眠りの精 (ブラームス)

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眠りの精』(ねむりのせい、ドイツ語: Sandmӓnnchen)は、ヨハネス・ブラームスがドイツ民謡を基に作曲した子守歌である。ブラームスには他に『子守歌』(Wiegenlied)もある。原題は直訳すると『砂の精』である。

概要[編集]

『眠りの精』WoO.31-4アントン・フォン・ツッカルマグリオ英語版の『ドイツ民謡集』(Deutsche Volkslieder)からブラームスが編曲した『15の子どものための民謡集』の第4曲である。

砂の精はドイツなどの国々で、夜子供たちの目に砂を撒き、眠くさせる妖精で、民話や民謡によく登場する。ブラームスは『15の子どものための民謡集』を、親しかったロベルト・シューマンが1856年に亡くなってから、その遺児たちのためピアノ伴奏に編曲して贈ったという[1]

歌詞[編集]

歌詞は4番から成り、1番のドイツ語歌詞と日本語大意は次の通り[2]

ドイツ語原詩 日本語直訳(GFDL

Sandmännchen

Die Blümelein sie schlafen
schon längst im Mondenschein,
sie nicken mit den Köpfen
auf ihren Stengelein.
Es rüttelt sich der Blütenbaum,
es säuselt wie im Traum:
Schlafe, schlafe, schlaf du, meine Kindelein!

砂の精

花々は眠っている、
既に月の光の下で。
花々は頭を垂れている、
細い茎の上で。
花咲く木も静かにざわめいて
夢の中のようにささやく。
眠れ、眠れ、眠れよ、我が子よ。

日本語の訳詩[編集]

日本でもよく歌われる子守歌で、堀内敬三訳の「月の光に 花も草も」の歌詞が比較的よく知られている[3]

ドイツのクリスマスの歌[編集]

この曲は詩人フリードリヒ・シュペー英語版クリスマス聖歌賛美歌「ベツレヘムに生まれたもう」(Zu Bethlehem geboren、1837年に印刷)に使われていて、現在でもドイツオーストリアなどで使われているカトリック聖歌集『ゴッテスロープ』(Gotteslob)、フランスアルザスロレーヌ地方などのドイツ語教会で使われているプロテスタント賛美歌集『福音歌曲集』(Evangelisches Gesangbuch)にも採用されている。もともとこの曲そのものは、それ以前にもフランスのパリなどでよく知られたものであったという。

脚注[編集]

  1. ^ 眠りの精(砂の精)
  2. ^ 原詩と様々な訳(The LiederNet Archive)
  3. ^ 眠りの精