹甲弾と同じく全ての砲塔から発射でき、タイイツから送られるエネルギーにより尽きる事無く撃ち続けることが出来る。

また立体映像投影機能も装備している。

人型形態「超力超神」[編集]

当初、超力戦艦は、揚陸するために巨大なキャタピラを搭載する陸上戦艦となる計画であった。しかし45000トンの自重では自走は疎か、地面に陥没して頓挫することが避けられないため断念された。代わりに船自体が足によって立ち上がり移動するという計画が立案され、魔術と悪魔によってそれを可能とした。この超力戦艦が自ら2足歩行で移動して陸地を踏破する状態を「超力超神(ちょうりきちょうじん)」という。

性能[編集]

  • 身長 400メートル
  • 体重 60000トン(憑りついたヒルコの分、増加)
  • 武装 2連装30センチ砲塔5基(10門)、15センチ副砲12門
  • 動力 衛星タイイツから送られる永久機関のエネルギー、ヒルコ

超力超神は、いわば巨大な人型機動兵器である。二足歩行することにより、自重で地面が陥没しようと陸上を移動できるようになった。また、その威容により敵兵の士気を挫く効果があると認められた。さらに、この形態に変形すると両舷部分が人間でいう腕に当たる役割を果たす。上記の通り超力戦艦は、副砲の仕様が変更されており、この形態になることでさらにそれぞれの特徴を発揮して戦うことが出来る。

指揮能力、索敵能力を勘案し、前艦橋部分が変形後には、人間でいう頭部に当たる役割を果たす。この時、艦橋の窓は発光する。

両脚の役割は、喫水線の下、艦底部分が変形して担う。変形の際は、両脚部分より先に両舷が腕に変形して身体を支える。まず艦の両舷に対して平行に艦底が二つに別れる。次に艦尾の方が足、艦首が股間に当たる部分に変形する。次に超力超神は、両腕で上半身を一旦、起立させる。これに続いて両脚が全体を立ち上がらせる。最後に破損を避けるため、後艦橋スクリュープロペラの着いた艦尾部分を臀部に当たる場所に移動させ、竜骨の部分が尻尾に変形する。

人型に変形すると上甲板、乾舷、艦橋などが上半身になるため、両脚は喫水線の下の赤く塗装された部分になる。5基の主砲塔は、両肩、両腰、背面に来る位置になる。

設計変更[編集]

当初、宗像が発案した超力戦艦はキャタピラによって自走する陸上戦艦であったが、この1度目の図案は軍上層部によって認められなかった。そこで設計変更がなされたが、この時に人型となる案が出された。いずれにせよ技術的に不可能であると考えられ、計画は凍結した。しかし宗像は、超力戦艦の建造そのものは継続しており超力超神の動力と筋肉の役割を果たす素材を探していた。

宗像は、魔術の知識により、この超力超神の動力と筋肉の問題をクリアする方法を発見した。このために発生したのが一連の超力兵団事件である。

超力超神の筋肉ヒルコ[編集]

超力超神の筋肉の素材としてヒルコが使用された。まず和電イ号基に集まったヒルコに目掛けて衛星タイイツから電送によりエネルギーを送る。すると励起状態になったヒルコは、超力戦艦の船体に目掛けて飛んで行き、一斉に憑依する。次にタイイツから超力戦艦にエネルギーが送られることで、ヒルコは筋肉としての役割を果たし続ける。

ヒルコが超力戦艦に憑依するのは習性によるものであり、骨のないヒルコは常に何かに憑依しようとする習性があるためである。

超力兵団[編集]

超力戦艦は、超力兵団計画の集大成であり単なる艦艇として艤装だけでなく上陸部隊や人工衛星などが一体となった運用システムを取っていた。そのため他の超力兵団の兵器も装備と捉えることが出来る。

ヒルコ[編集]

ヒルコは、作中に登場する悪魔の一種である。骨を持たない筋肉の塊のような悪魔で空をゆっくりと浮遊する。自分だけでは、大した力を持たない為に他の生物や物質に憑りついて働く性質を持つ。また人間が感じる脳内の不安物質を食らって成長するため人間に憑りつく。さらに、ある程度の成長段階を経て、宿主を包み込む怪人赤マントと呼ばれる姿に変身し、憑依する宿主が不安に感じている元凶を攻撃したり、暴れだしたりする。最終的に宿主は、廃人になってしまいゾンビーになってしまう。

超力兵団計画においてヒルコは、超力戦艦の筋肉の役割と超力超兵を作るために必要な悪魔であった。このために超力兵団事件が発生した。

超力超兵[編集]

正式名称は、「九一式不死身兵」である。帝都のあちこちで目撃され、赤い憲兵と呼ばれている。当初、宗像は、「強固なプロテクターに守られた不死身のごとき兵」として考案した。しかしスクナヒコナによりヒルコ因子によって人間を「ヨミクグツ」としたものを使用する。装備は、小銃、携帯可能な小型機関銃軍刀など。また状況や装備に合わせてパーツを付け替えられるパルスシステムの概念が四十代目ライドウにより加えられた。これらは、将来世界の装備運用体系が反映されている。さらに当初のように超力戦艦の艦内で揚陸艦のように待機せずとも悪魔召喚によって呼び出し、超力戦艦と共に戦闘できるようにもなった。

ヒルコに憑依された人間は赤マントと呼ばれる怪人になってしまうため、ヨミクグツは頭に信号を送る特殊プラグを打ち込んで特殊電波で操作する。またこのプラグによって怪人の状態を維持させることが出来る。

なお、ヨミクグツは、続編の「対アバドン王」にも登場した。

和電イ号基[編集]

帝都桜田山(モデルは、愛宕山となっている)にある、かつて海軍無線電信網調査委員会が視察した明治三十四年、米國紐育郊外のワーデンクリフに建てられた大無線伝送鉄塔ビヒモスタワーによく似た形の鉄塔である。

陸軍によって建造され、他にロ号基、ハ号基、ニ号基、ホ号基の計5基が帝都の各地に建っている。超力兵団計画により、5基の鉄塔からは、特殊電波が送信されている。これは、帝都中のヒルコ因子を活性化させ、ヒルコを通常の状況よりも大量に発生させ、かつ成長を促進させる目的がある。2つ目の役割は、ヨミクグツへの信号である。そして3つ目が衛星タイイツからエネルギーを受けて電線を用いず無線で電力を供給することである。

なお、これは、将来技術ではなく現実の当時の時代に米國のある異端な天才科学者により実現されていた技術である。

こちらも続編の「対アバドン王」にも登場した。

衛星タイイツ[編集]

宗像の超力兵団計画の根本的欠陥、エネルギー問題を一挙に解決した、まさに超力戦艦の根本とも言える動力部である。永久機関によって作り出したエネルギーを電気に変え、地上に送電する。この疑似的な永久機関の仕組みは、まずタイイツが地球自転するエネルギーを「EL200(200番目の元素)」という物質によって回収し、タイイツプラグによって電気に変換するというものである。これにより地球が止まらない限りは、エネルギーを回収し続けることが出来た。

この衛星外部に武装はなく外敵に備えることはできないが、この大正二十年の世界で宇宙に進出できる勢力は他にいないと考えられたためである。ただし内部には悪魔召喚プログラムがあり、侵入者を攻撃するように設計されている。また侵入者を感知すると余剰エネルギーを使用した3基のガードシステムが作動、タイイツプラグの周囲を防御結界で保護する。

なお、タイイツのエネルギーは強大であり、和電イ号基などの地上施設が破壊されても、直接超力戦艦に電力を送り続けることができる。

超力兵団事件[編集]

大正二十年の帝都に発生した「赤マント」、「大道寺家令嬢失踪」、「帝都大震災」の一連事件で超力戦艦が関わった戦闘である。

宗像、スクナヒコナ、四十代目ライドウと陸軍の不審な行動は、帝都で相次ぐ怪事件と結びつけられた。このため「超国家機関ヤタガラス」や海軍らの密偵が進められた。外部の密偵が続く内に超力兵団計画は、隠しきることが出来ない状況に追い込まれ、遂に超力戦艦の存在まで明らかになってしまう。このため宗像はクーデターを起こし、超力戦艦を含めた超力兵団は帝都で戦闘することになる。

超力戦艦の所属[編集]

作中でハッキリと言及されていないものの、超力戦艦は陸軍少将宗像が発案し、陸軍の地下造船所で秘密裏に建造された。ここから超力戦艦は、陸軍に属すると推察される。また海軍関係者は、超力戦艦の存在を把握していないという描写や逆に陸軍関係者が超力兵団計画を好意的に受け止めている描写がなされている。さらに他の超力兵団計画の兵器は、陸軍が開発、建造している点からも陸軍の所属と見做すことが出来る。加えて現実に陸軍が艦船を装備していることもあり超力戦艦が戦艦といっても海軍の所属ではないことが考えられる。

超力戦艦が陸海軍のどちらに正式に採用されていたのか不明だが本級は、一貫して四十代目ライドウの使役する悪魔として登場する。

事件後[編集]

赤い憲兵や悪魔、巨大な人型機動兵器が帝都を破壊したという事実は隠蔽され、被害の原因は帝都の南を震源とする大型地震によるものとなった。首謀者・四十代目ライドウも本当に未来人の介入だったのか、あるいは、大道寺伽耶本人の一時的な精神障害という可能性を匂わせつつ終息した[2]

実戦[編集]

超力兵団計画により2隻の超力戦艦が建造された。これらは、共に発案者・宗像の思惑を外れ対外戦争に参戦することなく機能停止した。

帝都晴海町沖の戦闘[編集]

帝都晴海町沖に1番艦オオマガツが出現した。オオマガツは、超力超神に変形して上陸し、海軍省のある霞台を初め帝都の大部分を破壊した。しかし活動中に宗像とスクナヒコナが十四代目ライドウによって殺害されたため戦闘指揮が滞り、状況の判断が出来ないまま単独で戦闘を続けた。やがて十四代目ライドウによって打ち上げられたロケットに乗せられていた悪魔が人工衛星タイイツを破壊したため、電送が断たれて機能停止した。

この時、オオマガツは電送が断たれて急停止したために転倒し破損。巨大な自重もあって修復不能のまま廃棄された。

アカラナ回廊の戦闘[編集]

2番艦ヤソマガツは、四十代目ライドウの憑依した大道寺伽耶と共にアカラナ回廊に逃走した。この時、四十代目ライドウは、大正二十年における将来世界の改変を諦め、別の時代に移動して目的を達成しようと計画していたが、なんらかの手違いにより「時間の迷い子」になって正常な空間に戻ることが出来なくなった[3]。ヤソマガツは、大道寺伽耶を救出するために四十代目ライドウを追跡して来た十四代目ライドウと戦闘した。

初めヤソマガツは、超力超兵を上陸させ、自らは、戦艦形態で洋上から支援砲撃しながら十四代目ライドウと戦闘したが、敵との戦力差に決定力を欠くと判断して超力超神での戦闘に切り替えた。しかし、最終的に十四代目ライドウに接近を許し、撃破された。また全ての首謀者・四十代目ライドウが大道寺伽耶から分離され、アカラナ回廊に閉じ込められたことで一連の事件は、終息した。

敗因[編集]

超力戦艦は、常識を超える性能を持っていた。しかし兵器である以上、単独で戦闘することに限界があった。2隻は、予想外の事態により想定通り他の超力兵団と連携することなく戦闘し、その結果、戦闘不能に陥った。

歴代艦長[編集]

本級の操艦方法は、作中で言及がないもののヒルコと共に艦と融合するか悪魔として使役するものと思われる。「ライドウ」は、葛葉一族から襲名によって名乗るものであり、本名ではない。

オオマガツ[編集]

  1. 四十代目ライドウ : 大正二十年(葛葉ライドウ対超力兵団 第拾話、第拾壱話、第拾弐話)

ヤソマガツ[編集]

  1. 四十代目ライドウ : 大正二十年(葛葉ライドウ対超力兵団 第拾弐話)
  2. 十四代目ライドウ・雷堂 : ソウルハッカーズ3DS

参考書籍[編集]

脚注[編集]

  1. ^ アカラナ回廊において会話できる時間旅行者によって、四十代目ライドウの時代には記憶のみを装置に転写して時間移動する技術の存在が示唆される。
  2. ^ ただし、未来由来の技術の存在は疑いようのない事実である。そしてライドウは首謀者の動機となる未来世界のあり様を垣間見ている。
  3. ^ 四十代目本人ではなくその転写された記憶、コピーでしかないことも関係すると推測される。

関連項目[編集]