米澤明憲

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米澤 明憲
Akinori Yonezawa
Akinori Yonezawa
生誕 (1947-06-17) 1947年6月17日（76歳）
国籍 日本の旗 日本
研究分野 計算機科学
研究機関 マサチューセッツ工科大学
東京工業大学
東京大学
千葉工業大学
出身校 東京大学（学士・博士）
マサチューセッツ工科大学（博士）
主な業績 「並列オブジェクト」概念・モデル
主な受賞歴 #受賞を参照
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米澤 明憲（よねざわ あきのり、1947年6月17日 - ）は、日本の計算機科学者。東京大学名誉教授[1]。マサチューセッツ工科大学 (MIT)Ph.D.[2]。現在千葉工業大学人工知能・ソフトウェア技術研究センターシニアフェロー[3]。日本学術会議元会員[4]。専門はオブジェクト指向プログラミング言語、分散コンピューティング、情報セキュリティ[5]。現在最もよく使われるプログラミング言語(Python, Java, C++等)の基本方式であるオブジェクト指向プログラミングの推進・発展に初期から貢献し、その中心的な国際会議OOPSLA・ECOOPのプログラム委員及び委員長を歴任すると共に、「並列オブジェクト」概念・モデルの先駆者としても国際的に知られている[6][7]。並列オブジェクトに基づくソフトウエアシステムでは、多数のオブジェクト間の並列・並行的なメッセージのやりとりによって情報処理・計算が進行する[8]。並列オブジェクトに基づいて構築され実用化されている大規模システムには、オンライン仮想世界システムSecond Life[9]、SNSのFaceBook[10]や X(Twitter)[11]、大規模分子動力学計算システムNAMD[12][13]などが挙げられる。

略歴[編集]

1966年麻布高等学校卒業。1970年東京大学工学部計数工学科卒。1977年、マサチューセッツ工科大学計算機科学科博士課程修了Ph.D. in Computer Science。学位論文は"Specification and verification techniques for parallel programs based on message passing semantics"[2][14]。

MITコンピュータ科学・人工知能研究所にて並列・分散計算モデル研究に従事[5]。帰国後、東京工業大学を経て、1988年に東京大学教授[15]。その後、東京大学情報基盤センター長などを歴任[15]。2008年より日本学術会議会員[4]。2011年東京大学大学院情報理工学系研究科教授を退職し東京大学名誉教授。2009年に紫綬褒章を[16]及び2020年に 瑞宝中綬章を受賞[1][17]。東京大学退職後、2015年まで理化学研究所計算科学研究機構副機構長を務めスーパーコンピュータ「京」の運営に寄与[15]。その後、2022年まで千葉工業大学人工知能・ソフトウェア技術研究センター長[18]。現在は同センターシニアフェロー[3]。

2012年には65歳を記念した国際シンポジウムが神戸で開催され、そこでの発表をベースとした論文集 (Festschrift) が2014年にドイツSpringer-Verlag社から出版された[19]。

なお、2003年ごろまでのソフトウエア研究を回顧した記事がコンピュータソフトウエア誌に寄稿されている[5]。

略歴年譜[編集]

  • 1966年 私立麻布高校卒業
  • 1970年 東京大学工学部計数工学科卒業
  • 1972年 東京大学大学院工学系研究科計数工学専門課程修士課程修了
  • 1974年 米国マサチューセッツ工科大学電気及び計算機科学科研究助手
  • 1978年 米国マサチューセッツ工科大学電気及び計算機科学科大学院博士課程修了
  • 1978年 東京工業大学理学部助手
  • 1983年 東京工業大学理学部助教授
  • 1988年 東京工業大学理学部教授
  • 1988年 東京大学理学部教授
  • 1995年 日本ソフトウェア科学会理事長[20]
  • 2003年 東京大学大学院情報理工学系研究科教授（配置換）
  • 2006年 東京大学情報基盤センター長
  • 2006年 独立行政法人産業技術総合研究所情報セキュリティー研究センター副センター長兼務
  • 2008年 日本学術会議会員[4]
  • 2011年 東京大学 名誉教授
  • 2011年 独立行政法人理化学研究所計算科学研究機構 副機構長[21]
  • 2015年 学校法人千葉工業大学 人工知能・ソフトウェア技術研究センター 所長[18]
  • 2022年 千葉工業大学 シニアフェロー [3]

その他の公職[編集]

1988年から10年計画で始まった通産省リアルワールド・コンピューティング(RWC) ではプロジェクト評価推進委員を務めた[22]。2001年4月から2004年3月まで内閣府総合規制改革会議委員[23]、同教育・研究ワーキンググループ主査[24]。その後、情報・システム研究機構監事[25]、ライフサイエンス統合データベースセンターセンター長[26]、(独) 産業技術総合研究所 情報セキュリティ研究センター副センター長[27]。さらに、2005年4月より2006年3月まで東京都杉並区立杉森中学校地域学校運営協議会会長[28]。エンジン01文化戦略会議の元会員[29][30]。

内外の評価[編集]

国際的には、プログラミング言語、オブジェクト指向、並列分散計算に関する多数の国際学会のプログラム委員長、大会委員長、米国学会の学術論文誌や機関誌の編集委員を務め[31]、米国最大の計算機科学会 (ACM, Association for Computing Machinery) フェロー[6]、情報処理学会フェロー[32]および日本ソフトウェア科学会フェロー[33]の称号を与えられている。また、日本ソフトウエア科学会理事長[20]、ドイツ国立情報科学技術研究所 (GMD) 科学顧問[22]などを歴任している。さらに、2006年よりマイクロソフト本社（ワシントン州レドモンド）のTCAAB (Trustworthy Computing Academic Advisory Board) のメンバーもつとめた[34]。

また、2008年には「並列オブジェクト」の概念提唱者として、またこれに関する理論から実践にわたる幅広い長年の研究成果に対して、 国際オブジェクト技術協会（ AITO ,ドイツカールスルーエ市在）より、ダール・ニゴール賞（本賞）をアジア初受賞[7]。2009年に紫綬褒章を受章[16]。2018年に大川賞受賞[15]。2020年に瑞宝中綬章を受章[1][17]。

受賞年譜[編集]

  • 1992年 大川出版賞 (大川情報通信財団)[35]
  • 1999年 ACM(Association for Computing Machinery) Fellow [6]
  • 2004年 日本ソフトウェア科学会 フェロー [33]
  • 2008年 AITO Dahl-Nygaard Prize [7]
  • 2008年 日本ソフトウェア科学会 功労賞 [22]
  • 2009年 紫綬褒章[16]
  • 2009年 船井情報科学振興財団 FIT 船井業績賞[36][37]
  • 2010年 情報処理学会 功績賞 [38]
  • 2011年 情報処理学会 フェロー [32]
  • 2018年 大川情報通信財団 大川賞[15]
  • 2018年 日本ソフトウェア科学会 名誉会員[39]
  • 2020年 瑞宝中綬章[1][17]

(その他 各種学会・論文誌論文賞等多数受賞[31])

栄典[編集]

主要編著書[編集]

  • 『算法表現論』（共著：木村泉、米澤明憲）岩波書店、282頁、1982年.
  • 『モデルと表現』（共著：米澤明憲、柴山悦哉）岩波書店、312頁、1992年.
  • Object-Oriented Concurrent Programming, (Eds. A. Yonezawa and M. Tokoro) MIT Press, 1987.
  • ABCL: an Object-Oriented Concurrent System, (Ed. A. Yonezawa) MIT Press 1990.
  • Research Directions in Concurrent Object-oriented Programming, (Eds. P. Wegner, G. Agha, A.Yonezawa) MIT Press, 1993.
  • 私のソフトウェア研究、コンピュータソフトウェア、Vol.21, No.5, 2004[5].

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e “令和2年秋の叙勲 瑞宝中綬章受章者” (PDF). 内閣府. p. 22 (2020年11月). 2023年2月20日閲覧。
  2. ^ a b Specifications and verification techniques for parallel programs based on message passing semantics, MIT Ph.D. Dissertation, 1977
  3. ^ a b c 千葉工業大学 人工知能・ソフトウェア技術研究センターでの紹介ページ
  4. ^ a b c 日本学術会議第21期会員名簿
  5. ^ a b c d 私のソフトウェア研究, コンピュータソフトウェア, Vol.21, No.5, 2004
  6. ^ a b c ACM Fellows: Akinori Yonezawa
  7. ^ a b c The AITO Dahl-Nygaard Prize Winners for 2008
  8. ^ 並列オブジェクト指向プログラミング(COOP)を提唱する最初の論文。COOPは多数のオブジェクト間のメソッドの非同期呼び出しに基づく: Akinori Yonezawa, Jean-Pierre Briot, and Etsuya Shibayama. 1986. Object-oriented concurrent programming in ABCL/1. In Proceedings of OOPSLA’86. 258–268
  9. ^ Jim Purbrick, Mark Lentczner: Second life: the world's biggest programming environment. OOPSLA Companion 2007
  10. ^ Facebookのインフラストラクチャをobjectと非同期操作で記述したプログラミング言語Hack: Hackのホームページ Facebookで用いられているプログラミング言語の種類の解説記事
  11. ^ Twitterのインフラストラクチャを記述したプログラミング言語Scala: Twitterのgithubのeffectivescalaのページ
  12. ^ イリノイ大学のNAMDのホームページ
  13. ^ NAMDシステムの構築に用いられているCharm++のプログラミングモデルのページ
  14. ^ Specifications and Verification Techniques for Parallel Programs Based on Message Passing Semantics, MIT-LCS-TR-191, 1978
  15. ^ a b c d e 2017年度大川賞受賞者経歴
  16. ^ a b c d 米澤明憲教授が紫綬褒章を受章しました 東京大学 (2009年11月03日)
  17. ^ a b c d 『官報』号外第230号、令和2年11月4日
  18. ^ a b 「ステアラボ」開設 人工知能研究の最先端拠点　所長に米澤氏 千葉工業大学 NEWS CIT (2015年5月15日)
  19. ^ Concurrent Objects and Beyond: Papers dedicated to Akinori Yonezawa on the Occasion of His 65th Birthday, (Eds. Gul Agha, Atsushi Igarashi, Naoki Kobayashi, Hidehiko Masuhara, Satoshi Matsuoka, Etsuya Shibayama, Kenjiro Taura) Springer LNCS 8665, 2014
  20. ^ a b 日本ソフトウェア科学会 過去の役員
  21. ^ 計算科学の世界 - 京がつくる時代, 第２号, 2012年1月
  22. ^ a b c 日本ソフトウェア科学会2008年度功労賞受賞者経歴
  23. ^ 総合規制改革会議委員名簿
  24. ^ 総合規制改革会議 平成14年度第10回本会議配布資料1 各分野の検討状況 教育・研究
  25. ^ 情報・システム研究機構 平成16年度事業報告書
  26. ^ ライフサイエンス統合データベースセンター 沿革
  27. ^ 産業技術総合研究所 情報セキュリティ研究センター センターの構成
  28. ^ 「笑える子ども。―未来に向けての教育改革論。」著者等紹介
  29. ^ エンジン01文化戦略会議 活動レポート 第39回 出張授業
  30. ^ エンジン01文化戦略会議 外部イベントへの協力
  31. ^ a b Curriculum Vitae for Akinori YONEZAWA
  32. ^ a b 情報処理学会 フェロー
  33. ^ a b 日本ソフトウェア科学会 2004年度フェロー
  34. ^ Microsoft’s Trustworthy Computing Academic Advisory Board Enters Its Fifth Year
  35. ^ 大川出版賞受賞図書
  36. ^ 情報処理学会のFIT船井業績賞のページ（2009年度部分）
  37. ^ 米澤教授が「FIT2009船井業績賞」を受賞 並列オブジェクト指向技術の指導的役割で, 東京大学(2009年10月1日)
  38. ^ 情報処理学会 2009年度（平成21年度）功績賞受賞者の紹介
  39. ^ 日本ソフトウェア科学会 名誉会員

外部リンク[編集]

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ダール・ニゴール賞シニア部門の受賞者
2005年から2014年
2015年から2021年
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