臼負い婆

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臼負い婆(うすおいばば)は、新潟県佐渡島の怪談集『佐渡怪談藻汐草』にある日本妖怪

概要[編集]

新潟県佐渡郡小木町(現・佐渡市宿根木の「あかえの京」という場所ので、ある者が仲間と一緒に釣りをしていた。よく釣れると評判の場所だったが、その日はまったく魚が釣れず、雨が降り出し、まだ七つ下がり(午後4時過ぎ)なのに周囲は薄暗くなってきた。

やがて、海の底から人の形のような化け物が浮かび上がってきた。それは色の白い老婆のようなもので、両手を背に回して何かを背負っているようで [1]、髪は乱れ、目は鋭く、口には牙のようなものが見えた。周囲の人々を見回したかと思うと、また海の底へと消えた。

仲間が言うには、あれはあやかし(海の妖怪)の一種であり、2,3年または4,5年に一度だけ現われる「臼負い婆」と呼ばれるもので、この場所では昔からよく見かけられるが、特に心配は要らないとのことだった。

「臼負い婆」の名は、この宿根木の怪談以外に確認されていないが、昭和平成以降の妖怪関連の文献では、磯女濡女といった海の妖怪の同類と考えられている[2]

脚注[編集]

  1. ^ 後掲『日本妖怪大事典』などでは、背負っていた物は「臼」とあるが、原典には本項の記述のように「何か」としかない。
  2. ^ 村上健司 編『日本妖怪大事典』角川書店〈Kwai books〉、2005年、45頁。ISBN 978-4-04-883926-6 

参考文献[編集]