硫酸エチル

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エチル硫酸
C2H6O4S
モル質量 126.13
CAS登録番号 540-82-9
密度 1.458
溶解度 水と任意に混合
融点

-32°C(予測)

沸点

280°C

酸解離定数 pKa -3.14±0.15(予測)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

硫酸エチル: ethyl sulfate)は、エチレンからエタノールを製造する際の中間体として用いられる、硫酸エチルエステルである。別名スルホビン酸sulfovinic acid)、エチルスルファートスルフェチル酸硫酸水素エチルエチル硫酸シロップ状吸湿性液体に溶け,徐々に硫酸エタノールに分解する.蒸留により硫酸ジエチルを生じる.エタノール加熱するとジエチルエーテルを生じる。[1]

歴史[編集]

この物質は、1730年にドイツの錬金術師オーガスト・ジークムント・フロベニウス英語: August Sigmund Frobeniusによってエーテルと同時に研究され[2]、その後1797年フランスの化学者アントワーヌ・フルクロワ英語: Antoine-François de Fourcroy1815年ゲーリュサック(Gay-Lussac)によって研究された。また1807年スイスの科学者ニコラ・テオドール・ド・ソシュールもこの物質について研究している。

1827年、フランスの化学者・薬剤師であるFélix-Polydore Boullay (1806-1835) がJean-Baptiste André Dumasとともに、硫酸とエタノールからジエチルエーテルを調製する際に硫酸エチルの役割を指摘したさらに研究を進めた結果、硫酸とエタノールからジエチルエーテルに変換する際にエチルを使用することが分かった。

また、ドイツの化学者Eilhard Mitscherlichとスウェーデンの化学者Jöns Berzeliusによるさらなる研究は、硫酸が触媒として作用していることを示唆し、最終的にプロセスの中間体としてスルホビン酸を発見することになった。

1800年代にイタリアの物理学者アレッサンドロ・ボルタとイギリスの化学者ハンフリー・デイヴィによる電気化学の登場により、亜定比量の硫酸をエタノールに反応させてエーテルと水を生成し、その反応の中間体としてスルホビン酸が生成されることが確認された。

特性[編集]

硫酸水素エチルは無色で油性の液体。水に溶けやすく、水より重い。この物質に触れると、皮膚、目、粘膜に強い刺激を与えることがある。

脚注[編集]

  1. ^ エチル硫酸 | 540-82-9”. www.chemicalbook.com. 2023年2月11日閲覧。
  2. ^ 『Philosophical Transactions of the Royal Society』王立協会、1730年。 

関連項目[編集]